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LIVING仕事

2024.05.26

「嫌」を知ることで見つけた、本当にやりたいこと

贈り手も受け取り手も共に幸福感に包まれ、絆が深まる。そんな今までにないレターギフトサービスを創り出し、人気を拡大している起業家 濱本智己さん。自身の“やりたいこと”を見い出し、形にするには? その道程には“自分らしく”生きるヒントが隠されている。【シリーズ/お仕事エッセイ

レターギフトで“手紙”をリデザインする

濱本智己のお仕事エッセイ

はじめまして。株式会社ネイチャーオブシングス代表の濵本智己です。僕たちの会社では、『人と人とのコミュニケーションが抱える問題を、昔ながらの“手紙”をリデザインすることで解決する。』という考えのもと、シカケテガミとRETTEL(レッテル)という2つのレターギフトサービスを展開しています。

レターギフトって何?と思われた方もいるかもしれませんが、僕たちはそれを「プレゼントの“主役”になる手紙」と定義しています。

心のなかでは思っているのに、気恥ずかしくてちゃんと言葉にして相手に伝えられない。みなさんにも何か心当たりがあるかもしれません。そんな「まだ届いていない温かい気持ち」を大切な人に届けるために、僕たちはレターギフトサービスを開発しました。

“大企業”じゃない側へ

もうずいぶん昔のことですが、僕は大学を卒業後、新卒で外資系のコンサルティング会社に入社しました。社会人としてのスタート地点にこの会社を選んだ理由は、“入社後に自分が何をするのか”をどこよりも具体的にイメージできたからです。

濱本智己のお仕事エッセイ

じつは当時、他にもある大手企業から内定をもらっていました。しかし新卒採用のプロセスでは、配属先は入社してから決まるケースがほとんどです。つまり会社は選べても職種までは選べないわけです。

営業? マーケティング? 経理? この運任せの博打を楽しめれば良かったのですが、残念ながら僕にはそれが恐怖でしかありませんでした。その点、コンサルティング会社であれば、少なくとも経営コンサルタントとして実務に当たることはわかっています。

当時まだ20歳そこそこの僕は、自分が将来やりたいことなんて何ひとつイメージできていません。ただその代わりに、今目の前にある選択肢の中で、やりたくないこと(今で言うところの配属ガチャ)だけははっきりしていたのです。

あまりポジティブな理由とは言えないかもしれませんが、僕の社会人としての第一歩は、そんな消去法のような形でスタートしました。

“左脳的”じゃない側へ

“企業のお医者さん”と例えられることもあるコンサルティング会社での仕事は、相当なハードワークを余儀なくされましたが、論理的思考力を鍛えるには最適な環境でした。

食品メーカーや公共交通機関、家電量販店など、多種多様な業界のプロジェクトに携わるなかで、小さな達成感を積み重ねられたこの時期の経験は、間違いなく今も役に立っています。

濱本智己のお仕事エッセイ

しかし入社から数年が経った頃から、論理的に説明できないものは決して認めない業界特有の思考プロセスに、少しずつ僕は疑問を抱くようになります。人間ってそんなに論理的に生きてるかな? 「仕事中の自分」と「いつもの自分」はそもそもなんでこんなにも違うんだろう?

このモヤモヤがきっかけとなり、より右脳的・直感的なアイデアに価値を見出すクリエイティブ業界へと興味を募らせた僕は、広告業界への転職を決意します。

“スペシャリスト”じゃない側へ

当初配属されたのは、広告代理店の中でもマーケティングやコミュニケーション戦略を担う部門。ブランドや商品・サービスの“消費者”にとっての本質的な価値を導き出し、クリエイティブ制作のための指針を設定するのが主な仕事でした。

ちなみに、広告のように人の心を動かすことが求められる仕事では、客観的なデータによる裏付けなどももちろん大切ですが、何よりもまず自分自身の原体験やそこからくる直感を信じられるかどうかがアイデアの質を左右します。

だから仕事中も、“ビジネスマン”ではなく“ありのままの自分”であり続けることが想像以上に重要です(あくまでも感性の話です)。このコンサルタント時代とは真逆の思考プロセスが、当時の僕にはとても新鮮で心地良いものでした。

濱本智己のお仕事エッセイ
競合プレゼン前は多忙を極めた、広告代理店時代。

しかしここでも次第に、見過ごせない違和感の壁が立ちはだかります。それは縦割りの組織構造ゆえに「戦略」と「クリエイティブ(制作)」がうまく連動しない、というジレンマでした。

