ファイナンシャルプランナーの花輪陽子先生が、最新のマネートピックスを解説! 知っているようで知らないキーワードや、複雑でも私たちの暮らしに直結しているニュースなどを、サクッと整理して学びましょう。
会社員で確定申告が必要な3つの代表的ケースは?
確定申告のシーズンがやってきました。年末調整済みの会社員の場合、確定申告の必要のない場合が多いです。しかし、会社員でも給与のほかに一定以上の所得があると、申告が必要となる場合があります。
それは主に次の3つのケースです。
ケース1
給与の年間収入金額が2000万円を超える人
ケース2
1ヵ所から給与の支払いを受けている人で、給与所得(退職所得)以外の所得の合計額が20万円を超える人
ケース3
2ヵ所以上から給与の支払いを受けている人で、メインの給与以外の給与(収入金額)とその他の所得(給与・退職所得以外)の金額の合計額が20万円を超える人
ケース2に当てはまるという人は多いかもしれません。マンション投資、副業、仮想通貨取引などをしていて、一定以上の利益が出ている方などは注意が必要です。
副業・兼業を行い、20万円を超える副収入がある場合は、企業による年末調整だけではなく、個人による確定申告が必要になります。ちなみに20万円というのは、必要経費を引いた後の所得としての金額です。
所得に当てはまるのは例えばどんなこと?
ブログなどの著述業をしていて副収入があるというケースだと、一般に雑所得もしくは事業所得となります。
また、ネットオークションやフリマで得た収入も、売上から仕入れ額や経費を除いて得た所得が20万円を超えると雑所得として申告が必要になります。
(ただ、販売した物が洋服、家具、食器など自宅にあって使わなくなった物の場合には、生活用動産として所得が20万円を超えても確定申告の必要がない場合もあります。他方で、宝石、貴金属、アートなどの場合で1点が30万円を超えていると、経費を引いた後の所得は原則として課税対象となります)
マンションを貸しているなどで不動産所得がある人も申告が必要です。また、仮想通貨取引で利益が出た場合は雑所得となり、一般に申告が必要です。株式の売買の場合、日本国内の証券会社等で源泉徴収される口座で売買をしていれば基本的に申告の必要はありません。しかし、源泉徴収されない口座での取引や、仮想通貨や金の取引等に関しては一般に申告の必要があるため注意してください。
そのほか、パートの掛け持ちをしているという人も、ケース3に当てはまる場合は確定申告が必要になってきます。例えば、メインの会社で80万円の収入があって、もう一つの会社でも収入が50万円あるといったケースなど。サブの会社の収入が少ない場合も、その他の所得(例えば、不動産所得など)を合わせると20万円以上になる場合は申告が必要になります。
コロナ禍での申告、注意点は?
令和2年分の確定申告の申告・納付期限は、所得税および復興特別所得税・贈与税は2021年3月15日(月)まで、個人事業主の消費税および地方消費税は3月31日(水)まででしたが、緊急事態宣言の延長を受け、両方とも4月15日(木)まで期限延長が決まりました。
また、感染対策のためオンラインでの電子申告が推奨されています。確定申告会場への来場者に対しては、入場整理券による混雑緩和が行われる予定となっています。整理券は当日会場で配付されるほか、国税庁のLINE公式アカウントから事前発行も行われる予定です。例年と流れが違うため、注意しましょう。
なお、申告義務のない還付申告は5年間提出することができます。例えば、年末調整済みの会社員が医療費控除やふるさと納税により還付を受けたいという場合は、必ずしも急いで行う必要はありません。5年の間であれば提出ができるため、コロナ禍が落ち着いてから行うこともできます。
確定申告について専門家に相談をする場合は、税理士や税理士資格を有するファイナンシャルプランナーなどに質問をするとよいでしょう。日本税理士会連合会のサイトから、最寄りの税理士を探すことも可能です。
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