2020年11月23日に34歳の誕生日を迎えた田中みな実さん。その心境とは。【連載「田中みな実のここだけ話」】
今回のテーマ:生まれた日。
2020年11月23日、初秋のようなぽやっと暖かい朝。
目が覚めるとスマホには誕生日を祝うメッセージが数件。嬉しさと同時に、彼らの誕生日を把握できていない不義理な自分を恥じる。忙しさにかまけて思いやりを忘れてしまっては駄目ね。年に何回かしか連絡をとらない相手だって、こうして生まれた日を覚えていてくれるのは有難く、とびっきり幸せな気持ちにさせてくれる。昨日は広告の仕事で身の丈に合わないほど盛大なお祝いをしてもらった。“出演者”の役得だとわかっていても、嬉しいものは嬉しい。巨大なケーキにバルーン、抱えきれないほど沢山の花束に埋もれながら「もう、めでたいなんていう歳でもないんだけどさ」などと呟きながら、全身から幸福感が滲んでしまう。
34年前のきょう、私はこの世に生を享けた。母子の状態が思わしくなく、現地医師に「流産の可能性が高い」と両親は告げられたらしい。それでも、お腹の中の子の生命力を信じて母が決死の覚悟で産んでくれたのは、標準より小さく、でも元気な女の子だった。フリーランスになったばかりの頃に番組でニューヨーク(生まれた場所)を訪れ、スタッフに手渡された父からの手紙で初めて知ることとなった衝撃の出産秘話。なぜ、そんなドラマチックな話をこれまで一度もしようと思わなかったのかは謎だけど・・・(笑)、ともあれ、手紙の中のこの一文に私は度々支えられている。
「みな実は、生まれることを求められて生まれてきたんですよ。求められて生まれてきたことに自信を持って生きてください。」
芸能界は不安定な世界。芸が尽きれば終わりが来る。未来への保障など何一つない。そんな場所に身を置く娘のことを両親はどう思っているんだろう。いつか打ち明けてくれるのかしらね。求められて生まれてきた私は、力強く34歳を謳歌しよう。皆さま、末永くご贔屓に。
▼こちらの記事もおすすめ
【田中みな実のここだけ話】をもっと読む。