登場人物、全員クズとワル?! 映画『悪い夏』が現在大ヒット上映中。主演を務める北村匠海さん、北村さん演じる佐々木守を翻弄する林野愛美を演じた河合優実さんにインタビュー。【後編】となる今回は、役柄の関係性から見えるもの、お互いからみた俳優の魅力、そしてタイトルにちなんだクエスチョンも!
簡単には割り切れない歪な関係

映画『悪い夏』を語るうえでハズせないのが、北村匠海さん演じる佐々木守と河合優実さん演じる林野愛美の関係性。愛や恋などと一言では括れない、複雑な関係性が物語に奥行きをもたせる。
「無気力な守が変わりだしたのは、愛美に対して抗えないほどの好意を持ったからだと思います。触れたい、とかそういうこと。守が最初に抱いた感情は、愛美がこれまでに他の男性から向けられてきたであろうものとなんら変わりなかったのかもしれない。だから嫌悪感を持たれても当然ですよね。でも、そこに美空という存在がいたから、ふたりへの愛情にシフトしていきましたし、自然とそれは揺るぎないものになったんだと思います」(北村さん)
「愛美が守に『だったら助けてよ』と言うのが印象的です。北村さんの言うとおり、守から向けられる好意は数ある男の人たちと同じものだったというのが皮肉ですが…私もそうだと思います。それを分かっていながらも、守に助けを求めたのは、『この人がきっとすくいあげてくれるんじゃないか』と直感的に感じた相手だから。愛美にとっての一筋の光だったんだと思います。とはいえ、最初から守に好意は芽生えていないだろうし、守をそばに置こうとしたのは自分と美空が今の生活から脱するためだったんじゃないですかね。打算的かもしれないけれど、それが愛美の生き方。それでもちゃんと『この人を大切にしてみよう』って気持ちになれたし、一緒に気持ちを育んでいけたのかなと思います」(河合さん)

俳優として数ある賞を受賞し、一気にスターダムを駆け上がっているおふたり。映画界を担っていく新世代のリーダーは、お互いのフィルターを通してスタンダードを知る。
「(河合さんに対して)すごいなと思うことはたくさんあるんですが、特に思慮の深さを感じます。芝居をする上で、僕は感覚に任せる瞬間もあるんですが、河合さんは行動のひとつひとつに彼女ならではの答えがある気がします。たとえば、水の持ち方とか持つタイミングとか。動作や仕草ひとつひとつに理由があって深さがある人だと思います」(北村さん)
「そういうことを感じ取ってくださる北村さんこそ、人に対しての感度が高いなと思います。北村さんは私よりもずっといろんな経験をされてますし、現場での立ち振る舞いや作品に対する姿勢もすごく大人。最近では映画を撮ることもされていて、腰を据えてその場所にいられる人だなと思います」(河合さん)
最後に、タイトルにちなんで「悪いクセ」「直したいクセ」についてクロストーク!
河合 相槌を『うん』って言ってしまうクセがあります。目上の方と話しているときは、良くないから直したいです…。
北村 僕もそれやっちゃうな。僕は…じっとしていられない! 机を叩いてリズムを刻んで、どれだけ馬が走っている音に似ている音を出せるかとか(笑)。
河合 気づかなかったです。それ撮影中もやっていました?
北村 そういうときは音が出ないように動いてますよ(両手の指をくるくるさせながら)。子役のときは、ただ立っていることができなくてヒザを動かしていたら、「画のなかが揺れてる!」って注意されたことも(笑)。
河合 (笑)
北村 本当は今も動きたいけど、めっちゃ抑え込んでます(笑)。
『悪い夏』

出演/北村匠海、河合優実、窪田正孝 ほか
監督/城定秀夫
原作/染井為人『悪い夏』(角川文庫/KADOKAWA刊)
配給/クロックワークス
waruinatsumovie.com
※3月20日(木・祝)より全国大ヒット公開中!
北村匠海(きたむらたくみ)
1997年11月3日生まれ、東京都出身。2008年『DIVE!!』で映画デビュー。2011年に4人組バンド「DISH//」を結成し、メインボーカルとギターを担当する。『君の膵臓をたべたい』(17)で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の新人賞を受賞。主な映画出演作に『ディストラクション・ベイビーズ』(16)、『勝手にふるえてろ』(17)、『OVER DRIVE』『春待つ僕ら』(18)、『十二人の死にたい子どもたち』(19)、『思い、思われ、ふり、ふられ』(20)、『東京リベンジャーズ』シリーズ(21,23)、『とんび』(22)、『法廷遊戯』(23)など。2025年2月には企画・脚本も手掛けた初の短編映画監督作品『世界征服やめた』が公開された。
河合優実(かわいゆうみ)
2000年12月19日生まれ、東京都出身。2021年に出演した『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』での演技が高く評価され、各賞の新人賞などを受賞。2023年に『少女は卒業しない』で映画初主演を務める。2024年には主演作『ナミビアの砂漠』が第77回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞、同作及び『あんのこと』で第67回ブルーリボン賞、第98回キネマ旬報ベスト・テンなどの主演女優賞を受賞。近年では『ルックバック』(劇場アニメ・24)、『敵』(25)など話題作への出演が続いている。待機作には『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(4月25日公開)、『ルノワール』(6月20日公開)がある。
SHOP LIST
エドストローム オフィス
03-6427-5901