スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
「いまを変えたい」でも、どうしたらよいのか…?
タイトルに「漁場」、いきなりでびっくりしたかもしれませんが、魚釣りの話でありませんのでご安心を(笑)。
最近よく「仕事がなんとなく上手くいかない」「出会いが全然ない(恋愛系)」「打ち込めるものがないんだよね…」なんていうちょっと停滞気味の話を周りから聞く機会が多い。話を聞き進めていくと「いまを変えたい」とか「納得のいく人生を歩みたい」とか、そういった話にオチルから、自分の感覚に敏感だったり、人生の理想を実現したい!と考えているひとが増えているのだなって思います。自分の意に沿ったカタチに現状打破をしたいってわけで、これは本当に前向きな肌感を持っているってことだといえ、とっても良きこと。しかしながらこういう話、このあとに「でもどうしていいかわかんないんだよね」って言葉も出てくる。そうなんですよね、ここに帰結する。どうしていいかわからないからお悩み停滞ワードが出てくるのですものね。
ちょっと話がそれますが、最近気象異常で温暖化が進み、魚や野菜の分布図が変わってきています。たとえば根室ではサンマ、岩手ではサケなどの各地を代表する魚の漁獲量が激減。函館を代表するスルメイカはかつての10分の1以下、廃業する漁師さんも出てきています。そんな函館ですが、イカの代わりになんとブリが出現! これまでブリは長崎や島根が漁獲トップを争っていましたが、2000年には北海道が1位に…!
ということは、目的の魚を獲りたい場合は漁場を変える必要があるってことです。実際の漁業では漁業権が決まっていますから、おいそれと獲りに行く場所を変えることは出来ないですが、例え話として、これは参考になる。つまりサケを獲りたかったらサケの多いところに漁場を変えた方が効率いい。ここで話が元に戻りますが、いま自分の周りの環境が良くないなと思ったら環境を変えるというのはとっても有効な手段だということです。思うような仕事がない、結婚したいと思っているけど独身がいない、楽しいことがない、ならあるところに移動するのが得策です。
環境を変える or 目的を変える?
「え、でも環境なんてそんな簡単に変えられないし」という言葉が聞こえてきそうですが、それを出来ないと決めているのは本人だけだったりします。人間の脳は安定を好み変化を嫌うという傾向があります。脳は忙しすぎる臓器、膨大な情報を判断したり神経系等に指令を出したりやることがいっぱいあるから出来るだけはしょってラクしたい、だから変化なんか起こされると面倒だって思っているらしい。そこで認知バイヤスなるものがかかるのだそう。認知バイヤスとは、過去の経験で参考になりそうなものを計りにして物事を判断する機能。現状維持を支持するのはそんな機能の一つらしい。だからなかなか環境を変えることを好まない(ように脳が仕向けている!)。
でもサケを釣ろうと思ったら10匹しかいないところより1000匹いるところの方が確率が上がりますよね、確実に。それと同じこと。自分の価値がここでは活かせない思ったら場所を変えてみるのが得策です。それでもやっぱり環境を変えるのには抵抗があるという方は、自らの環境下で得られる目的や目標を変えることです。
これまた温暖化での今度は野菜の話になりますが、いま北海道では落花生の生産に力を入れ始めているのだそう。温暖化によって落花生の栽培が可能になってきたということもあり数年前から取り組む農家さんが増え、今では千葉の加工業者から買取依頼も来るほどに! 昨年には北海道庁が落花生、サツマイモ、ニンニクを「新顔作物」に指定、生産を増やすことに力を入れ始めています。土地の変化に機敏に対応した結果の成功です。これとおんなじで、もし環境を変えないのであれば、目的や目標を変えて、いま出来ることに注力するのもアリだと思います。
周りで充実した日々を過ごしているひとは、やっぱり漁場を変えたり、獲れるものを変えていくのが上手なひとたち。そしてそういうひとたちは、きちんとリサーチや分析を行うことを欠かしていません。やみくもに場所や目的を変えるのではなく、どに行ったら自分を活かせて楽しめる環境がありそうか、出会いたい人たちが多くいるのはどこか、いまあるスキルを活かせる成功確率がいいのはどんな環境なのかとか、そういったことをちゃんと考えつつ方向や目的をフレキシブルに変えているのです。自分は環境を変えると花開くのか? それとも環境は変えずに目的を変化させると改善するのか? 考えてみると漠然とした不安打破のきっかけが見つかりそうです。
そうは言われてもそんな行動力あったらとっくに変わってると心の中でつぶやいたあなた! 一番怖い話を最後にすると、悩んで何もしないでいても毎日は過ぎていきます。時間が経つ、歳をとるってこと。「動かない」「変えない」は結果、「現状維持ではなく目減り」につながる行為だということを肝に銘じて(自分自身も書いていて耳が痛い、心に痛い言葉です)! 悩みは変化の第一歩。でも悩むだけではダメ。一番大切なのは動くこと。いま、何かしら悩んでいる部分があるなら、脳のバイヤスを振り切って新天地に踏み出しましょう。新たなる経験則が出来れば、怖いものや不安も確実に減ってきます!