仕事や日常生活で生じる迷いや課題に、より良い答えを見つけるためには、まず「自分を知る」ことが大事。保健学博士の島田恭子さんが「自分を知ること」=「自分のトリセツ」の作り方をナビゲート。自身のトリセツを手に入れて、ウェルビーイングにいこう! 【連載「自分学 わたしのトリセツ」】
幸せのために優先すべきは?
“ウェルビーイングを叶える”ために自分について学ぶ、自分学をお伝えする連載2回目。前回は、「長く続く、幸せな“いい感じ”が、ウェルビーイング」であること、「自分の強みと価値観を大事にすれば、ウェルビーイングに近づく」ことをお伝えしました。
ところが、みなさんよくこうおっしゃるのです。「自分の強みとか価値観って言われても…。うーん、よくわからない!」――それもそのはず。私たちは小さい頃から、“あなたの良さ(個性)”とか“価値観”よりも、“周りとうまくやる”か“世間が良いと思うもの”を大事にするようにと、周囲から教えられ、育てられてきたから。
でもそんな基準より「自分の好きなこと、得意なこと、ホントにホンネで大事にしたいこと」を優先する方が、幸せだし人生もうまくいくことが、研究データでもわかってきました。あれ? これって「強みや価値観」と同じこと言ってない!? 「あなたの好きや得意、大事なことは?」と自問自答してみる。その方が、答えを見つけやすいかもしれません。
映画『プラダを着た悪魔』をご覧になったことはありますか? オシャレで面白くてちょっと切なくて…女性に人気の映画です。正統派ジャーナリスト志望の主人公アンディがひょんなことから超有名ファッション雑誌編集長ミランダの秘書となり、誰もが羨むきらびやかな世界で活躍することに。華やかな立場や世間体を得て、一時は自分を見失うアンディでしたが、「自分にとってホントにホンネで大事なこと」に立ち戻ったとき、真に価値ある仕事や、価値観、本当に大切な人々を、取り戻すのでした。
「誰もが羨む」とか「世間体」じゃない。私たちが真に心地よく生きるために必要なのは、自分がホントにホンネで好きで得意で大事にしたいものを優先すること。今日からのあなたの行動、たとえば何かを選ぶとき、計画するとき、決めるときには、「ホントにホンネで好き」かどうかを自問自答してみませんか?
友達とワイワイするのが好きな人、静かにひとり時間を楽しむのが好きな人、外で新しい世界に触れることがワクワクな人もいれば、変わらないものに価値を置く人もいます。幸せの形は、人それぞれです。
あなたのウェルビーイングを探す旅。次回はこの「幸せの形」の世界標準をご紹介します。幸せを形作るものさしを、自身のトリセツに加えましょう。
執筆者/保健学博士・島田恭子(しまだきょうこ)
組織の人材育成を通して、心の健康の重要性を感じ、東京大学大学院にて予防医学とメンタルヘルスを学ぶ(保健学博士)。一般社団法人ココロバランス研究所代表。
https://customer-harassment.org/