本当は興味津々なのに、決して踏み出せない――芸人 紺野ぶるまさんの自分観察。【連載「奥歯に女が詰まってる」】
友達が多い人の秘密
友達が多い人に憧れる。私自身友達がまったくいないわけではないが決して多いわけでもなく、コミュ力でいったら終わっている部類に入ると思う。
私が日々出会うのはもちろん基本は芸人ばかりだが、時にはタレントさんやグラビアの方とも出会う機会もある。みな「我が身ひとつで天下獲ったり」と上京してきたわけだから口も立つし、コミュ力の化け物である。面白いだとか、かわいいは正義だが、周りから好かれる人、友達が多い人というのは“ちょっとしたこと”ができる人だと日々思う。これが爆裂に難しい。
ちょっとしたこととは何か、3つほど挙げてみたい。
1.「遊ぼう!」と言われたらすぐにその月の空いてる日を伝えること。
自分ができない理由としては、めんどくさいというのがある。この作業に慣れてないので、予定を逆算したりするだけで疲れてしまう。
あと「そこまでガチで言ってない可能性もあるしな〜」とヒヨってしまう。結果、行かない。
これがすぐできる人は、まずめんどくさいこともちゃんとできる律儀な人、自分の面子にこだわらない気さくな人なのだから、この時点でもう好きである。
2. LINEのスタバカードをサラッと送る。
誰かと誰かの連絡先交換を手伝ったとか、連絡取ってたら偶然その前後で誕生日であることを知ったとか、そんなんでスタバカードとかめぐリズムとか入浴剤が届くやつを送ってくれる人、もう好きである。
あと久しぶりに会ったときに「結婚」や「出産」を知って「今これしかないけど」と財布の中身をザッと適当に出す人。これは芸人特有のやつかもしれないが、その金額が千円であれど何百円であれど、この人には友達がいっぱいいるんだろうなと思う。
私がこれらをすぐにできないのは単純にケチなのかもと思う。見習ってたまにやりますけどね、たまに、基本はケチなのだと思う。
あと「お金ないのに無理してると気を遣われないか」とか、やはり自分の面子なのである。キモすぎる、いかにも人気なさそうだ。
3. 無言になって気まずい瞬間の第一声がローな人。
数人でも、一対一でも、まだ無言が気まずい間柄のときの打破する一言をうわづらない、ローな感じの冷静で穏やかな人って「ああ友達たくさんいるんだろうな」と思う。
例えば「ちょっとエアコンの温度下げますね」とか「あ、服になんかついてます」ってティッシュ渡してくれたり。無理して話題を出そうとしてない、だけどちゃんとその場に“音“が戻ってくる安心感をくれる人。
これが難しい理由としてまず大焦りをしてまうこと。そして何とかしなきゃと出来もしないのに、静寂を打破する役目を背負おうとする点にある。結果、天気とかそういう上辺だけの話題を振ってしまう。ああ、なんてつまらないんだ私は!と家に帰ってから落ち込むのである。
これらが出来る人にどうかなりたいと日々思う。
思いながらもこれらが出来ない人を見つけては「じゃあ私もいいか」と安心材料にしているのだから、たぶん当分は無理なのだと思う。
最後に
友達多い人とかけまして
お金と解きます。
その心は
どちらも縁を(円を)大事にするでしょう。
紺野ぶるま(こんのぶるま)
1986年9月30日生まれ。松竹芸能所属。著書に『下ネタ論』『「中退女子」の生き方 腐った蜜柑が芸人になった話』『特等席とトマトと満月と』がある。
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