フレグランスブランド「ショーレイヤード」とヘアメイクアップアーティスト冨沢ノボルさんのコラボによるアートプロジェクト『Another Aspect』。現在ショーレイヤードの本店‟恵比寿”で開催中ですが、‟感性が震える”と評判に。このプロジェクトを実現させた、セントネーションズ代表の石坂将さんと、冨沢ノボルさんに「香り」「アートプロジェクト」「今後のビジョン」について美容マニアの河西景翔が直撃インタビュー!【美容深堀隊が行く!Vol.6】
ヘアアクセではありません!最新の‟アート×香水”で‟五感”を磨く

‟香り”は本来目に見えないもので、人それぞれの感性、感覚で選び、心地よい気分を楽しみ、自己表現をしていくもの。それを‟目に見えるもの”‟アート”に落とし込んでいる今回のプロジェクトの立役者であるお二人に、まずは企画を進めるに至ったきっかけを伺ってみると――。

石坂 振り返ると、会うべくして会う巡り合わせのなかで今回の企画展は出来上がったのではないかと感じます。富沢さんにお会いした瞬間、お互いのヴァイブスが高揚したのを今でも覚えています。「あ! これは何かいいものが生まれるかもしれない」と思い、すぐに打ち解けて企画がスタートしました。
冨沢 私自身、普段からメイクという技法で目に見える作品を多く作っているのですが、その反対に香りのような「目に見えないもの」を作っている方を非常にリスペクトしていて。今回の企画展のお話をいただいたときから石坂さんには興味津々でした。実際お会いしたらすぐに心と心が通じ合って、石坂さんが作られたフレグランス「1945」の7つのストーリーを伺い、より心が惹かれ「早く仕事が一緒にやりたい」と思いました。最初は、お互いの過去の作品を展示するイメージでしたが、話し合いを進めるなかでせっかく出会えたのだから「新しいものを作りたい」「本格的なコラボレーションをしたい!」となり、「1945」をテーマに一からイメージを再構築して今回の作品を作り上げました。

この運命的な出会いが、今回の刺激的かつ最新の作品につながっているよう。その作品の制作過程、そして出合いから得たものについて聞くと――。
石坂 私自身、現在に至るまで誰かをお手本にしてきたのではなく、あくまでも自分の‟勘”を信じてここまでやってきました。しかし、今回ノボルさんと作品を一緒に作るなかで‟想像”から‟創造”へとつながるクリエイションや、一般的ではなくノボルさんだからこそ出来る唯一無二の作品を目の前にして、様々な角度から‟学び”を得ました。結果、私の自信を強め、次に進めている企画に対しての想いも加速させてくれた様な気がしています。
冨沢 作品を見ていただくと分かると思うのですが、「1945」のボトルを手に持つだけではなく、様々な場所に載せて撮影をしています。なかには、ボトルすら写っていない作品もあり、意図的にこちらが仕組んだ‟想い”を見る側にも探ってもらいたい。そして、「1945」シリーズの最後に「orange」という香りの作品があるのですが、これは和と洋をミックスさせた面白い作品に仕上がっています。ポニーテールを作るとき、ポニーテールが最も美しく見える位置があって、その位置に「1945」を置いています。これも「最初からそこにおいてみよう!」となったわけではなく、ヘアメイクを施し、撮影をしている過程で生まれた、偶然でもあり必然でもある――「誰もが考えつかないから面白い」。石坂さんとはそんな視点さえも合致して、‟いいね”の意見が合うので、とても楽しく仕事をすることができました。

