廃棄されてしまう花を「ロスフラワー」と名付け、フラワーサイクリストとして活躍の場を広げる河島春佳さんに、今とこれからをインタビュー。
廃棄予定の花に新しい価値をつけアップサイクル!
これまで見過ごされてきたロスフラワーに新たな命を吹き込み、人々へ届けるのが「フラワーサイクリスト」。ドライフラワーやアレンジを加えてアップサイクルし、持続可能な花市場、サステナブルな社会を目指します。
コロナ禍をきっかけに、よく耳にする「ロスフラワー」。その名付け親でもある河島春佳さんは、「花のロスを減らし、花のある生活を文化にする」をミッションに2019年にRINを立ち上げ、60名を超える全国のフラワーサイクリストとともに“日常の幸福度をあげる”活動に邁進しています。
彼女の活動の原点は、生花店のアルバイトでクリスマスに見た光景。
「きれいに手入れされた赤いバラが、12月25日を過ぎると一夜にして大量に廃棄されてしまうことにショックを受けたんです」
当時河島さんは、会社員を経てドライフラワー作家として独立。ワークショップが人気を集め始めていたタイミングだった。「廃棄されてしまう花を、何か活用できるのでは?」と疑問を抱き、廃棄予定の花をドライフラワーにし、ワークショップで使用したり、「ロスフラワースワッグ」と名付けマルシェで販売を始めたのだそう。これに手応えを得て、本場で技術を学びたいと持ち前の行動力を発揮、クラウドファンディングで2018年にパリ留学を果たした。
「食卓に一輪花を飾って家族みんなで食事を楽しむ、そんな日常に根付く花文化。パリで体感した経験で、自分の使命が明確になりました」
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RIN公認のアンバサダーは現在全国で60名を超え活動中。ハンドメイド作家や農協勤務、生花店勤務など多様なメンバーが集う。
帰国後立ち上げたRINでは、ロスフラワーのアップサイクルを軸に、花のある生活を“文化”として広めるべく、同じ志を持つアンバサダーを認定、コミュニティづくりを推進中。
“花が好き”を仕事に導くスクール事業「フラワーキャリアアカデミー」も展開し、卒業生は200名を超える。
「“文化を作るには仲間が必要。花屋での実務経験がほぼない私だからこその、独立のノウハウは好評を得ています」
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UNIQLO TOKYOでのロスフラワーディスプレイは大きな話題に。
イベント装飾やブランディング装花など企業案件も続々オファーが舞い込み多忙を極める河島さんだが、2023年のテーマは産地巡り。自らツアーコンダクターとなり徳島のケイトウ農家を訪ねるツアーを4月末に続き秋にも計画中。
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花農家を訪ね、規格外などのロスフラワーを回収し交流を図っている。
「産地訪問で学ぶことはたくさん。規格外ではじかれるような、花農家さんの廃棄が少しでもなくなる工夫ができないか、まだ誰もやっていない仕組みづくりや販路も検討中です」
究極的には「ロスフラワー」という言葉をなくしたいと考える河島さん。作る人、売る人、買う人みんながハッピーになる新しい景色を目指してさらなる挑戦が続きます。
河島春佳(かわしまはるか)
長野県生まれ。独学でドライフラワーづくりを学び、フラワーサイクリストとして活動をスタート。2018年にパリに花留学をし、帰国後2019年にRINを創業。
https://harukakawashima.com/