女性医療ジャーナリストの増田美加さんによる連載。人生の基礎になる“健やかな体”を手に入れるための最新知識をお届けします。今回は、PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)の症状や、その対策について。
だるい、むくむ、イライラする、肌荒れするなど、生理(月経)前に起こる不快な症状はPMS(月経前症候群)としてよく知られていますが、PMDD(月経前不快気分障害)についてはご存じでしょうか。
PMSと思われる症状があるものの、特にメンタル面がつらいという人は、PMDDである可能性もあります。今回は、PMSとPMDDに当てはまるかどうか、セルフチェックできるリストを紹介します。
PMSとPMDDとは?
だるい、むくむ、イライラする、肌荒れする…。期間としては生理開始の約3日〜10日前から始まり、生理開始とともに消失する心と体の不調のことをPMSと言います。
PMDDは、PMSのなかでも特に精神状態など情動関係の症状が前面に出た状態のことを指し、日常生活に支障をきたすような重症例が多いと言われています。むくみなどの体の不調のほか、強い抑うつや不安感、怒りなどが出てくるのが特徴です。PMSと同様、生理が始まると3日以内に症状は消失します。
PMSやPMDDは女性ホルモンの変動が原因で起こる自然なものですが、人によってもさまざまで、特に症状が酷い人がいたり、月によってつらさにバラつきがあったりします。
それは、ストレスや緊張、疲労が蓄積されると、症状が強く表れやすくなるためです。特に、仕事で無理が重なったり、人間関係でストレスがあったりすると、不調が強く出ることがあります。
あなたの不調はPMS?2つのSTEPでセルフチェック
まずはあなたの不調がPMSに当てはまるかどうか、セルフチェックしてみましょう。
STEP 1: 次の中から自分の症状に該当するものをチェック!
<体の症状>
1. 乳房が張る、痛む
2. お腹が張る、腰痛がある
3. 頭痛がある
4. 手足がむくむ
<心の症状>
1. 抑うつ気分になる
2. 怒りっぽくなる
3. イライラする
4. 不安になる
5. 混乱する
6. 引きこもりがちになる
STEP 2: STEP1で該当した項目が以下の条件を満たすかどうかをチェック!
□過去3ヵ月以上連続して生理前の5日間に、少なくとも1つ以上の症状がある。
□生理開始後4日以内にその症状が解消し、13日目まで再発しない。
□薬やアルコールによる症状ではない。
□これらの症状は仕事や生活に明らかな支障をきたす。
以上4条件すべてを満たした人は、PMSの可能性が高いです。我慢せず婦人科やを受診して、先生に相談しましょう。
あなたの不調はPMDD? 2つのSTEPでセルフチェック
次に、あなたの症状がPMDDに当てはまるかどうか、セルフチェックしてみましょう。
STEP 1:次のうち自分の症状に該当するものをチェック!
1. うつ気分や落ち込みがひどい
2. 不安、緊張感、崖っぷち感などの感情がある
3. 批判や拒絶への感受性が高くなり、情緒的に不安定で先が読めない
4. イライラしたり、怒りっぽくなったりする
5. 趣味や日常生活への興味が薄れる
6. 物事に対する集中力が薄れる
7. いつもより疲れて、活動しにくい
8. 炭水化物を過食したり、ひとつのものを食べ続けたりする
9. 睡眠過多、あるいは睡眠不足になる
10. 限界感、自己喪失感がある
11. 生理前、次の症状のうち少なくともふたつは該当するものがある(乳房の張り、痛み/頭痛/関節または筋肉の症状/フワフワした浮遊感/体重増加)
STEP 2:STEP1で該当した項目が下記の条件を満たすかどうかをチェック!
□1〜4のうち少なくとも1つには該当する。
□該当した項目が合計5つ以上ある。
□該当した項目にある症状の多くは、生理終了時には消失する。
□該当した項目にある症状が出ているとき、日常の活動に支障をきたす。
以上4条件すべてを満たした人は、PMDDの可能性があります。我慢せず婦人科を受診して、先生に相談しましょう。
PMSやPMDDは治療で改善可能です!対策方法は?
婦人科ではPMSに対し、低用量ピル、漢方薬、鎮痛剤、安定剤など、症状によって薬を処方してもらえます。
また、精神的な辛さのあるPMDDの症状が強い人には、SSRI(セロトニン選択的取り込み阻害剤)などの軽い抗うつ剤を使うこともあります。カウンセリングも緩和に有効です。
日常生活では、規則的な生活、睡眠、軽い運動、バランスのとれた食事に気をつけることも大切です。特に食事は、野菜などの食物繊維を積極的に摂って、コーヒーや糖質、アルコールを減らすようにしましょう。たばこはPMSやPMDDの症状悪化の原因にもなるため、控えたほうがよいでしょう。
仕事を減らし、気持ちの面でリラックスして過ごす時間をとることも、PMSやPMDDに対する有効なセルフケアになり、体調の改善に役立ちます。
PMSやPMDDの症状には個人差があるものの「イライラして相手に当たってしまった」など、経験がある人も多いはず。女性特有の症状なので、パートナーに理解してもらえないなど悩みもつきもの。ひとりで悩まず、心を許せる人に相談してみるのも良いでしょう。健やかに暮らすためにも、自分の心身ケアを忘れずに。日常生活に支障をきたすような問題がある場合は、婦人科を受診し、先生に相談しましょう。
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※この記事は専門医チームによる監修を受けています。
●参考資料
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/77/4/77_360/_pdf/-char/ja
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13