現代美術アーティストとして世界中で人気を博す村上隆。2023年度に90周年を迎えた京都市京セラ美術館で「村上隆 もののけ 京都」として、国内では8年ぶりとなる大規模個展が開催される。世界中を虜にするアートを鑑賞したい。(ライター/和多亜希)
琳派×アニメを融合させた村上隆のアートとは?
浮世絵や琳派などの日本の伝統美術に、漫画やアニメなどのサブカルチャーをミックスさせて誕生させた村上隆のアート。それは遠近法などをあまり使わない平面的で余白の多い日本画と、漫画やアニメも立体感なく平面的であることを突き止めて結びつけると共に、日本社会の在り様にも言及した「スーパーフラット」を提唱し、現代美術シーンに大きな影響を与えてきた。多くの絵師たちが描いてきた題材も村上隆の手にかかればどこかポップでユーモラス。今の時代を映した彼独特の作品を堪能したい。
巨大スクリーンのような、圧倒される作品多数
京都で初となる村上隆の個展は、約180点のうち160点以上が新作。6つのゾーンに分かれて構成されている。本館中央ホールでは迫力満点の立体作品「阿像」と「吽像」が出迎える。
江戸初期に活躍した岩佐又兵衛の「洛中洛外図」(京都の市街と郊外の景観や風俗を描いた屏風絵)を完全リメイクした全長12mの巨大な屏風絵。江戸時代の京都が俯瞰で細密に描かれながらも、そこかしこに村上隆のキャラクターが潜んでいる。まるで「ウォーリーをさがせ!」? 五条の橋の上で踊り狂う町民や顔を隠しながら遊郭へ出入りする武家など、当時の様子を垣間見ることができ、いくら見ても見飽きることはなさそう。
曽我蕭白の「雲竜図」に触発されて3ヵ月間かけて描いた全長18mの「雲竜赤変図」は日本初公開。赤一色で描かれ、ダイナミック!
展覧会のメインビジュアル。尾形光琳の「孔雀立葵図屏風」の横一列に配された立葵を思わせる作品。空が金で覆われ、グッと琳派感が出ている。
思わず微笑んでしまう、ゆるキャラがかわいい
俵屋宗達の「風神雷神図屏風」の村上版新作。お馴染みの「風神雷神図」も村上隆の手にかかれば、コミカルで微笑ましい作品に一変。金箔をそのまま大胆に背景として生かした構図は健在で、2つの神が金箔の空間に浮かぶ姿もなんだか愛らしい。
デジタルな作品をペインティングで描いた力作。108枚の花は煩悩の数を表しているという。人を煩わせ、悩ませる心の作用がお花1枚1枚に描かれているのかも?
見逃せない!日本の伝統文化の象徴が村上隆流に描かれる
京都にある永観堂の国宝「見返り阿弥陀」がモチーフとなった作品。阿弥陀如来の顔の表情や背景の細部の描写に目が釘付けになること請け合い。
歌舞伎座で、十三代目市川團十郎白猿の襲名披露にて大きな話題となった祝幕の原画。歌舞伎十八番の全ての演目がデザインされ、成田屋に代々受け継がれる所作である睨みにも注目!
会期中には、金色に輝く高さ10mの巨大な彫刻作品「お花の親子」が京都市京セラ美術館の日本庭園に設置されるほか、新作も順次追加。巡回なしの京都だけの開催となるというから、見逃せない!
「村上隆 もののけ 京都」
開催場所/京都市京セラ美術館 東山キューブ
開催期間/開催中(2024年9月1日まで)
https://takashimurakami-kyoto.exhibit.jp/