2022年11月23日、36歳の誕生日を迎えた田中みな実さん。当日“いつも通りの1日”を過ごしながら、思ったこととは。【連載「田中みな実のここだけ話」】
今回のテーマ:36歳。
遅めのお風呂からあがると、36歳を迎えていた。
普段は滅多に鳴ることのないスマホに次々メッセージが届くものだから、戸惑いつつも自然と口元が緩んでしまう。日頃、寝る前はスマホを見ないのを決まり事にしているけど、今日ばかりは解禁にして(ブルーライトカットモードは常時ON)、お祝いメールのひとつひとつを開封していく。
TBS時代の同期、メキシコに暮らす旧友、家族、所属事務所の社長もマネージャーくんも……日付が変わるのと同時に寄せられる多くのメッセージに胸がいっぱいになる。
1年前のこの日以降連絡を取っていない人たちからのそれには後ろめたさを覚えながらも、返信に近況などを交え感謝を伝える。次こそは相手の誕生日にも忘れずメールを送るんだ!と心に決めるのも毎年のこと……。不義理な私をお赦しください。
夜更かししたけど、明日はオフ。午前中にいつもの頭皮ケアサロンの予約を入れたけど、たっぷり7時間の睡眠がとれる。幸せだ。誕生日に約束がないのを気楽だと思うようになったのはいつからだろう。
若かりし頃は、バースデイをひとりで過ごすなんて考えられないと語気を強めて主張していたのに。誕生日前後に友人に食事に誘われれば、祝われるとわかっていながら、食後のケーキが運ばれてくるまで気付かないフリを貫き通すのがマナーと弁えていた。だから、BGMが変わって店内が薄暗くなったら大袈裟に「え? うそぉ!?」と驚いてみせるけど、それが時たま別のテーブルの誰かのケーキだったりして、そのときの友人の気まずそうな顔たるや、こっちが申し訳なくなってしまう。とてもとても嬉しいのに、正しく喜べたかと帰り道に不安になるのも昔から変わらない。
恋人と過ごした年には、ちょっとしたことで口論になり、食事の予定を不意にして「〇〇くんのせいで、たった一度の2〇歳の誕生日が台無しだよ!」と大泣きしたこともあったっけ。求めすぎ。それに尽きるけど、期待して然るべき年頃だったんだと思う。
そう、過去の失態は全て“若さゆえ”と片づけられるようになったのも、年齢を重ねた特権かもしれない。ここ何年かは仕事がなければ愛犬と“いつも通りの1日”を過ごしている。
2022年もそんな風で、のんびりというわけではないけど、あれこれ用事をこなし、夕方いつもの魚屋さんに寄ると、お店の方がハッピーバースデーを歌いながら、手作りのシフォンケーキをプレゼントしてくれた。夜はサクッと映画を観に出かけ、早々に帰宅してそのケーキをいただく。なんて充たされた1日だろう。
2023年もこの先もこうして平穏にあたたかに歳を重ねられますように。すべての皆さまに感謝を込めて(この連載終わるの?? みたいな締め括りになりましたが、まだ当分やる気でいますので末永くお付き合いくださいませ)。
田中みな実(たなかみなみ)
1986年11月23日生まれ、埼玉県出身。「あざとくて何が悪いの?」(テレビ朝日系)にレギュラー出演するほか、近年は女優としても活躍の幅を広げ、2023年1月13日公開の映画『イチケイのカラス』に出演。
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