生理痛(月経困難症)に悩む女性は、800万人といわれています(※1)。また、現在どの年代よりも20代、30代女性の子宮頸がんが増えているそう。女性医療ジャーナリストの増田美加さんに、改善・予防について伺いました。(※1)⽇本⼦宮内膜症啓発会議「Fact Note P3 図4 ⽉経困難症患者の現状」
生理は本来痛くない、重くないもの!
生理(月経)のトラブル、特に生理痛は、多かれ少なかれ誰にでもあるもの。けれども、生理中に現れる強い下腹部痛や腰痛などで日常生活に支障が出たり、毎回、鎮痛剤を飲むほどなら、月経困難症です。生理は、本来そんなには痛くないものです。
月経困難症は、生理のある女性の30%に見られます。子宮内膜でつくられる痛み物質(プロスタグランジン)により、子宮が収縮するため腹痛や頭痛、吐き気、下痢などが起こります。子宮筋腫や子宮内膜症が原因のことも。受診の見極めは、以前より症状がひどくなったと思ったときです。我慢せず、婦人科を受診して。婦人科では、生理痛を軽減できる治療法があります。
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検診+ワクチンで子宮頸がんは予防できる
子宮頸がんは「検診+ワクチン」を組み合わせることで、90%以上予防できます。子宮頸がん検診は、自治体や企業の検診だと無料あるいは、かなり低価格で受けられます。綿棒くらいの柔らかいブラシで、子宮の入り口の細胞を取るため、痛みもほとんどありません。万が一、異常があっても“前がん病変”で発見できれば子宮を失わない治療ができ、妊娠も可能です。ただし将来、流産率が高まると言われているため、検診での早期発見も大事ですが、かからないよう予防もしたいのです。
子宮頸がんのおもな原因は、性交渉によるHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染です。子宮頸がんを予防できるのがHPVワクチン。HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)は、世界100ヵ国以上で認可され、60ヵ国以上で公費接種が行われています。
このワクチンは、20歳以上の女性も接種するメリットがあります。仮に今、HPVに感染していても有効です。そのわけは、がんになるリスクの高い16型、18型両方に感染している人はほとんどいないからです。たとえ、どちらかに感染していても、もう一方の感染は防げます。そして、多くのHPV感染は、しばらくすると免疫力で自然消滅します。ワクチンを摂取していれば、消滅したあとのセックスによる再感染を防げるからです。
つまり、HPVワクチンでウイルス感染を防ぎ、子宮頸がん検診でがんを早期発見することで、子宮頸がんに90%以上かからなくすることができるのです。
>>HPVワクチンは20代30代でも接種する価値があります!
自分の健康を守り、快適な人生をおくるためにも、正しい知識を持って、適切な受診やケアをしていきましょう。
●参考資料
厚生労働省 子宮頸がん予防ワクチンQ&A http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html
厚生労働省研究班(祖父江班)全国疫学調査結果報告平成28年12月
Suzuki S, et al. Papillomavirus Research 2018; 5: 96-103.
世界的な公衆衛生上の問題「子宮頸がんの排除」」WHOスライド(日本語翻訳版)jsog