THE RAMPAGEのボーカルで不動のセンター・川村壱馬さん。今年1月には「零」としてソロデビューも果たし、現代の音楽シーンに欠かせないひと。2ndフォトエッセイ『PROMISE』(幻冬舎刊)は、思慮深く常に前を見据えている川村さんが1文字ずつ思いを込めて書き留めた一冊。本気の誠意を伝えているからこそ、その読了感は二度と忘れないものに。
自分への約束。そしてファンへの約束。

――今作は、ご自身で全て執筆されたとのことですが、その意図を教えてください。
前作『SINCERE』(幻冬舎刊)から5年、いろんな経験を経た今、自分の言葉で一言一句納得のいくものを伝えたいと思ったからです。語りおろしという手もあるけれど、自分で原稿用紙と万年筆を用意して書いたのは出版社さんと作家さんへのリスペクトから。普通に考えたら、無名の新人が原稿を持って出版社さんに持ち込んでもそう簡単には本にできないじゃないですか。そんななか、僕がこういう仕事をしているから本も出させていただけるので、その過程を大事にしたいという気持ちがありました。アナログだから今の時代とはあっていないかもしれませんが(笑)。
――原稿用紙のべ57枚。文章を書くという作業はいかがでしたか?
2016年10月8日から、オフィシャルのブログを毎日書いているんです。コロナ禍の1日を除いて毎日更新しているので、文章を書くことは身近ですし好きなんです。あと、紙が好きなんですよ。本も漫画も紙で買うんです。電子ってどこか存在しない感じもするじゃないですか。手元に置いておきたいという心理は、触れるものに安心するからかもしれないです。
――では、ヴィジュアルの撮影について、イギリスでの撮影はいかがでしたか?
「やっと行けたわ〜」って感じでした! 僕の好きなアニメの聖地で、ずっと行きたかったので、最高でした。英国紳士という言葉があるように、落ち着いた品のある空気が自分の性格に合っていて、すごく心地よかったです。衣装はほとんどスタイリストさんが選んでくださったんですが、ひとつだけ、ケープをまとった青い王様っぽい衣装は、自分のリクエストで現地で用意していただきました。アニメのキャラと通ずるものがあって、「これだけは!」とお願いさせていただきました。
――空き時間はどのように過ごしましたか?
老舗の百貨店や紅茶屋さん、お土産屋さん…いろんなところにみんなで行きました! 今回が初めましてのカメラマンの大野さん、馴染みのスタッフさん、とにかく話がおもしろい現地のコーディネーターさん、みんな友達みたいで本当最高でしたよ!

――ファーストフォトエッセイ『SINCERE』と2ndフォトエッセイ『PROMISE』の違いはなんでしょうか?
読んでいるときの体感がまったく違うと思います。『SINCERE』は自分のバックボーンを楽しんでいただけるエッセイで、『PROMISE』は世の中に一石を投じるようなエッセイになっています。より俺の言いたいこと、考えていることをはっきりと綴ることができました。日本刀みたいな切れ味だからびっくりさせてしまうかもしれないけれど(笑)、これが自分の考えていることだから受け入れてくれたら嬉しいなと思います。
――世の中に対しての警鐘を鳴らしているように感じました。
そうですね。世の中、不健全なことが多いじゃないですか。俺はそれが気持ち悪くて仕方ない。でもきっとみんな麻痺して気づいていないと思うんですよね。
――表舞台で活躍されている方がここまでストレートに綴られているということで、読み手に強く響きそうです。
思っていてもそれを発信する人って少ないですよね。身近で言うと、山田裕貴くんは自分と似たものを感じるんです。会ってすぐ意気投合して「魂の兄弟」と言っているんですが、裕貴くんは誠実でまっすぐな人。「世の中を変えてやる」「もっと良くしていきたい」と裕貴くんも思っていると感じていて、ひとりじゃないんだって思えるんですよね。表に出る仕事をしているとより言いたいことが言いにくいし、我が身可愛さで言えない人も多い。それでも僕は戦いたい。芸能界で生き残っていくことが目的ではなく、僕のやりたいことを誠実にやっていれば、きっと根強く残ってくれるファンの人たちもいるし、ファンの人との信頼関係を築きながら活動していきたいと思っています。

――そんな思いが込められたエッセイですが、書いているときはどんなお気持ちでしたか?
いろいろ思うことが増幅して、苛立ちながら書いたこともありました(笑)。「ほんまにそうなんよな!」って、すべてのことに対してひとつずつ納得しながら、共感しながら書いていたと思います。テーマによっては、書きながら終着点が同じになることもあって、自分が考えていることはどれにも通じていることなんだと発見にもなりました。
――タイトル『PROMISE』に込められた思いを教えてください。
ひとつは、自分との約束。本に綴ったことは、僕も意識していきたいことでもあり、そうしてきたことのすべて。自分に「忘れちゃいけないこと」と言い聞かせている意味です。もうひとつは、ファンの人への約束。俺が発信していることは、キツく感じることもあるかもしれないですが、その意図を説明する意味もあるし、「俺の活動理念を通して、みんなのことを大事にしていきたい」という宣言でもあります。いつも口で言っている以上に、事細かに明言しているので、理解してもらえたらもっと絆が深まるはず。エンタテインメントを通して良いものを交換し合える関係でありたいですね。
――そうして書き溜めたものが形になってたくさんに人の元に届きはじめています。改めて、著者としてどんなお気持ちですか。
ようやく発売されるのが本当に嬉しい限りです。自分で言うのもなんですが、衝撃作が完成しました。こんな世の中において、芸能という業界にいながら、この本を出すということってすごく特殊なことだと思うんです。でも、僕は僕の生き方に誇りを持っているから、ストレートに形にできたし、このタイミングでリリースできて本当に良かった。この本が社会に与える影響は微力かもしれないけれど、人が人を呼んで口コミ的に広がっていってほしいなと思います。もちろん、全員がこういう考えでいてほしいというわけではないですが、「こういう考え方を持ってみたらすごくいいんじゃない」と読む人に提案できたり、勇気を持ってもらえるきっかけになれば嬉しいです。
川村壱馬 2ndフォトエッセイ『PROMISE』

川村壱馬の2冊目となるフォトエッセイ。エッセイページは自ら執筆し、撮影はイギリスで行われた。購入や特典など、詳細はこちらから。
川村壱馬(かわむらかずま)
1997年1月7日生まれ、大阪府出身。2017年、THE RAMPAGEのボーカルとして1stシングル「Lightning」でメジャーデビュー。今年1月にはアーティスト名「零(レイ)」として、ソロデビュー。俳優としては、2018年に「PRINCE OF LEGEND」シリーズでデビュー。その後、「HiGH&LOW THE WORST」のドラマと映画で、中心となる花岡楓士雄役を務めたほか、続々と話題作に出演。活動の幅をさらに広げている。
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