そんな思考回路、感性がかなり近しいお二人ですが、今後のそれぞれの分野でのビジョンについては――。
石坂 昨今、日本の文化がどんどん薄くなっている気がします。私たちが今こうして生きているのは、私たちの前の人たちからのバトンを引き継いでいるから。このバトンを次の世代へ引き継いでいくのも私の役目だと思っています。日本でだけ暮らしているとついつい自分の国の良さを忘れがち。でも実は、日本には四季があって自然環境に恵まれた国ではありません。私が作る‟香り”が「made in Japan」にこだわるのは、まさに目に見えない香りで日本の良さや文化を全国、そして全世界の皆さんに伝え、感じ取ってほしいのです。
冨沢 仕事環境的に常日頃から世界へ向けて勝負をしてますが、私自身「外から見た日本」という感覚を大切にしています。作品のなかでも私にしか創ることができない「日本らしさ」を組み込み、それが海外から高い評価を受けたときは「やっぱり日本は素晴らしい国だ」と再確認するんです。離れた場所(海外など)から見ることでこそ日本の良さをより深く、広く感じとれる。そんな機会を今後はもっと作品を通して増やし、と同時に日本の良さをアナウンスしていきたいと思っています。
モノづくりに対するお二人の真摯な姿勢そして、自分の軸をしっかり持っていらっしゃる思考から感じたのが「人と同じでなくてもいい」「ありのままを認めることへの大切さ」ということ。と同時に石坂さんが作り出した‟香り”と、冨沢さんが手がけた‟アート”を見ることで私たち日本人が忘れかけてしまった「文化」や「思想」を肌で感じ、自分の感性も磨かれたような感覚に。

場所/SHOLAYERED 恵比寿本店(東京都渋谷区恵比寿西1-16-2恵比寿フラワーマンション2F)
開催日時/~2025年5月9日(金)
営業時間/11:00~18:30
入場料/無し
今回展示が行われているショーレイヤード恵比寿本店の2階は、「屋根裏の調香師」をコンセプトに設計されており、壁一面のアラベスク模様のタイルや屋根瓦は全てフランスから取り寄せて作られているそう。東京にいながらフランスを味わえるこの空間は、カフェでもあり、オリジナルフレグランスを作ることもできるとか(※オリジナルフレグランスは要予約)。2025年5月9日(金)まで開催されているプロジェクト。香りとメイクが紡ぎ、一瞬を切り取った作品を鑑賞し、視覚そして嗅覚を刺激与えて感性磨きをしてみませんか。
scentnations
03‐3780‐0825

石坂 将
1982年生まれ。学習院大学卒業後、英国ランカスター大学大学院にて修士課程を修了。帰国後フレグランス業界に従事し、数多くの商品をプロデュース。2010年にはプロデュース商品が日本フレグランス大賞を受賞。2012年1月にフレグランスメーカー「セントネーションズ」を設立以降、オリジナルブランド「ショーレイヤード」の企画・開発のほか、独自のネットワークの強みを生かし、あらゆるコンテンツとフレグランスを掛け合わせ、数多くの著名人やスポーツ選手、ブランドとのプロデュース商品を手がける。

冨沢 ノボル
東京をベースにファッション、広告、イベント、映画、舞台などのヘアメ クディレクション、メイクデザインに加え、コスメ&
ヘア商品の企画プロデュースなどで活動。2022年東京オリンピック開閉会式、パラリンピック閉会式のヘアメイクデレクションを担当。2024年1月、30周年写真展「NOBORU TOMIZAWA 30th Anniversary Love is the message」を開催。自身初の写真集を発表。今、最も活躍するヘアメイクアップアーティストの一人。
www.urobon.com
www.instagram.com/noboruok

河西景翔
中学時代から保育の現場に入り、後に保育士・幼稚園教諭として15年以上現場で働く。2010年に保育心理士を取得し、2015年より独立。保育の現場に入りながら、子どもアドバイザー兼保育環境アドバイザーとして従事。現在は、「育児も保育も、ファッションも男女の境はない。ジェンダーレスな未来を目指す」をテーマにし、セミナーやワークショップなど幅広い分野で活躍。クリーンビューティ等にも強く関心をもっており、「ナチュラルエイジスト」としても活動。