仕事や日常生活で生じる迷いや課題に、より良い答えを見つけるためには、まず「自分を知る」ことが大事。保健学博士の島田恭子さんが「自分を知ること」=「自分のトリセツ」の作り方をナビゲート。自身のトリセツを手に入れて、ウェルビーイングにいこう! 【連載「自分学 わたしのトリセツ」】
vol.4 自分ファースト、してますか?
“自分なりの幸せ”を叶える自分学。前回ご紹介した世界標準の心理的ウェルビーイングの基準*は、6つのうち2つが、“自分”にまつわることでした。自分を優先する“自分軸”&ありのままを受け入れる“自己受容”。人生を豊かに過ごすキーワードはやはり…自分学なんですね。
というわけで、質問。自分ファースト、してますか? うーん難しい。自分軸&自己受容が大事と分かっていても、謙虚さが美徳の日本女性としてはなかなか手放しで自分ファーストとは思えない…。
でも大丈夫です。シンプルなポイント2つを意識すれば、自然と自分軸&自己受容に近づけますよ。
ポイント1. 「べき」から離れよう
今朝電車で、超個性的なシニア男性に遭遇。服から何からすべてが圧倒的。そのお姿は、シニアだから男性だから、とは無縁。「したい」をのびのびと楽しむお姿がありました。そう、私たちは自由です。女性だから母親だから「○○すべき」ではなく、自分の「したい」を大切に、やりたいことをやればいい。「べき」は誰かが決めたもの、「したい」は自分が決めること。「べき」は私たちを苦しめ、「したい」は私たちを楽にします。誰かが決めた「べき」なんて、本当に正しいとは限りません!
ここで困るのは、自分の「したい」が分からない、というお悩み。そう、私たちは育てられた人(多くは母親)の考え・感じ方に影響を受けます。マジメな少女ほどそれに従い自分にフタをし、何がしたいか分からない。当然です。そんなときは、小さなことからいろいろ試してみればいい。とりあえずご縁があることをいろいろやってみる。やっているうちに“好き”が見えてくるものです。
ポイント2. 私のステキは多面的!
顔はかなり三枚目なのにモテモテな友人男性がいます。…観察して気付きました。落ち着く声色。前向きで気遣いの人。優しい眼差し。否定しないで聞く姿勢。清潔。ほのかな良い香り。なるほどね…。もし彼が外見という一面だけに重きを置き「どうせ僕なんか…」と後ろ向きに生きていたら、こんなに人気は出ないはず。五感、心持ち、教養、生き方…ステキを生み出す要素は数知れず。自分がまず、自分のステキを見つけ、大切にする。自己受容の第一歩です。
さぁもうすぐ春の訪れ、新年度がスタートします。ぜひ、新しい自分のステキを探して、自分ファーストで行きましょう!
*Ryff, C. D., & Keys, C. L. 1995 The structure of psychological well-being revisited. Journal of Personality and Social Psychology, 69, 719-727
執筆者/保健学博士・島田恭子(しまだきょうこ)
医学や心理学のためになる知見を、女性の幸せに役立てたいと活動中。東京大学大学院でこころの予防医学を学び、保健学博士となる。一般社団法人ココロバランス研究所代表。
https://customer-harassment.org/
Instagram kokorobalance