毎月ジェンダーやフェミニズムの本のレビュー連載を行っているライターの雪代すみれです。今回は構成を担当した本をご紹介。笑って楽しく読める一冊です!(ライター/雪代すみれ)
田嶋陽子×アルテイシア 注目の対談本!
田嶋陽子さんとアルテイシアさんの対談本『田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?』が2023年2月24日(金)に発売となった。
田嶋さんは日本のフェミニズムの道を切り拓いた一人。1991年生まれの私はリアルタイムでは知らないものの、テレビで女性の人権のために声をあげて闘っていて、女性たちがエンパワーされたという話を聞いた。
私が住んでいる関東地方では田嶋さんが出演している『そこまで言って委員会NP』も放送されていないため、私が田嶋さんを知ったのは2019年発売の『エトセトラ VOL.2』(エトセトラブックス)がきっかけだった。その後、『愛という名の支配』(太郎次郎社→新潮社)を手に取る。『愛という名の支配』が発売されたのは1992年。約30年前の本だが、今読んでも共感する部分が多々あり、その頃から声をあげてくださっていた方がいたことに胸が熱くなった。
本書でも田嶋さんのパワフルで温かい言葉が記されている。
(セクハラ被害について)被害者に気にするなとかカウンセリングに行けとかそれは、絶対おかしい。加害者とその会社がカウンセリングに行けって話だよ(p.148)
そんなに生活が苦しいのも、本来は政治で変えられるはずなんだよ。みんなもっとちゃんと文句言わなきゃ(p.167)
実際にお会いした田嶋さんは明るくて優しくて元気をくださる方だった。具体的には秘密だが、個人的な話も聴いてくださって、田嶋さんからいただいた温かい言葉は私のお守りになっている。
アルテイシアさんはフェミニズムや毒親などに関するコラムを書いている作家さん。1976年生まれで、子どもの頃に田嶋さんがテレビで大活躍していたそうだ。テレビでの田嶋さんや、田嶋さんの本に励まされたことを本書の「はじめに」で綴っている。私はリアルタイムでは知らないが、アルテイシアさんの言葉を通じて、女性たちがいかに田嶋さんにエンパワーされていたかを追体験できた。
アルテイシアさんの本はGINGERでも紹介したことがあるが、ユーモア溢れる言い回しで、笑いながらフェミニズムを伝えてくれる。
たとえば本書では、
批判されたときに「不快な思いをさせてすみませんでした」とテンプレのご不快構文で謝罪する人が多いけど、これって屁をこいたとき言う言葉ですよね(p.127)
などがある。
本書は「ジェンダーって何?」といった基礎的な内容も説明されており、「フェミニズムの本は初めて」という人にもおすすめしたい。日々の生活で精一杯で、難しい本を読む元気がないという人も、笑って楽しく読める本であるため、ぜひ手に取ってほしい。
『田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?』(田嶋陽子、アルテイシア 共著/KADOKAWA)
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