盛り上がりを見せるフェムテック業界で、公的な立場からより存在感を増す日本フェムテック協会。設立を主導した山田奈央子さんの思いとは?
ウェルビーイングな社会のために
ヘルスリテラシーを高め、女性がライフステージの変化に合わせ健やかに生きられる社会へ。企業経営者、医師、ジャーナリスト、開発者が発起人となって、2021年7月21日に設立された日本フェムテック協会。設立を主導し、代表理事として啓発活動に勤しむシルキースタイル代表の山田奈央子さん。
「もともと妊活のサプリや更年期ケアなど女性悩みに寄り添った商品作りをしていました。そのなかで、どんなに良い商品を作っても、女性たちが必要性を感じ取れていなかったり、意識が変わらないとなかなか手に取ってもらえない、届かないというジレンマを感じていたんです」
強い思いに突き動かされ、邁進中
そんな山田さん自身の身に衝撃的なことが。
「コロナが蔓延し始めた2020年の春ごろ、少し腹部に違和感があったのですが、仕事に忙殺され、恥ずかしながらそのまま放置していました。ある日激痛で歩けなくなり、緊急手術…。卵巣破裂寸前という卵巣嚢腫でした」
こんな状態になるまで気付かずにいたことにショックを受け、周囲にも伝えると、意外に女性特有の病気を乗り越えてきた経験を持つ人が多いことに驚いたそう。
「“自分事”になって初めて、こんな目に遭う人をひとりでもなくしたいと、強い思いにつき動かされました」
女性の悩みに寄り添う存在に!
時代も変化し、フェムテックへの意識や注目が高まり始めていたタイミング。医療ジャーナリスト増田美加さんや医師の関口由紀さんに協力を仰ぎ、協会設立へ。協会では、医学的見地に基づいた正しい知識を提供するべく、フェムテック協会認定資格を推進中。サイトにて楽しくゲーム感覚で取得できる3級(無料)を突破口に、2級、1級へと学びを深められる仕組みに。企業の福利厚生に活用されるケースも増えているそう。
昨年、2月19日を“フェムテックを学ぶ日”として記念日登録し、今年はこの日に念願の「日本フェムテックサミット2023」も開催。領域の広いフェムテックの“課題”にフォーカス、企業の取り組みや地方の地域活性事例、家庭内でのフェムテックの在り方など、盛りだくさんの内容に。
「設立1年半とは思えないほどニーズを感じています。サポートに意欲的な自治体も多く、来年は“フェムテックシティ宣言”する都市も想定し、基準作りに邁進。相互理解が当たり前のウェルビーイングな社会を目指し柔軟に飛び回っていきたいです」
山田奈央子(やまだなおこ)
大手下着メーカーを経て下着コンシェルジュとしてメディアでも活躍。2006年シルキースタイルを設立し、フェムテック商品やインナーを企画開発。