日本から地理的にも近く、観光やグルメスポットも充実していると、アフターコロナの旅先としても人気が高まっているベトナム。前回のハノイに引き続き、今回は、ベトナム経済の中心地であり、東南アジアでも有数の大都市ホーチミンの旅をご紹介。
フランスの薫りも漂う、美しい街並みが魅力
ベトナム南部に位置するホーチミン。かつては「サイゴン」と呼ばれ、ベトナム最大の都市であり、経済、文化、観光などの中心地のひとつ。また、ホーチミンは、フランス統治時代に西洋文化の影響を受けたコロニアルな建物が多く建築され、そこに民族の文化であるオリエンタルな雰囲気が絶妙に入り混じった美しい街並みが魅力で、“東洋のパリ”とも言われている。
滞在していた首都ハノイからは、飛行機で2時間ちょっと。ちょうど東京と福岡のような距離関係。今回の旅で利用したベトナム航空は、国内便になるので当然ながら本数が多く、タイムロスなく移動ができてとても便利。
前回の記事でも触れましたが、南北に長いベトナムは地域によって気候が異なり、ハノイを中心とする北部は10~12月、ホーチミン市がある南部は11~4月頃が乾季。今回の訪問時期はホーチミンが雨季から乾季に変わる境目だったので、空は少しどんより気味。
ただ、雨季といっても、ずっと雨が降り続くわけではなく、南国特有のスコールのような雨がザッと降ったらすぐに止んで晴れ間も出るので、十分楽しめる。
ホーチミンでおすすめしたい人気の観光スポットを紹介していこう。
外せない定番スポット「ドンコイ通り」
ホーチミン市内の中心に位置する「ドンコイ通り」。サイゴン大教会からサイゴン川へ向かうおよそ1キロメートルにわたる通り沿いに、ショッピングセンターや大型ホテル、雑貨店、レストランなどが建ち並ぶ、市内随一の観光ストリート。通りの中程にある市民劇場やホーチミン市人民委員会庁舎など、植民地時代の遺産であるコロニアル建築の見どころも多く集まるエリアなので、まずは訪れておきたいおすすめエリア。
ほとんどの観光スポットが徒歩圏内にあるので、観光を楽しみながらショッピングをしたり、カフェで休憩したりと、一日中楽しめる。
ドンコイ通り沿いの注目スポットを紹介していくと…。
ホーチミン市人民委員会庁舎
「ホーチミン人民委員会庁舎」は、1908年の仏領インドシナ時代、駐在フランス人のためのパブリックホールとして建てられたもの。フランスのアンビール(帝政)様式の左右対称のデザインが特徴で、壮観なレリーフ装飾が施された庁舎は、100年以上経った今でも色褪せることなく、当時の様子を伝えている。ちなみに、内部、敷地内は立ち入り禁止。
人民委員会庁舎を拠点にまっすぐ伸びるグエンフエ通りの最北端にはベトナム建国の父・ホーチミン像が。ここから撮影するのもおすすめ。
オペラハウス「市民劇場」
フランス統治時代を象徴するバロック様式の建物で、ファサードに刻まれたレリーフなど、精緻な装飾が施された外観は、パリのオペラ座を思わせる美しさ。こちらも普段は閉まっていて、オーケストラやショーなどのイベントが開催されているときしか足を踏み入れることはできない。劇場内の装飾も素晴らしいそうなので、ショーを観覧がてら見学しても。
ホテル「マジェスティック・サイゴン」
ドンコイ通りの終点、サイゴン川にぶつかる通り沿いの角にあるのが、1925年開業のホーチミンを代表する5つ星ホテル「マジェスティック・サイゴン」。フランス統治時代の歴史を感じるコロニアルホテルで、円柱やステンドグラス、シャンデリアに彩られたロビーなどは、一見の価値あり。ベトナム戦争時代には各国のジャーナリストが逗留したことでも知られ、現在も各国のVIPやセレブリティ御用達の格調高い老舗ホテル。
サイゴン川が目前に広がる絶好のロケーションなので、お散歩がてら1階にあるカフェでお茶して、セレブ気分で優雅なひと時を過ごしても◎。また、ルーフトップバーも最高に眺めがよいと評判なので、夜に訪れてもいいかも。
このほか、「マジェスティック・サイゴン」とは真逆に位置するドンコイ通りの始発点にある、19世紀末に建てられたレンガ造りが美しいカトリック教会「サイゴン大教会(聖母マリア教会)」もホーチミンを象徴する歴史的建造物として有名(残念ながら現在は改装工事中。終了時期は未定)。
通り沿いのお店も見逃さずに!
