すべての工程で環境に優しいものづくりにこだわる靴ブランド「Öffen(オッフェン)」。プロデューサー日坂さとみさんが考える未来とは?
おしゃれも叶える優しい履き心地とサステナビリティ
フリルやパール、スカラップデザイン。フラットパンプスでありながらほかにはない上品なエッセンスが光る、オッフェンの靴。
「何を作るか、ではなくどう作るか、から考えたブランドなんです」と語るプロデューサー・デザイナーの日坂さとみさん。
「普段履けるちょっとオシャレな靴」「環境に優しい」をテーマに2021年3月にデビュー、潔く無駄を排除し一貫したその哲学が、幅広い層の共感を集めています。どう作るか? は、長年アパレル業界で活躍してきた日坂さんが出産を機に立ち止まり、ふと感じた違和感に向き合った結果。
「子供のものを選ぶとき、何で作られているのか? 肌に優しいのか? 製作の背景を気にしてる自分がいたんです。新しいものを世に出す以上、今までとは違う、未来に還元できるようなアプローチをしないと、と考えました」
出産を機に気づいた、製作の背景の重要性
目指したのはワードローブに残っていく唯一のもの。2年ほどかけて一から原材料や製造工程を見直すとともに、長く愛用できる物こそサステナブルに繋がるという考えから、快適な履き心地も同時に追求。なかでも特徴的なのは、ペットボトルの再生糸によるニットで作られていること。
「耐久性に優れ、軽量で足にフィットします。機械で編まれ成形されたものを縫い合わせるので、裁断などでゴミがでないのもポイント」
裏地や金具もない作りで、靴のパーツを通常の半分ほどにし、製造工程も効率的でエコに繋がる仕組みを作り上げていったそう。またオッフェンらしさ、を象徴するのが靴を購入したとき。
「ゴミになる可能性のあるものはなるべく排除したい」というポリシーから、靴箱や紙の詰め物をなくし、リユースできる厚手のペーパーバッグにリボン(靴ヒモ)をかけ、植物性由来のオリジナルシューキーパー付きで販売しています。役目を終え処分されたあとのことも考え、ソールには燃やした際に有害物質がなるべく出ないシリコンを選定するなど、すべての工程で環境への配慮を徹底しています。
「ブランド設立2年になり、今考えているのは、靴自体をリサイクルし、循環のサイクルを作ること。オッフェンだけではなかなか量が足りないため、他ブランドや研究機関にも声をかけ進行中です」
地球にも顧客にも誠実なものづくり、これからの展開にも注目が集まります。
オッフェン
https://offen-gallery.com/
日坂さとみ(ひさかさとみ)
関西在住。セレクトショップのクリエイティブディレクターとして15年ほど活動後、現職。2020年「エシカル・コンシェルジュ・オンライン」修了。