“わたしの心地よさ”を基準に行動することが、ウェルビーイングに生きるカギになる。そのために、もっと自分自身を知る = 自分のトリセツを手に入れませんか? 保健学博士の島田恭子さんがナビゲート。今回は「意識したい考え方」について。【連載「自分学 わたしのトリセツ」】
vol.11「考え方、イシキしていますか?」
「気の持ちよう」という言葉がありますよね。「キモチ次第で物事が、楽しくも苦しくもなる」という意味です。今回のテーマはこちら。正確には“キモチ”ではなく、“考え方”で、私たちの体や行動が大きく変わる、というお話です。
今みなさんは安心安全な所におられると思いますが、もしそれが細いつり橋の上だったら…!?
「えっ、つり橋の上!? 怖いー(←キモチ)」と感じたとたん、手汗が出て、胃痛(体)を感じ、叫び、泣きだす(行動)、といった具合。こんな反応は、“怖い”と感じなければ起きません。私たちの反応はすべて、“キモチがそうさせている”と言っても過言ではないくらいです。それならば、自分のキモチを操ることができれば、体や行動もいい感じになっていくはず!
早速、「自分のキモチを味方につける方法」をみていきましょう。
ですが残念なことに、キモチを変えることはそうそうできません。悲しんでいる人に「悲しいって思っちゃダメ!!」なんて、そんなのムリですよね。せいぜいガマンするのが関の山。しかもキモチにフタをし、ガマンするのは心理学的には逆効果です。
そこでアプローチするのが「考え方」。キモチの前に必ずある「考え」に働きかけることです。
私たちの思考回路は「出来事→考え→キモチ→行動」となっています。
例えば「挨拶を無視された(出来事)」→「嫌われてる?(考え)」→「悲しい(キモチ)」→「眠れない(行動)」といった具合です。
この例でも、キモチの前に考えがありますね。起こる出来事は変えられないけど、その先の「考え方」を変えれば、その先にあるキモチや行動が、変わっていきます。
先ほどの例で見てみましょう。
「挨拶を無視された(同じ出来事)」→「機嫌悪かったかな?(さっきと違う考え)」→「気遣い(キモチも変わる)」→「後でまた声かけよう(行動も変わる)」。この考え方なら、心は苦しくなりにくいですね。
前回お伝えしたように、私たちは窮屈な考え方をしがちです。たとえば「白黒思考」。マジメでしっかり者、いわゆる完璧主義の方は、物事をハッキリさせないと気が済まないタイプ。また自分に自信がない方は、自分のプラス面は過小に評価し、自分の失敗やマイナス面を過大評価する傾向があります。このような考え方は、その先にあるキモチを苦しくさせます。
「ネガティブ思考なのをなんとかしたい」と思っている方へ。“心地よい状態に傾けるためには、まず考え方にアプローチ”です! ぜひ試してみてくださいね。
島田恭子(しまだきょうこ)
医学や心理学の知見を、女性のウェルビーイングに役立てたいと活動中。東京大学大学院でこころの予防医学を学び、保健学博士となる。(社)ココロバランス研究所代表。
https://customer-harassment.org/kyokoshimada/