アメリカ在住の料理研究家・フードコンサルタントのブライデン陽子さんによる連載。世界中を旅するなかで得た自由な発想で、最新のフードトピックスや、スタイリッシュで美味しいレシピをご紹介します。
今週木曜日はアメリカのサンクスギビング。最近日本でもその翌日のビッグセール、ブラックフライデーは知られるようになってきましたが、サンクスギビング自体は馴染みがない方が多いかもしれません。毎年11月の第四木曜日に行われ、収穫祭とも呼ばれるように、まさに収穫を感謝する日です。宗教と関連したクリスマスとは違い、全国民が祝うサンクスギビングは、アメリカ人にとってとても大切なホリデー。家族で集まって伝統的なご馳走を食べるという意味では、日本のお正月に似ているかもしれません。そこで今日はいったいサンクスギビングにどんなものを食べるのか、定番メニューを紹介したいと思います。ほかの国の食文化を覗いてみるのは、ちょっと興味深いですよね。
サンクスギビングの定番メニュー
メイン料理=ターキー
メイン料理はやはりターキー(七面鳥)です。そして丸ごとオーブンでローストしたターキーには、その肉汁から作るグレービーソースとアメリカ原産のクランベリーから作る甘酸っぱいソースが欠かせません。
スタッフィング
スタッフィングまたはドレッシングとも呼ばれるもので、ターキーを焼くときにお腹に詰める具材のことです。小さく切ったパンに野菜やハーブなどを混ぜたものが一般的ですが、オイスターや栗、もち米を詰める場合も。地域性や民族性が現れ、とても面白いです。
サイドディッシュ(副菜)
メイン料理とスタッフィングがそろったら、あとは何品かの野菜のサイドディッシュが添えられます。この時季に採れるものや、アメリカ原産の食材を使った料理が多く、数家族で一緒に祝う場合は、これらを持ち寄ってもらうのが一般的です。スイートポテト、ジャガイモ、とうもろこし、インゲン豆、かぼちゃ…これらはすべて南北アメリカ原産野菜で、マッシュしたり、グラタンのようにソースと絡めて焼き上げたりします。
デザート
デザートはパイが一般的です。特にアップルパイ、パンプキンパイ、ピーカンパイが人気で、3種類全部並ぶなんてこともよくあります。
ご馳走はみんなで分け合う!
この日だけは誰もがお腹いっぱいご馳走を食べられるべき、という思いから、必要以上のご馳走が食卓に並びます。そしてそれは自分たちだけでなく、すべての人がそうあるべきであるという思いも強く、貧しい人たちのために食糧を寄付したり料理を届けたりという慈善活動も盛んに行われます。
いかがでしたか? サンクスギビングは、ホリデーにしては華やかさに欠けるイメージがあるかもしれませんが、それはコマーシャル化されたクリスマスとは対照的にとても家庭的なホリデーだからなんです。実はアメリカ人が最も楽しみにしているホリデーと言っても過言でないと思います。
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