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TIMELESSPERSON

2024.09.08

懲りずに行った場所で得た結論。“かまし”は必要である【紺野ぶるま】

本当は興味津々なのに、決して踏み出せない――芸人 紺野ぶるまさんの自分観察。【連載「奥歯に女が詰まってる」】

懲りずに講師をやる女

紺野ぶるまエッセイ

先日事務所のお笑い養成所の講師に行かせてもらった。

この連載を読んで頂いている方は「前にもそんな話してなかったっけ?」と思われたと思う。

まず読んでくださっていることに、ありがとうございます、そしてお察しのとおり、約半年前にも同じ場所で講師を務め、それはそれはコテンパンにやられてきた。

詳しくは前回の記事を読んでいただけると嬉しいのだが、例えるなら「ごくせん」の第一話だった。憧れの教師になれた!と胸躍らせて勤務先の学校に着くと窓ガラスは割れ、生徒はタバコを吸っていて授業とかそれ以前の問題、みたいな。もちろん実際の現場は好立地でキレイな施設の中にある。あくまで例えだが、心情としてはそんな感じ。

しかしそれらは養成所のいわば通例であり、彼らを制することができないのは私の未熟さであり、自信のなさが原因であるが、前回の私の嘆きを聞いた上の人が今期の生徒さんたちには「ごくせん」感がないよう徹底指導をしてくれているらしい。そしてあろうことか「ぶるまさえよければ」とまた声をかけてくれた。

私は再チャレンジした。してよかったというのが感想である。その理由をいくつかあげていきたい。

その1 -- 本当にごくせん感がなくなってた!

まず到着するや、みな立ち上がり大きな声で挨拶をしてくれたのである。私のなかの養成所あるあるなのだが、事務所が大きくなるほどこのへんが徹底されて、究極は極道みがでる。我らが松竹芸能も負けてなかった。違う意味での「ごくせん」感があった。ヤンクミの実家の任侠あふれる挨拶。それくらい徹底したものだった。既存のシステムにも思うことがあるならば、臆せず言ってみるものだと思った。

「こういうものだ」と押し付けるのではなく、環境をガラリと変えてくれたことにより私はより一層やる気になった。

その2 -- 言いたいことを全部言えた!

人間関係において言いたいことを言うのは疲れるし、怖い。受け入れられなかったとき、否定されたとき大きく傷ついてしまう恐れがあるからだ。何より相手を傷つけるのは嫌なのだ。そうならないようオブラートに包み、楽しい会話をして人とは付き合っていきたい。

これが普段の人間関係において私が大事にしていることだった。

養成所に入って半年の人たちは、「何か披露できる特技を準備をしてきて」と言ってもさして用意はしてこない。してきたとしても早口言葉を言うだけだったり、説明の時点で支離滅裂だったりする。

構成や笑い所以前の問題で、現時点で何か伝えることなどないと思っていたが、気づいた。

「用意をしてこないなんて言語道断だよ」「誰でもできることをやってもお金はもらえないよ」「大前提にコミュニケーションが取れていないよ」と言うことを伝えなければならない。

前回はそれができなかった。なんとか褒めなければと必死だったからだ。

何か思ったことがあっても「言わない」と気持ちを封印してしまうと、相手がどんどん悪者にみえて恐怖に思え、付き合うのが億劫になっていくのだ。
「言う」と決めてしまえば楽である。「言わない」と決めていたときの脳みその半分も使わずに相手に気づいたことを伝えられた。

その3 -- ヘラヘラしなかった

中二病のようなことを言うが、やはり人間少しの“かまし”は必要である。

今回私は物思いにふける様子で入り口から登場した。これがデカかった。

実際は直前までイヤホンで最近TikTokで流行っている「Giri Giri」を聞いていたがそんなのはおくびにも出さない。極道挨拶にも「はい、おはようございます」と動じない。本当は感激して「うぐッ」っとなっているがポーカーフェイスを決め込む。

すると「ちゃんとしてるっぽいぞ、この人」という空気が流れる。養成所生特有の「俺ガヤとか得意なんで」という痛さを一切許さない雰囲気になる。ネタなど手ぶらできてしまった人は後悔するだろう。

「せめてちゃんと話を聞こう、次回からはちゃんと用意しよう」となってくれれば嬉しいし、その緊張感のなかで褒められたら余計嬉しいと思う。“かまし”は「しっかりやりますよ」というこちらの意思表示でもあるから、自分のスイッチも入ってよかった。

長くなってしまったがこんなところだろうか。

1、2、3に共通しているのは「相手との摩擦を恐れない」ということだと思う。

結果論だが、みんな素直に聞いてくれて、私はまだ後輩になるかもわからない彼らを「かわいい」と思えた。本当に行ってよかった。

最後に

講師とかけまして

筋トレと解きます。

その心はどちらも

腹を割ることが大事でしょう。

紺野ぶるま(こんのぶるま)
1986年9月30日生まれ。松竹芸能所属。著書に『下ネタ論』『「中退女子」の生き方 腐った蜜柑が芸人になった話』『特等席とトマトと満月と』がある。
Instagram @buruma_konno
@burumakonno0930

TEXT=紺野ぶるま

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