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MYSELFウェルネス

2023.09.13

脱ネガティブ思考!すぐに実践できる「心を軽くする考え方」をマスター

“わたしの心地よさ”を基準に行動することが、ウェルビーイングに生きるカギになる。そのために、もっと自分自身を知る = 自分のトリセツを手に入れませんか? 保健学博士の島田恭子さんがナビゲート。今回は「心を軽くする考え方」について。【連載「自分学 わたしのトリセツ」】

自分学

vol.10「あなたの心を軽くする考え方は?」

「どーせムリ…」とか「やっぱり私なんて…」って言葉、ついつい使ってしまいませんか? 私は元気なときはまだしも、疲れていたり、悪いことが重なったりすると、どうしてもネガティブモードになってしまいます。

それってムリもないんです。私たち動物は、もともと外敵から身を守るため、ものごとをネガティブにとらえがち。楽観的では危険だからです。でもそれが、私たちの心を重くすることにつながっています。ものごとをネガティブにとらえすぎると、不安や怖ればかりが大きくなってやる気や希望を奪います。起こった問題に対処し回復する力(レジリエンス)も出てきません。うつ病の原因にもなるし、そもそも毎日が楽しくないですよね…。

じゃあどうすれば心が軽くなる考え方ができるでしょう? 今回は、私たちが陥りがちなネガティブモードのメカニズムを知り、その裏をかく"心を軽くする考え方"をみていきましょう。

ネガティブモードのメカニズム=心を重くする考え方、のヒントになる、今から50年前の心理実験をご紹介します。

50年前の実験で明らかになったこと

逃げ場がない檻の中でブザーの後、電気ショックを与えられ続けた犬たち。最初はブザーが鳴ると慌てて逃げようと頑張りますが、それが無理だとわかると、いつしかブザーが鳴っても何もせずあきらめてしまいます。そして2日目。今度は逃げられる状況下でブサー→電気ショックを与えられても…驚いたことに、彼らの多くは、逃げることをあきらめています。ちょっと考えれば逃げられる状況なのに、「どーせムリ」とあきらめて逃げようとしません。

これは「学習性無力状態」といって、「どーせムリ」を体で覚えてしまった状態です。

一方2日目に、逃げる行動をとった犬たちがいました。彼らは「なんとかなるかも」と希望をもったことで、どうにか逃げることができました。

今では考えられないようなむごい実験ですが、この研究にヒントを得て、3つのPは生まれました。

「どーせムリ」とあきらめに至るには、私たちはこんな3つの考え方をしています。

心を重くする考え方:3つのP

1.「どうせ私なんか・私のせい」
Personalization:悪いことを個人化してしまう。

2.「このことだけじゃなく、ぜんぶそうだ」
Pervasiveness:悪いことを普遍化してしまう。

3.「これからもずっとそう」
Permanence:悪いことがずっと続く(永続化)と思う。

個人化・普遍化・永続化。ネガティブモードの裏には、こんな考え方が潜んでいたのです。確かに「どうせ私のせい。ほかのこともこれからも…」なんて思い続けると、ココロは重く「どーせムリ」と諦めてしまうのは無理のないことかもしれません。

…となると裏をかいてその逆をやれば「心を軽くする考え方」につながるということ! 難しそう? 大丈夫です。キモチと違い、考え方を変えるのは比較的簡単なんです。私達一人ひとりのものごとのとらえ方は、生まれ持った遺伝子のせいではなく、考え方(マインドセット)で変えていけることも分かっています。実際、心理学ではこれらを応用したトレーニングで、楽観性やレジリエンスの向上に効果をあげています。

ご自分でも簡単にできる”心を軽くする考え方”はこんな感じ。

心を軽くする考え方

1. まずは個人化をみんな化へ
何でもかんでも「私のせいだ…」なんて思わずに「多かれ少なかれみんなそうかも!?」に変えてみる。

2. 次に、普遍化を限定的に
「結局なんでもそう…」ってブルーになるところを「今回はたまたま運が悪かっただけ」と信じましょう。

3. そして永続化を一時的に
「どうせこれからも続く…」なんて言わずに「次こそはいける!」と声に出して言ってみましょう。

これは楽観的に生きる3つのアプローチでもあります。日ごろネガティブに寄りがちな方は、これをヒントに、考え方のバランスを整えてみてはどうでしょうか。

まずは日常の小さなできごとから、心を軽くする考え方をくせづけてみませんか? やってみると意外に簡単。少しずつココロ軽く、ごきげんな自分を取り戻せますよ。

出典
●Seligman, M. E. P., & Maier, S. F. (1967). Failure to escape traumatic shock. Journal of Experimental Psychology, 74(1), 1–9.

●Seligman, M. E. P.,  "Learned Optimism: How to Change Your Mind and Your Life" (1990)

●Dweck, C. S., Chiu, C., & Hong, Y. (1995). Implicit theories and their role in judgments and reactions: A word from two perspectives. Psychological Inquiry, 6(4), 267–285.



島田恭子(しまだきょうこ)
医学や心理学のためになる知見を、女性のウェルビーイングに役立てたいと活動中。東京大学大学院でこころの予防医学を学び、保健学博士となる。一般社団法人ココロバランス研究所代表。
https://customer-harassment.org/kyokoshimada/

TEXT=島田恭子

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