女性ホルモン専門家の西村留美さんによる連載。PMSに悩まされた経験と、セラピストとして培った知識をいかし、悩みに寄り添う情報をお届けします。
生理前になると無性にイライラする。自分で自分がコントロールできない! 彼氏や家族に暴言を吐いてしまう。あなたにもこんな経験があるかもしれません。もちろん、生理前になるとイライラしやすい原因として女性ホルモンのバランスの変化などが関係しているのですが、今回は違う角度から【イライラ】という感情に向き合ってみたいと思います。イライラのメカニズムを理解すれば、生理前のイライラの感情にも振り回されなくなるかもしれません!
イライラとは、“出し入れ可能”の感情だった!
あなたがイライラするときの状況を思い出してみてください。
誰かの言葉や態度、もしくは状況や環境があなたをイライラさせるのかもしれませんね。しかし、イライラという感情は“出し入れが可能”ということをご存知でしょうか?
アドラー心理学の提唱者であるアドラー氏はこう言っています。
「イライラというのは、自在に出したり引っ込めたりできるものだ」と。
例えば、初めて彼氏の実家に遊びに行った時のことを想像してみてください。
初めてということもあり、あなたは緊張しています。そんなときに、彼氏が全然自分に対して配慮してくれなくて、あなたのイライラはピークに達してしまいました。
彼氏の部屋で二人きりになった途端、あなたはそのイライラを爆発させてしまいます。
「ちょっと!初めてご両親と会ってものすごく緊張してるのに、何の配慮もフォローもないわけ?!信じられない!」と怒りマックスに彼氏を責め立てました。
すると間もなく彼氏のお母さんが部屋のドアをノックし「お茶の準備ができたわよ〜」と声をかけてきました。
その瞬間、あなたはさっと怒りを引っ込め、優しい声色でこう答えます。
「ありがとうございます♪ すぐに伺いますね!」
さて、お母さんへの返答を終えたあなたはどうなるでしょうか?
そうです、また鬼の形相に姿を変え彼氏を罵(ののし)るのでした。
お分かりでしょうか?
こうして、イライラ(怒り)という感情は自在に出したり引っ込めたりが可能だということ。イライラが抑えられないということはなく、実際はあなた自身がイライラを自在にコントロールしているのです。
イライラの下に隠れる本当の感情に気づく
ではなぜ、わざわざイライラ(怒り)の感情を出すのでしょうか?
イライラしているというのは、自分自身にとっても良い気分ではないので、できれば穏やかな心で過ごしたいですよね。
わざわざ、イヤな気分になってまでイライラの感情を出す理由。それは、あなたの心の奥にある本当の感情があなたをイライラさせているからです。
本当の感情、それは・・・
*もっと私のことわかってほしい
*ちゃんと愛情を示してほしい
*仕事ばかりしていないで構ってほしい
そう、こんな風に本当は「寂しさ」や「悲しさ」が潜んでいます。
これらの本当の気持ちに自分自身が気づいていないせいで、寂しさや悲しさはイライラ(怒り)となり爆発します。
イライラの本当の理由、それは「私の気持ちに気づいてー!!」というサインなのです。
なので、イライラしていると感じるときは、深呼吸をして自分は本当は何を感じているんだろうと胸に手を当ててみてください。
先ほどの例で言うと、彼氏が配慮してくれず、初めてのご両親との対面で緊張していた彼女は「不安で悲しかった」のかもしれません。
そのことに気付ければ、「不安だったから、○○が配慮してくれなくてとても悲しかったよ」とまっすぐに想いを伝えることができます。
そうすれば、なんで怒ってんの?!と彼も困惑せずに彼女の気持ちを受け止めやすくなりコミュニケーションも円滑になるのです。
特に生理前はイライラが出やすいとき! それは心も体も敏感になっている証拠です。そんな時こそ、イライラしたらその下にどんな感情が隠れているのか、自分自身で丁寧に感じとってくださいね。
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※この記事は専門医チームによる監修を受けています。
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