ドンコイ通り沿いには、ほかにも雑貨屋、カフェやレストラン、スパマッサージ店などが所狭しと並んでいる。また、ちょっと足をのばしたバスター通りにはセンスのいいブティックが軒を連ねていたり、トンタットティエップ通り沿いには個性的な店が密集していたりと、このエリアだけでいろいろと楽しめる。
360°のパノラマビュー!「サイゴン スカイデッキ」
次は、「マジェスティック・サイゴン」の写真を撮っていたときに気になった展望台、「SAIGON SKYDECK(サイゴン スカイデッキ)」へ。
ビテクスコ・フィナンシャル・タワーという高層ビルにある展望デッキで、ベトナムで最初の国際的なクラスのタワーといわれているそう。
スカイデッキ専用の入り口でチケットを購入し、エレベーターで49階へ。地上178メートルにつくられたデッキは360°ぐるりと景色が見渡せる回廊になっていて、街全体を一望できる。
ホーチミン市を2分するように市内中央に流れるサイゴン川。経済発展の著しいベトナムは、近代的なビルもたくさん建ち並ぶ。
昼間の景色ももちろん素晴らしいけれど、21:30までオープンしているので夜景観賞に訪れるのもいいかも!
スカイデッキの上層階は、カフェやレストラン、バーがあり、美しい景色と一緒に食事やお酒を楽しむことも可能。タワー内は商業施設になっていて、レストランや有名ショップも入っているので、多くの観光客で賑わう人気スポットに。
ホーチミン最大のマーケット「ベンタイン市場」
先程訪れた「市民劇場」や「人民委員会庁舎」から徒歩10分。ホーチミン市のほぼ中央に位置する街のランドマーク的存在が、ここ「ベンタイン市場」。約1万㎡もの敷地内に大小2000軒以上のショップが集まっており、雑貨やファッション、加工食品などの観光客向けのお土産から、地元の人が購入する日用品や生鮮食品まで、あるゆるものが揃っている。ホーチミンを訪れた観光客が、必ず立ち寄るような名物スポットなのだ。
一歩足を踏み入れると、目に飛び込んで来るのは所狭しと並んだ物と人人人…。活気あふれる場内の雰囲気に、東南アジア独特の熱気を肌で感じる! 店はカテゴリー別にエリア分けされているので、場内の配置を頭に入れてから回遊すると効率的。
値段交渉しながら買い物を楽しむのも、マーケット散策の醍醐味。金額は交渉次第の店がほとんどで、言い値の1/3~1/2程度から交渉スタート。まとめて買うと安くしてくれることも多い。
また、コーヒーやドライフルーツ、お菓子などの食品も安くて豊富。地元の人々が集まる食材のエリアもあるので、屋台で食事をしながら買い物を楽しめる。場内にあふれる熱気に包まれながら、エスニックな雑貨からファッション、ベトナム伝統柄の小物、食品まで、掘り出し物を探して!
