日々言葉について思考を巡らせている書画家・夏生嵐彩の連載「言葉の森」。日本語の新しい側面を発見しながら、一緒に探険してみましょう。今回は、雪の表現について。
みなさんこんにちは！ 最近いきなり寒くなってきましたね。私も新しいコートを新調したところです。東北以外でも各地で雪が降り始めているようなので、今回は「雪」という言葉や文字についてお話ししたいと思います。
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美しい雪の表現
(c)Leonid Ikan/Shutterstock.com
同じ雪でもその降りかたや見た目に合った素敵な日本語がたくさんあるので、「雪」を使った言葉と例文を一部ご紹介します。
｢花弁雪」（はなびらゆき）…雪片が花びらのように舞う雪。
例：舞い落ちた花弁雪が足元でゆっくりと溶けた。
｢衾雪」（ふすまゆき）…ふすまのように一面に白く降り積もった雪。
例：衾雪で庭一面が一変した。
｢牡丹雪」（ぼたんゆき）…牡丹の花のように大きな雪片が降る雪。ぼた雪。
例：ぽたりぽたりと牡丹雪が降る。
｢餅雪」（もちゆき）…もちのように、白くふんわりした雪。
例：靴の跡がくっきりと残る一面の餅雪。
｢雪帽子」（ゆきぼうし）…ふっくらと大きなかたまりで降る雪。
例：雪帽子があとからあとから落ちてくる。
想像するだけで、心がきゅっとします。雪って寒さの象徴のようですが、こんもりと丸く積もったふわふわのかたまりを見るとあたたかみを感じるのは私だけでしょうか。しんしんと降る姿も美しいですよね。
綿やお餅を連想するので、なんだかあったかい上に美味しそうにも感じてしまいます。きれいで愛らしい表現で雪を例えている言葉は、ほかにもたくさんあるので皆さんも調べてみるとほっこりしますよ。
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「雪」の漢字の由来
雪という字は象形文字から来ています。空から雪片が舞い降りてくる様子を形にしています。甲骨文を見ると、羽のような形をしていたり、枝に雪がついている形のものもあったりします。
むかしの人は舞いながら降る雪の様子が羽のように見えていたのでしょうか。文字の形を見ると私には雪の結晶を表しているようにも見えます。
また、「セツ」の音には「拭（ショク）」の「ぬぐう・はらう」の意味につながり、「雪辱」のように「すすぐ、はらう」という意味にも用いることもあります。
雪を書く時の美文字ポイント
「雪」は雨冠も難しいのに、下のヨとのバランスがすごく取りにくい字ですよね。次のポイントを意識して書いてみてください。
- 冠の真ん中の線は少し長めに。短すぎるとぺっちゃんこでかっこ悪いです。
- 点々も横線と一緒に右肩上がり。点を縦にも横にも串刺しにするイメージで。
- ヨの下方を締めすぎない！ 引き締めるとかっこよくなりそうですが、雨冠の幅が広いので、ヨの下をすぼめすぎると頭でっかちに見えてしまうんです。
いかがでしょうか？ 時候の挨拶で「新雪の候〜」なんて書く時季にさしかかってきました。そんな時にはこのポイントを思い出して書いてくださいね。
それでは、皆さんよいお年をお迎えください。
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