身の回りには読めそうで読めない漢字や、聞いたことはあっても使いどころのわからない言葉で溢れています。日々言葉について思考を巡らせている書画家・夏生嵐彩の連載「言葉の森」で、日本語の新しい側面を発見しながら、一緒に探険してみましょう。
4月も半ばを過ぎ、新しい季節になりました。
新学期、新入生、新社会人…新しい土地で新生活を始めた方もたくさんいらっしゃることでしょう。
この時期たくさんの「新」に出会いますが、新しいという漢字の成り立ちを皆さんはご存知ですか?
「新」は選ばれしもののことだった!?
新は「辛」と「木」と「斤」を組み合わせた形です。
辛は、取っ手のついた大きな針のこと。位牌などを作る大切な木を選ぶときに、この針を投げて選び、針の当たった木を斤で切ることを「新」といったそうです。
神さまの意思によって選ばれた特別な木を新しく切り出すことから「あたらしい、はじめ」の意味になりました。
昔は、大切な建物を建てる時に神聖な矢を放って、その到達地点を建設場所にするというしきたりがあったようですが、木の選定方法も似たようなことをしていたのですね。
新の美文字ポイント
それでは、美しく書くポイントを解説します。3つのパーツが組み合わさった字なのでそれぞれのポイントをしっかり押さえてバランスを整えましょう!
1. 「立」の左側のたて線を斜めに倒し過ぎて空間をつぶしてしまいがちです。左はまっすぐ真下に書くくらいのつもりで、右のたて線を中心に向かってはらうと良い感じになります♪
2. 〇〇偏はいつでも左が長く、右が短く! 旁(つくり)のスペースを奪わないために、偏は右側の長さをひかえて非対称に書くのがポイントです。
3. 斤の横線を、角に当ててしまうと、窮屈になるので注意!少し下から生やしましょう♪
ポイントを押さえれば、いまよりずっと美しい「新」が書けるはず。
皆さんの新生活を心から応援しています。それではまた!
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