本当は興味津々なのに、決して踏み出せない――芸人 紺野ぶるまさんの自分観察。【連載「奥歯に女が詰まってる」】
一緒くたにされることに抵抗のない女
女芸人の大会THE Wの決勝に5年ぶりに進出した。
この大会といえばネットで話題に上がるたび「この時代に女だけでくくるなんて」「そろそろ廃止すればいいのに」というコメントがセットのように付いてくる。
エントリーしてる側の私はというとここ最近のショートネタブームのなか、4分間ネタを見てもらえる最高の舞台、是が非でも勝ち取りたい、というのが本音である。
もちろん、くくられることについて何も思わないわけではない。いや、めちゃくちゃ思うところありである。
歌ネタやフリップネタだけで競う大会みたいに、「女芸人」もお笑いをやるにあたっての一つにジャンルにすぎないと、ライトに考える日もある。
しかしながら、実態は、「歌が好きだからネタに組み込もう」とか「絵が得意だからそれを活かしたい」とかそんな明るい時間があったわけではない。
「お笑いをやってみたい!」と思って舞台に立ち明転したらもうそこに「女」というふりがあったのだ。
世間知らずだった当時21歳だった私は、男芸人みたいに笑ってもらえると思いブルマ姿で舞台に立ち「エロくて良かった」と書かれたアンケートを見て驚愕したのである。
それでも「女芸人」でいることを選び、舞台上でパンイチになれないことに引け目を感じながら、「女」であることを無視するのか否か考え、観客に違和感を与えないところを探ってきた。そしてきちんと内容で戦えるようにやってきたつもりである。
そのうえですべろうがウケようが「芸人」として真摯に受け止めてきた。
地下のお笑いライブで前歯のないおじ様方の前でネタをやるときだってそうだ。
なにを言っても「スススススス」と空気の抜ける音を出しながら笑ってくれる彼らに甘んじることなく、「本当に面白いことができているだろうか」と冷静に判断してきた。
今更女芸人だけでNo.1を決めるなんて、これまで大衆のなかでやりあえてなかったみたいじゃないか。
しかしながら「いや、やりあえているのだからこれはこれで楽しめばいいじゃないか」という自信と「売れてねえやつがいちいちうるせえ」という客観的なツッコミにより毎年エントリーする運びになる。
それに「女芸人」の「No.1」を決める大会をテレビで生放送でやるだって?!
「ちょっとあたい不在でその辺を語らないでくれる?」と血が騒いでしまうのである。
本番に爆裂に弱い私だが今度こそチャンピオンになりたい。
みんながバカウケして今後「女芸人だけがみれる大会なんて贅沢すぎ」とくくることを喜ばれる大会にしたいと生意気にも思う所存である。
最後に
賞レースとかけまして
歯が痛い子供と解きます。
その心はどちらもすでに敗者(歯医者)はうんざりでしょう。
紺野ぶるま(こんのぶるま)
1986年9月30日生まれ。松竹芸能所属。著書に『下ネタ論』『「中退女子」の生き方 腐った蜜柑が芸人になった話』『特等席とトマトと満月と』がある。
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