「戦争証跡博物館」で平和を願う
ベトナム戦争で実際に使用された兵器や当時の写真などの資料を展示しているのが、ここ「戦争証跡博物館」。屋外にはコンソン島の牢獄「トラの檻」を忠実に復元し、戦闘機や戦車なども展示。訪れた国の歴史を学ぶ大事な機会に。
ちなみにベトナム戦争とは、ベトナムの南北統一を巡る争いにアメリカが介入し、1975年まで十数年にわたって行われた戦争。犠牲者はベトナム人だけでも200万人以上。枯葉剤の後遺症は現在も残るという。
ベトナムは、中国、フランスと他国から占領されていた歴史が長く、それに加えてベトナム戦争と、侵略者との戦いの歴史がある。そのため、男女ともに徴兵制があるのだそう。ベトナムのパワフルさは、歴史を背景にした不屈の精神からきている部分もあるのかもしれない。
ウクライナやパレスチナなど、世界のどこかで実際に戦争が起きている今、戦争の悲惨さを改めて認識し、平和を願いたい。
ちょっと足をのばして行きたい「タオディエン地区」
市街中心部から車で約15分の距離に位置する「タオディエン地区(2区)」。サイゴン川の対岸にあり、西洋風の高級マンションやヴィラが建ち並ぶ高級住宅地で、欧米人を中心とした外国人居住者が多い地域だ。
元々は軍の使用エリアだったため開発が遅れていたが、最近再開発が進み、おしゃれなレストランやカフェ、ショップなどが次々にオープン。閑静な佇まいが魅力で一日中のんびり過ごせることから、リゾート気分を味わいたい観光客にも人気のエリアとして注目を集めている。
今回ランチで訪れたのが、雰囲気抜群のベトナム家庭料理レストラン「Quan Bui Garden(クアン ブイ ガーデン)」。「Quan Bui」は市内にも店舗があるけれど、ここタオディエン地区にある「クアン ブイ ガーデン」は、なかでも特に雰囲気が良いと評判のお店。
エントランスの門をくぐると、緑あふれるガーデンのテラス席が広がっていて、どこか懐かしいランタン風の照明の店内も素敵。お料理もどれも日本人の口に合う、食べやすいものばかり。
ベトナム料理というと生春巻きやフォーを思い浮かべる人が多いかもしれないが、実際は肉でも魚でも煮込み料理が多いのだそう。煮物やスープと一緒に、お米を食べるのが家庭でのスタイルらしい。
このレストランは味も雰囲気もよく、それでいて値段は比較的リーズナブルなので、タオディエン地区を訪れる際にはぜひ寄ってみて。
市内の移動は「Grab(グラブ)」が便利!
日本のように電車網が発達していないホーチミンでの移動は、もっぱらバイクか車。ハノイと同じく、通りを埋め尽くすバイクの群れに圧倒される。
そんな移動の際に便利なのが「Grab(グラブ)」。Uberのアジア版のようなライドシェア・配車アプリで、現在地と行先を入力すると、近くにいるドライバーが迎えに来てくれる仕組み。携帯に住所を入力するだけで済むので(アプリは日本語で表示される)言葉が通じなくても簡単だし、カード決済なので安心。
「Grab」は、車とバイク、両方あるけれど、ここはあえてのバイクに挑戦! 風を切ってバンバン進むのが爽快! スカートだと若干乗りづらいので、パンツスタイルがおすすめ。
バイクは初乗り2km以降の運賃が、1kmあたり1万2500VND(約78円)と、めちゃくちゃ安い。ちなみに4人乗りの車の運賃は、初乗り2kmが2万9000VND(約181円)。利用しない手はない!
「Suoi Tien Theme Park(スイティエン公園)」でワニ釣りに挑戦
普通の観光では物足りない人におすすめなのが、「Suoi Tien Theme Park(スイティエン公園)」。市内からは車で約1時間。なんとワニ釣りができるという公園なのだ。
入り口でチケットを購入し、いざ! ワニ園「Crocodile Kingdom」は、公園の一番奥にあるとのことで、途中にある巨大オブジェに圧倒されながら奥へと進む。園内はかなり広く、しばらく歩くとワニ園に到着。ワニ園に入園するには別途チケット代が必要。
ゲートをくぐって中に入ると…ワニがうじゃうじゃ! めちゃくちゃたくさんいる。日中の暑さのせいなのか、ほとんどみんな置物のように動かないけれど、すべて本物。その数、なんと25000頭!!
池の中心にワニの釣り堀があり、ここでワニ釣り代(2万VND/1回)のチケットを購入。チケットと交換して肉塊のついた竿を受取り、早速チャレンジ!
