圧倒的な輝きを自らの努力で実現し、そして放ち続け、自身が“うつくしい”と称されることも多い田中みな実さん。彼女が今感じている「うつくしきもの」「心が磨かれるもの」について伺ったインタビュー。今回は、自然が生み出す“美”について語ってくれた。
ふかふかに生した苔
「京都の西芳寺(苔寺)や、お気に入りの伊豆の旅館。一面が絨毯みたいにふかふかな苔に覆われた境内や庭に足を踏み入れると、そこは蒸せるくらいに潤んだ空気で充たされている。ひそやかに根を張る生命力と静けさは荘厳で心洗われる。
庭師の皆さんに目いっぱい手をかけてもらって、雨の恵みを受け、青々と生す様は美しいを通り越して、どこか神々しい。横たわったらきっと気持ちがいいんだろうな…なんて罰当たりなことを夢想する」
穏やかであたたかな木漏れ日
「初夏に青山霊園を散歩するのが好き。桜の時季が終わって静けさを取り戻したころ、木々が生い茂り、瑞々しい新緑が葉脈を透かして、ゆらゆらとそよ風になびく、そんな季節。
中学3年の夏だったかな、授業で描いた水彩画で賞を獲ったことがあって。タイトルは『木漏れ日』。公園内のどの場所でもいいから、好きな風景を描くというテーマで、私は迷いなく、ふと見上げた木々の隙間からこぼれ落ちる光を描きたい衝動に駆られた。首が痛くなっても、ずっと見上げていたくなるほど美しくあたたかな光景、柔らかな木漏れ日」