自分らしいスタイルを見つけ、充実したライフスタイルを目指すGINGER世代。日々を生きやすくする、楽しくするチップスをライフスタイルマーケターの丸野ひかるさんがお届け!
小さなヒントをお届け!
はじめまして。丸野ひかると申します。私はGINGER世代を外資系化粧品会社に勤務し、マーケティングやPRの仕事をしてきました。華やかなバブルの終末期から平成、令和と仕事を続けるなかで、たくさんの方々に出会い、楽しいことも厳しいこともたくさん経験。それは今の私の大切な財産です。また、長年のPR経験から、自分で体験した面白いこと、出会った美味しいもの、小耳に挟んだちょっとイイ話などをすぐに誰かに伝えたくなってしまう気質。備忘録のような徒然のこぼれ話が、忙しい毎日を生きる皆さんの小さなヒントになればうれしいです。
気持ちのこもった言葉でコミュニケーション
この春、海外へ旅する方がさらに増えています。旅の醍醐味といえば、食とお買い物。でも、皆さんは海外でのお買い物で残念な思いをしたことはありませんか? 言葉が通じないがゆえなのか、店員さんから素っ気ない態度を取られた、冷たかった…という経験談を聞くこともしばしば。
かつて私も海外のハイブランドのショップで苦い経験をしたことがあります。ワクワク、ドキドキしながらお店に入り、店員さんがにっこりと微笑みながら「May I Help you?」と声をかけられました。そのブランドにふさわしく、エレガントな身のこなしで近づいてきた彼女の迫力に押されて、「Just looking」とオドオドと答えました。結果、彼女の美しい微笑みはスッと消え去り「OK」といって、サッと立ち去ってしまったのです。本当は「このバッグ、ちょっと見せて欲しいな。色違いはあるの?」と聞きたかったのに…。
その後、アメリカ人の友人の買い物に付き合ってハイブランドのブティックを訪れる機会があり、友人の対応から学んだのです。
まず彼女が、ショップに入るとき。まるで友達に会うかのように「Hello」と言いながら店内へ。「May I help you?」と店員さんから声がかかると、ニッコリと優雅に笑って「Thank you, but I would like to take a look by myself.You have many beautiful stuff. (ありがとう。でもちょっと一人で見させて。あなたのお店には素敵なものがたくさんおいてあるわね)」と言ったのです。
店員さんも微笑み返しながら「Thank you. Please let me know if you need any help.(ありがとうございます。私が必要なときは知らせてくださいね)」と。そして、何も買わずにブティックを出るときにも店員さんに「Thank you」と声をかけ、店員さんからも「Please come back. You have wonderful evening.(また、ご来店くださいね。素敵な夜を)」 と言葉が交わされました。とても素敵なコミュニケーションではありませんか?
なるほど、「Just looking」はストレートに「見ているだけです」。まるで「私は冷やかしの客です」と公言しているようにも受け取られてしまいます。店員さんにしてみれば、買うつもりのないお客さんに対してお愛想は無用ね、という気持ちになってしまうかも。「どうぞご自由に」と、放っておきたくもなるでしょう。
せっかく声をかけていただいたのだから、短くても丁寧なコミュニケーションができたら成功。それ以来、わたしも友人に習って「Thank you, but I would like to take a look.(ありがとう、拝見させてもらいますね)」を採用。店員さんから温かい笑みを返していただけるし、楽しくショッピングをしています。
魔法の言葉を身につけて、‟気持ちのいい人”になる
また「Thank you」や「Please」は“マジックワード”と称されるほど、とても大切。欧米の子供達は親や先生など周囲の大人から口うるさく「magic word」をたたき込まれます。例えば、子供が親に「Give me some milk.(牛乳ちょうだい)」と言うと「Magic word?(マジックワードは?)」と促され、「Give me some milk, please.」と言い直させるいう具合に。
カスハラ(カスタマーハラスメント)などという残念な言葉も存在するほど、“買ってあげる”という上から目線で優位に立っているつもりのカスタマー(顧客)がいるのも事実。その威張った態度は、店員さんだけでなく、目撃した周囲の人をも不快にさせます。特に海外のハイブランドや星の数の多いホテルなどのスタッフは、そこで働くことにプライドを持ち、お客様にいかに気持ちよく時間を過ごしてもらうか、買い物を楽しんでもらうか、研鑽を重ねています。だからこそ、彼らの“お客様”を見る眼はプロフエッショナルで、しばしばお客様を選びます。
私たちはそんな接客のプロに対して敬意を払い、上下関係のないコミュニケーションを心がけたいもの。前述の‟感じのよい会話”は、大人の必須項目ですし、身につけておきたい基本的なマナー。
レストランで眺めの良い席に案内して欲しいとき、ホテルでエクストラなサービスをお願いしたときなど、ぜひニッコリ笑って魔法の言葉=マジックワードを使ってみてください。いかなるときも、“気持ちのいい人”であるようにと振る舞えたら、きっと良いことがありますよ。
丸野ひかる(まるのひかる)
米国のカレッジ卒業後、30年間以上、外資系化粧品会社にて新規ブランドの立ち上げ、マーケティング、PRマネージャーなどオールマイティに活躍。現在はフリーで、コスメ、ファッション、ライフスタイルなど「面白くて、人を幸せにするモノとコト」のPRに。日々の癒やしは、最愛のモフモフ猫との添い寝。