女性医療ジャーナリストの増田美加さんによる連載。人生の基礎になる“健やかな体”を手に入れるための最新知識をお届けします。※2021年2月4日更新(最新情報に基づき加筆・修正しました)
「生理不順」は文字通り生理が順調でないことを指す言葉で、医学的には「月経異常」とされる症状の一部ですが、どの程度のことをいうかご存知ですか? 生理間隔や生理期間は何日が正常で、どのくらいだと異常なのでしょうか? その見極め方をお伝えします。生理周期は、最もわかりやすい心と体の健康の指標。健康と美容のためにも、自分の生理周期、知っておきたいですね!
25~38日の周期であれば正常な生理です
「生理期間は何日間が正常ですか?」「月によって生理期間がバラバラなのは変ですか?」という疑問、不安がよく寄せられます。
医学的に“きちんとした周期”といえる正常な生理周期は、「25~38日の間に生理が来て、3~7日間出血が継続している状態」です。
よく勘違いされるのが「先月は26日で来たのに、今月は32日だった」と言って、「生理不順では?」と心配すること。でも、変動が6日以内で、25~38日の間に生理が来ていれば、月によって多少バラつきがあっても問題ありません。
生理は、ストレスや生活リズムの変化に敏感に反応します。ストレスが強かった月や生活リズムが変わった月は、生理が3ヵ月近く開くことも時にあります。だからといってそれだけで大きな心配はいらないのです。
ただし「3ヵ月以上生理が来ない」「24日以内で頻繁に生理が来る」というような生理周期の乱れが続いたら、婦人科を受診しましょう。
生理不順のパターンと対処法は?
生理不順にも、いくつかのパターンがあります。それぞれのパターンについて対処法から妊娠、出産への影響について説明します。
●稀発月経(きはつげっけい)
生理の正常周期は25日~38日間のサイクル。個人差はありますが、39日以上、間があいてしまうような、周期が長い生理のことを「稀発月経」といいます。
稀発月経の原因は、卵巣や脳下垂体、甲状腺の異常などがあり、女性ホルモンが順調に分泌されていない可能性が考えられます。
稀発月経でも排卵があれば、妊娠、出産が可能ですが、無排卵の可能性も多いです。
1~2カ月様子をみて、生理周期が正常になればいいですが、周期が長く開いてしまう状態がさらに続くようなら、婦人科で調べてもらいましょう。
●頻発月経(ひんぱつげっけい)
生理周期が24日以下の短いサイクルで生理が来ることを「頻発月経」といいます。
原因は、卵巣の機能不全か、ストレスで女性ホルモンの分泌が乱れたことなどが考えられます。
頻発月経のなかには、女性ホルモンのひとつであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が不十分で、排卵日から生理開始までの期間が短くなってしまう「黄体機能不全」という病気の場合もあります。
プロゲステロンが不足すると、子宮内膜が十分に成熟しないため、妊娠しにくくなる可能性があり、妊娠しても流産が起こりやすくなることも。
妊娠、出産を望んでいる人は、早めに婦人科を受診しましょう。
●過少月経(かしょうげっけい)、過短月経(かたんげっけい)
生理の出血量が少なく、ナプキンに出血がわずかにつく程度で終わってしまうような生理を「過少月経」と言います。
また、生理が2日以内で終わってしまう生理を「過短月経」といいます。
いずれの場合も、原因として子宮内膜炎、子宮内の癒着(くっついている)、子宮発育不全など子宮に原因があるもの、ホルモン分泌不全(女性ホルモン、甲状腺ホルモンなど)があります。
生理はきても、排卵のない無排卵月経になっている場合もあるので、不妊症の原因になることもあります。
婦人科を早めに受診しましょう。場合によっては、ホルモン剤などで治療が必要なこともあります。
●過多月経(かたげっけい)、過長月経(かちょうげっけい)
ナプキンを1時間おきに替える、昼に夜用ナプキンを使う日が3日以上あると可能性が。自分ではなかなか判断が難しいですが、月経のたびに貧血になる(血液検査で)のも過多月経のひとつの目安です。以前より出血量(経血量)が増えたり、生理期間が7日を越えたら注意。子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症、子宮内膜増殖症、(子宮体がん)などのほか、血液が固まりにくいような血液疾患が原因のことも。
婦人科で原因を検査して治療しましょう。貧血にも要注意です。
基礎体温は女性にとってのミカタになります!
婦人科を受診するときには、できれば基礎体温表を持参しましょう。
基礎体温には、生理周期だけでなく、排卵があるかどうか、卵巣の機能が大丈夫か・・・など、たくさんの情報が詰まっています。
生理がきちんと来るのは、卵巣から出る女性ホルモンのリズムが順調なとき。大きなストレスがあったり、寝不足が続いたりするだけで、脳からの卵巣への指令も狂いが生じてきて、女性ホルモンの分泌が狂ってしまうのです。
「ここのところ生理が不順気味・・・」と感じたら、逆にストレス過多や生活リズムが乱れているのかもしれません。ストレスケアや生活リズムを立て直すことも大切ですね。
※この記事は専門医チームによる監修を受けています。
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