俳優、タレントとして活躍しながら様々な資格を取り、それを仕事にも生かしている南圭介さん。2023年に習得した世界遺産検定マイスターは、知識だけでなく、自分の考えをしっかりと表現する力が求められるため、難易度が高いそう。そんな彼が世界各国の魅力をご紹介する【南の旅】。8回目は日本の高野山をご紹介。
多忙を極めている人こそ静寂な地で心身の癒やしと平和を体感すべし

この連載で日本の世界遺産のひとつ‟知床“をご紹介しましたが、2ヵ所目は‟高野山”をお届けしたいと思います。というのも、3月21日が弘法大師空海が入定し「永遠の瞑想」にはいられたとされている日であることから、ゆかりの地となるここは今月にこそふさわしいと思い、リストアップいたしました。
真言宗の総本山で歴史的な見どころをチェック

高野山は標高800mの山上盆地に位置し、周りは1,000m級の峰々に囲まれており、「吉野・大峯」「熊野三山」と並び2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。
各霊場の建造物と美しい自然が寄り添い合う景観が評価され、日本で初めて「文化的景観」の概念が認められ、世界遺産に登録されました。
「文化的景観」とは――人類が長い時間をかけて自然とともにつくり上げた景観や、自然の要素が人間の文化と強く結びついた景観。文化遺産に分類される。(「きほんを学ぶ世界遺産100」より)

3つの霊場を結ぶ「参詣道」も登録されており、「道」が世界遺産に登録されているのは世界的にも珍しいです。同じように「道」が世界遺産となっているのはスペイン北西部にある「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」などがあります。
ケーブルカーで登っていくと↓↓↓

山の中に突如街が現れ、隠れ里のような、天空都市のような非日常的な場所に辿り着いた感覚にさせてくれます。
高野山真言宗の総本山である金剛峯寺へ。雨の中に佇む姿も趣きがあります。

境内には日本でもトップクラスで美しい石庭「蟠龍庭(ばんりゅうてい)」もあります。
空海が高野山を選んだ伝説に関連する松の木

こちらが弘法大師空海が高野山を開山し、最初に開かれた場所である壇上伽藍の中心に位置する根本太塔です。鮮やかな朱色で塗られた太塔は雨の中でも一際美しく、存在感を放っていました。
根本太塔からすぐ近くにある三鈷の松へ。弘法大師空海が唐から投げた三鈷杵が、海を越えて高野山の松の枝にかかっていたという伝説があります。それによりこの場所に伽藍が建てられることが決まりました。
現代でいうところの「ダーツの旅」を思わせるような伝説に少し頬が緩みます。

また、こちらの松は葉が三方向に分かれていて、この松葉を拾うと必ず良いことが起こり、縁起が良いとされています。
そして、弘法大師空海が入定してからおよそ1200年間、「永遠の瞑想」をしていると信じられている奥之院へ。1200年に渡り、こちらの御廟では朝と昼の1日2回、弘法大師空海のために毎日食事が運ばれています。
さてさてお待たせ致しました。
ここで南圭介のマイスターQuiz!
Q. 毎日2回、弘法大使へ献上している食事ですが、次のうちどれが“運ばれていない”料理でしょう?
A. 中華
B. フランス料理
C.イ タリア料理
D. スペイン料理

正解はDのスペイン料理です。
中華、フランス料理、イタリア料理は、日によっては一品として入ることがあるようです。
奥之院の「静」の中に確かに空海の「生」が感じられました。続けることの尊さ。「生」を紡ぐ祈りのバトンが今も受け継がれています。墓所ではありますが、すごく空気が澄んでいて、苔のむす感じも神秘的な感じがあり、心安らかな気持ちにさせてくれます。
奥之院の参道には織田信長はじめ、戦国武将のお墓も多く立ち並んでいます。歴史上の偉人達が、時空を越えてこの場所で繋がっているという神秘も感じることが出来ました。

行きも帰りもケーブルカーに乗ります。急な傾斜を進んでくれるケーブルカーから見える自然にもとても癒やされます。
晴れの日も、雨の日も、高野山にはそれぞれの趣きがあります。僕が行った日は、少しの雨と霧がかかっていましたが、それがまた異世界に迷い込んだような、神秘的な景観を演出してくれました。
高野山の美しい自然と、祈りがもたらす「生」のパワーを感じることで、心がとても澄んで清らかになる感覚がありました。また必ず来ます、高野山。1200年以上紡がれている生命の息吹に思いを馳せながら。
是非皆様にもこの感覚を体感してもらえたらと!
南の旅はまだまだ続きます。これからも一緒に「旅」をしましょう! 次回高野山に行く際には、宿坊に泊まってみたいですね。
今回訪れた「高野山」は――
高野山は、和歌山県に位置する真言密教の聖地で、弘法大師・空海によって開かれた歴史ある場所。1200年以上続くこの霊場は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されており、訪れる人々に静寂と癒しを提供すると言われています。象徴的な根本大塔や金剛峯寺をはじめとする建造物群、宿坊での精進料理や写経体験など、精神的な豊かさを感じられる魅力が多数。さらに、四季折々の自然の美しさが高野山を彩り、桜や紅葉などが特に人気。観光地でありながら、歴史と文化を深く味わえる貴重な場所として日本が誇るスポットのひとつ。
南圭介(みなみけいすけ)
1985年7月3日生まれ。東京都出身。幼少期にパキスタンで育ち、小学校3年~6年まではシンガポールで過ごす。2004年にデビュー後、テレビ、舞台を中心に俳優として活躍。検定習得も多数あり、漢字検定準1級、ウイスキー検定2級などを習得し、2023年には世界遺産マイスターを習得。世界遺産の良さを伝えるだけでなくSDGsの考え方と親和性を伝え、「知る・考える・実行する」ことで発信中。ABCテレビ『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系列全国ネット土曜8時〜9時30分)の海外リポーターとして不定期出演中。
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