俳優、タレントとして活躍しながら様々な資格を取り、それを仕事にも生かしている南圭介さん。2023年に習得した世界遺産検定マイスターは、知識だけでなく、自分の考えをしっかりと表現する力が求められるため、難易度が高いそう。そんな彼が世界各国の魅力をご紹介する【南の旅】。15回目は「小笠原」をご紹介。
東京から船で訪れる‟ロマン”と‟冒険心”満載の地

この度、南が向かった場所は世界自然遺産・小笠原諸島! おかげさまで初上陸です。24時間の船旅から始まる物語はロマンと冒険心が掻き立てられます。10月中旬に訪れた小笠原の第一の地「父島」に降り立った瞬間に感じた暖かさは高揚感を掻き立てられ、同時に頬で感じた吹き抜ける風の心地良さに癒やされました。
小笠原への交通は竹芝桟橋からのフェリーのみ。滞在日数も限られるため、到着してすぐに父島の南西に位置する無人島で、国の天然記念物に指定された貴重な自然遺産「南島」へ向かいました。
その日の波の強さで入れない事もよくあるそうですが、船で約30分程度で無事に上陸成功。フレッシュな緑の草木に白く輝く砂浜、海と空もそれぞれの青が美しく、どこをとっても絶景! こちらは入島制限のある無人島の南島だからこその、活き活きとした大自然を一人占めしているような贅沢な気分を味わう事が出来ます。

こちらは南島へ向かう途中、ボートから見えるハートロック(千尋岩)。赤土の岩肌がハート型に見えることからその名前がつかられたそうですが、父島の南端に位置する高さ約260mの断崖です。
と、ここで早速、南圭介のマイスターQuiz!
Q. このハートロックが向いてる方向には、次のどの島があるでしょう??
A. 母島
B. 西之島
C. 東島
D. 兄島

正解は……Aの母島です。
この父島のハートロックの先には「母島」があるという事で、「父」から「母」への愛、素敵な物語がそこにはあるように感じてしまいます。
さて、南島はカルスト地形が海中に沈んで出来た「沈水カルスト地形」として有名で、独自の美しい景観が広がっています。そのため世界自然遺産区域に周辺の海も入っていて、それ自体も珍しいのです。

すなわち、南は"世界遺産の海"に入る事が出来て、本当に肌で感じてきました!

中々出来る経験ではないので、しっかりと全身で‟世界遺産”を堪能させて頂きました。塩分は強めでしたが、肌ざわりはなめらかで、とても気持ち良かったです。
ココでしか見られないボニンブルーの絶景は、小笠原諸島の大切な魅力の一つですが、2011年に世界自然遺産に登録された小笠原諸島の登録理由のなかで重要なのが、こちらの‟カタマイマイ”です。

早速、南島の海岸で3種のカタマイマイ属(ヒロベソカタマイマイ・アナカタマイマイ・チチジマカタマイマイ)の半化石を見つけました。

また米粒のように小さい貝も。
小笠原諸島は一度も陸と繋がった事がない海洋性島孤であるため、この島に何らかの形で辿り着いた生物だけが独自の進化を遂げています。天敵が入ってこない事から、小笠原諸島は、辿り着いた生物にとってまさに楽園のような場所に。
そのため、小笠原諸島では陸産貝類の94%が固有種なのです。それぞれの島で独自の進化をしているカタマイマイ。その進化の過程を目の当たりに出来るのは、小笠原ならではの魅力です!
生物や植物の種子などがどうやって辿り着くかというと、こちらの3つの"W"によって運ばれてくると言われています。
・Wing(鳥の翼)
・Wind(風)
・Wave(波)
小笠原諸島に辿り着く生物の代表格にアオウミガメを連想する方も多いのではないでしょうか。小笠原諸島は日本最大のアオウミガメの繁殖地と言われています。
タイムリーな朗報としましては、長年の保護活動が身を結び、2025年10月10日に絶滅危惧種のレッドリストから外されたというニュースもありました。
こちら父島でアオウミカメと触れ合える「小笠原海洋センター」へも足を運び、餌をあげたり、甲羅をお掃除したり、もちろんツーショットも! カメとここまで近い触れ合あったのは、初めての経験。
間近で見るカメはとてもかわいく、癒やされました。自分の手で触れ合う事によって、より生命の尊さを感じる事が出来ます。これからもたくさんのカメが大海原を悠々と泳いで欲しいと、切に願いました。
今回初めての小笠原諸島。小笠原諸島ならではの美しい自然、地形、独自の進化を遂げた生物たちを身近に感じる事が出来て、改めて小笠原諸島の神秘を強く感じました。そのありのままの小笠原諸島を守るための、島民全体の外来種侵入対策への高い意識も感じました。
外来種が入ってきたらどうするかではなく、まず外来種を入れないように努力する。私たちツーリストが訪れるときにも1人1人の意識がとても大切なことを痛感(例えば南島へ上陸するときは外来種の侵入を防ぐため、上陸前に靴底を海水で洗うなどのルールがあるんです)。
ありのまま生き続ける小笠原諸島をこれからも近くで見届けたい気持ちになりましたので……次回も世界自然遺産・小笠原諸島の自然と、生物、植物をお届けしたいと思います。
南はまだ旅の途中。引き続き皆さんといろいろな景色を共有し、共感していけたら嬉しいです。
来月もお楽しみに
今回訪れた「小笠原諸島」は――
小笠原諸島は東京から南へ約1,000kmの太平洋上に点在する約30の島々の総称で、父島・母島などが含まれます。飛行場はなく、アクセスは船のみ。独自の生態系を持ち、多くの固有種が生息するため、2011年に世界自然遺産に登録されました。現在、民間人が住むのは父島と母島のみで、人口は約2,600人。
南圭介(みなみけいすけ)
1985年7月3日生まれ。東京都出身。幼少期にパキスタンで育ち、小学校3年~6年まではシンガポールで過ごす。2004年にデビュー後、テレビ、舞台を中心に俳優として活躍。検定習得も多数あり、漢字検定準1級、ウイスキー検定2級などを習得し、2023年には世界遺産検定マイスターを習得。世界遺産の良さを伝えるだけでなくSDGsの考え方と親和性を伝え、「知る・考える・実行する」ことで発信中。ABCテレビ『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系列全国ネット土曜8時〜9時30分)の海外リポーターとして不定期出演中。
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