ワニはたくさんいるので、どこでもOK。ワニの鼻先に糸を垂らし、肉塊をユラユラさせると、始めは無視していてもエサを意識するとゆっくり動き出し、いきなりバクッ!と驚きの早さでエサに食らいついてくる。その瞬間、肉を取られないよう、竿を素早く引き上げるのがポイント。
肉がなくなるまでワニとの攻防戦が続き、実際にやってみるとこれが想定外に楽しい! 実際にワニを竹竿で釣り上げられるわけはないけれど、何度も挑戦したくなるから不思議。1回2万VND(約124円)だから、気兼ねなくチャレンジできる。
このほか園内には、観覧車やジェットコースター、お化け屋敷などのアトラクション、プール、レストランなどいろいろあり、ピクニック気分でいろんな楽しみ方ができる。
※アトラクションはそれぞれ別途料金がかかります。
幻想的な夜景「サイゴン川ディナークルーズ」
サイゴン川から眺める美しい夜景とベトナム料理が楽しめるディナークルーズ。経済発展の著しいホーチミンは高層ビルも多く、夜になると市内のあらゆる建物がライトアップされ、とても幻想的。
展望台から眺める夜景ももちろんキレイだけど、ライトアップされた建物が川に映り込んだ夜景は独特の風情があって本当に素敵。
乗船した船は「INDOCHINA QUEEN号」。ベトナムと中国と西洋が混在した、派手な装飾がアジアっぽい。大きく開いた窓から外を眺められる仕様に。
船内では、ベトナムの伝統楽器である世界的にも珍しい一弦タイプの琴「ダン・バウ」を使った民族音楽の演奏やダンスなどのショーも。
素晴らしい夜景と料理を楽しみ、大満足! こんな贅沢を堪能できるのも、ベトナムならでは。
そのほかのおすすめレストラン
伝統的なベトナム料理をサーブしてくれるレストランをご紹介。
「SH GARDEN」
ドンコイ通りにある「SH GARDEN(SHガーデン)」。ホーチミン市の中心に位置し、100㎡の広々としたオープンバルコニーを備えている。200種類以上の伝統的なベトナム料理に舌鼓を打ちながら、ホーチミン市の素晴らしい夕日鑑賞も。
「HOME SAIGON」
ホーチミン市の中心部近くに位置し、アールデコ調のヴィラが目印。ディナーで訪れたので、ランタンに照らされたコロニアルな建物がいい感じ♪
エレガントで洗練された雰囲気のなかで、本格的なベトナム料理を楽しめる。
お土産はスーパーマーケットでまとめ買い
旅行で頭を悩ませるのが、お土産。そんなばら撒きみやげには、食材からお菓子まで、手頃なものが揃っているスーパーマーケットが便利。
おすすめは、ベトナム発のBean to barのチョコレートブランド「MAROU(マルゥ)」のチョコレート。ベトナム産カカオの美味しさを世界に発信するショコラティエで、日本上陸はしているけれど、まだ店舗はなく通販でしか手に入らない。地元のスーパーマーケットでの購入がお得。ドライマンゴーなどドライフルーツやナッツもおすすめ。
米粉麺の乾麺やインスタント食品、調味料、お菓子、ドリンクなども、豊富に揃っているから、旅の締めくくりにぜひ立ち寄ってみては?
ホーチミンでステイしたホテルは・・・
ホーチミンで宿泊したのは、4つ星のブティックホテル「The Odys Boutique Hotel(ザ オディス ブティック ホテル)」。ベンタイン市場とオペラハウスから歩いて5分くらいの場所に位置し、観光名所に近く、アクセスも便利。
広々としていて清潔感あふれるゲストルーム。バスルームも可愛い。またジャグジーつきの広いバスタブつきで、旅の疲れをゆっくり取れるのも嬉しい。
朝食はビュッフェスタイル。アジアンからヨーロッパ料理まで用意があり、卵料理やフォーなども、その場でオーダーして作り立てをいただける。
眺めのいいテラス席で食べる朝食は最高!
The Odys Boutique Hotel
65–67–69 Nguyen Thai Binh Street,District 1,Ho Chi Minh
https://theodyshotel.com/
ベトナムから帰国
楽しかったベトナム滞在も終了し、帰国の途に。今回、ベトナムからの帰国便は深夜出発。こんなときビジネスクラスだと、座席をフルフラットにして休めるから、機中泊でも快適に過ごせる。
また、ビジネスクラスを利用すると、出発までの時間に空港のラウンジを利用できるのも便利。軽食サービスなどのほか、PCが使えるビジネスデスク、シャワーや仮眠室、マッサージチェアまであり、優雅なひとときを過ごすことができる。
滞在費がリーズナブルな分、エアーに予算をかけるのも賢い選択。空の旅を存分に楽しみたい人におすすめ!
観光もグルメも、空の旅まで充実していたベトナム旅行。週末+αで気軽に行けるから、次の旅行先候補としていかが?
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取材協力/ベトナム航空
www.vietnamairlines.com