一般論として、論理的に答えを追及する左脳的思考に長けた人間は、少なからず直感やひらめきといった右脳的発想への苦手意識があるものです。そしてその反対もまた然り。双方のバランスに長けた人間というのは稀であり、それは広告代理店のなかにおいても決して例外ではありませんでした。 

クライアントへの提案の際は、もちろん“溝”など感じさせないようにプレゼンされますが、実際には本末転倒な“こじつけ”が頻繁に起こっていました(少なくとも僕の目にはそう映っていました)。戦略とクリエイティブは表裏一体。そこが一気通貫しなければ、本質的なアウトプットなんて生み出せるはずがありません。

問題の原因は、シンプルにこの“溝”を埋められる人間がいないことでした。僕が戦略のスペシャリストでいる限り、指を咥えて今の状況を眺めていることしかできない。そんな悔しさから、肩書や部署の垣根を超えて、戦略とクリエイティブを横断的にリードする特殊なポジションを築いていくことになります。

“表現”じゃない側へ

初めて僕が広告業界に足を踏み入れた2000年代は、「ブランディング」という概念が声高に叫ばれた時代でした。消費財メーカーのP&Gがマーケティングのお手本とされたこの時代は、ある意味でコモディティ化(商品やサービスの価値に差がなくなり市場が飽和化した状態)の時代でもありました。

濱本智己のお仕事エッセイ

だからこそ、イメージで他社と差別化する「ブランディング」という概念が大いに脚光を浴びたわけです。そんな企業や商品・サービスのブランド価値を世の中に浸透させる「広告」という仕事に、僕は魅了されていました。

しかし10年近く同じ業界にいて、変化が起こらないはずはありません。テクノロジーは日々進化し、気づけば再び、商品やサービスそのものに明らかな”違い”が生まれる時代に突入していたのです。

そしてその潮流は、僕自身の考え方にも大きく影響を及ぼすことになります。“価値を生み出す”クリエイティブの醍醐味が、広告に代表される「表現」の土俵から「商品・サービス」へと移り変わっているように思えたからです。

濱本智己のお仕事エッセイ

クリエイティブの力で、まだ世の中にないモノやサービスを生み出したい。次第にそんな想いに抗えなくなっていきました。こうして僕は41歳のときに起業し、「シカケテガミ」というレターギフトサービスを立ち上げます。

“やりたい”より“やりたくない”を知る

40代での起業なんて、ずいぶん遠回りしたように聞こえるかもしれません。ただ不思議と自分ではそう思わないんです。

今思えば、僕は自分の「嫌」を知ることで、結果的に「やりたいこと」に近づいていました。自分の「嫌」を知るということは、言葉を変えると、今目の前に広がっている可能性の半分を切り捨てるということです。

濱本智己のお仕事エッセイ

それを何度も繰り返していると、とてつもなく広かったはずの“面”はいつしか“点”に近づきます。「嫌」を削っていった先には、自ずと「やりたい」が残るんです。

もし20代の頃に、偶然今の仕事と巡り合えたとしても、おそらく僕はそれを天職とは思えなかったはずです。過去があるから、今がある。歩んできた道のりに無駄なことなんて何一つないし、結局すべては線で繋がっています。

たとえやりたいことがわからなくても、少しずつ、外堀を埋めるように、自分の「嫌」を知っていく。そんな前進の仕方も、なんだか自分らしくて悪くないなと今では思っています。

今回は、僕が起業に至るまでにどんな心の葛藤を抱えていたのか、といったお話をさせていただきました。次回は、僕が起業を決意するきっかけとなったレターギフトサービス「シカケテガミ」誕生の裏側について書いていきたいと思います。

濱本智己

濵本智己(はまもとともき)

株式会社ネイチャーオブシングス代表取締役。1980年生まれ。娘と2匹のワンコをこよなく愛するパパ。大学卒業後、外資系コンサルティングファームに入社。より直感的かつ右脳的なビジネス領域への関心から外資系広告代理店に転籍後、コミュニケーション戦略からクリエイティブまでを一気通貫してデザインするハイブリッド型クリエイターとして活躍。2021年に株式会社ネイチャーオブシングスを創業。レターギフトサービス『シカケテガミ』『RETTEL』を立ち上げる。
シカケテガミ https://shikaketegami.com/
RETTEL https://rettel-tokyo.com/
Instagram @shikaketegami @rettel_tokyo

TEXT=濱本智己

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