こんばんは。アートテラーのとに~です。先日、画廊巡りをテーマにしたテレビ番組のロケをしてきました。そのなかで、私がアート作品を買うシーンを撮影したいとのこと。さすがに本当に購入してもらうのは忍びないと、あくまでその“てい”で撮影する運びとなりました。ギャラリストさんも、“てい”と把握したうえで、オススメ作品を数点紹介してくれます。と、そのなかのひとつのアート作品に見覚えが!
その作品は、昨年末にそこの画廊で開催されていた展覧会で拝見し、ひと目惚れしたものだったのです。そのとき買おうか悩んだのですが、年末で何かと物入りということもあり、諦めていました。
人気の作家の作品のため、その後、誰かのもとにお嫁入りしただろうと思っていたのですが、ギャラリストさんいわく、「不思議なことに、その作品だけ貰い手が見つからなかったのです」とのこと。これはきっと縁。“てい”ではなく、ガチで購入することにしました。ギャラよりも高い金額だったので、ディレクターさんたちも若干引いていました(笑)。 とはいえ、何十万円も何百万円もするものではなく、ちょっといいコートと同じくらいの金額です。
お気に入りのアート作品を飾ったことで、自分の部屋の印象がグッと良くなりました。5~10万円くらいあれば、十分ステキな作品が購入できます。インテリアを買うように、アート作品を買うのも悪くないですよ。
と、近況報告はそれくらいにしまして。本日は、以前に一度取り上げた質問「日本で、ここは行っておくべし!という美術館があれば教えてください」の<静岡編>をお届けしたいと思います。
静岡県はミュージアム王国だ
東西に長く、東海道のおよそ3分の1を占めるほどの広さなのに、新幹線ののぞみが通過してしまうことから、あまり降り立つ機会のない静岡県ですが。
アートと花と食がまとめて味わえるクレマチスの丘(長泉町)に、ジブリのような建築で話題の秋野不矩美術館(浜松市)に、1975年にオープンした“20世紀美術に焦点を当てた日本初の美術館” 池田20世紀美術館(伊東市)に。一度は訪れたい美術館が点在しています。
そのなかでも特に「ここは行っておくべし!」な美術館が、今人気再燃中の熱海にあるMOA美術館。国宝3点、重要文化財65点を含む約3500点を所蔵する美術館です(その名は知らずとも、教科書などで一度は目にしたことがあるであろう尾形光琳の国宝《紅白梅図屏風》を所蔵しています)。
見どころは、何と言っても一昨年にリニューアルされた展示室。建築家・榊田倫之さんと、世界的に活躍する現代美術作家・杉本博司さんの手によって、和と伝統を感じられながらも、スタイリッシュさも併せ持つ素敵な空間に生まれ変わりました。また、美術館のメインロビーからは、相模灘を一望できます。アートと海。どちらも楽しめる美術館です。館内は基本的に写真撮影が可能なので、カメラを持参するのをお忘れなきように。
今、時代は80年代ブーム!?
静岡市内一高いビル・葵タワー。その3階に位置するのが、静岡市美術館。2010年にオープンした都市型美術館です。
そんな静岡市美術館で、現在開催されているのは、1980年代の日本のアートシーンにスポットライトを当てた展覧会『起点としての80年代』です。’80年代のディスコ風サウンドを取り入れたDA PUMPの 『U.S.A.』がダサかっこいいと話題となったり、ツッパリ全盛の’80年代を舞台にしたドラマ『今日から俺は!!』 が中高生を巻き込んで大ヒットしたり。今、何かと熱い’80年代。その時代に生まれたアート作品の数々も、やはり熱い! 古さを感じるどころか、一周回って新しいと感じられるはず。なお’80年代生まれの人は『80年代割』が適用されますよ。ぜひこの機会に!
ちなみに、静岡市美術館は展覧会だけでなく、ミュージアムショップも充実しています。静岡ならではのグッズが多く取り揃えられているので、併せてお楽しみくださいませ。
静岡といえばロダン
日本平の小高い丘のふもとに位置する静岡県立美術館。「風景とロダンの美術館」という愛称をもつ美術館です。その愛称の通り、国内外の風景画のコレクションと、19世紀フランスの彫刻家ロダンのコレクションに定評のある美術館です。《考える人》や《地獄の門》などロダンの名品32点が常設されたロダン館は、まさに美術館の顔。自然光が優しく差し込む空間で、ロダンの彫刻をたっぷりと堪能することができます。
ちなみに、そんなロダン館から生まれた「ロダン体操(ロダン彫刻のポーズを取り入れた体操)」なるものがあるとのこと。静岡県内では、かなり認知度の高い体操なのだそうです。(参考URL http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/images/rodin/gym/movie_rodin.mp4)
なお、間もなく会期終了ですが、1月27日まで『めがねと旅する美術展 視覚文化の探究』が開催中。こちらは「メガネ」をキーワードに、現代アートや江戸絵画、写真、VRなど幅広いジャンルのなかから、学芸員さんのお眼鏡にかなった約100作家約200点の作品を紹介するユニークな展覧会。メガネそのものをモチーフにした作品もあれば、まさにメガネのようにこの世界の見え方をクリアにしてくれる作品も。メガネ属性ならずともチェックしておきたい美術展です(キラーン)。
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