カポックという木の実のワタを使った、アニマルフリーのダウンコートを提案する「カポックノット」。創業者の深井喜翔さんが構想する新たな挑戦とは?
アパレル業界に変革を起こす、次世代のサステナブル
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慶應義塾大学卒業後、大手繊維メーカーを経て家業である双葉商事株式会社に入社。2018年末にカポックに出合い、2019年9月にカポックノッ トを立ち上げる。
女優・二階堂ふみさんとのコラレーションでも話題を呼んだ「カポックノット」。2022年9月に渋谷・ミヤシタパークに待望のショップをオープン、サステナブルなファッションや新しい価値観の発信を続けています。
創業は2019年秋。東南アジアに自生する植物“カポック”との出合いに運命を感じ、社会を変えたいとアクションを起こしたのが代表の深井喜翔さんです.
木の実から採れるカポックとは?
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東南アジアに自生する植物。暑さに強く、農薬や化学肥料が不要なうえ、木を伐採せずに採取できる。木の実からワタが取れ、環境負荷が非常に少ない。コットンの1/8の軽さ、ダウン並みの暖かさが魅力。
「大学卒業後に入った大手繊維メーカーでその存在は知っていたのですが、インドネシアで実際にカポックの木を見て感動、ブランド創設に向け一気に駆け抜けました」
これまで繊維にすることが難しくアパレル業界で使用されていなかったカポック。深井さんは、前職の繊維メーカーと共同で薄いカポックシートの開発に成功。これがターニングポイントとなり、軽くて、ダウン並みに暖かいアウターが誕生しました。
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もともと77年続く関西のアパレル企業・双葉商事の跡継ぎでもあった深井さん。大量生産、大量廃棄を前提にした業界の仕組みに疑問を持ち、また大学で専攻したソーシャルビジネスの学びから、“新たな価値を創出する”ブランド作りに注力しました。
「“Farm to Fashion 農園からここちよい暮らしを”を掲げ、カポック農園の労働環境や生産プロセスを公開するほか、売り上げの1%を生産環境に還元するなど、関わるすべての人にフィードバックするサイクルを前提にしています」
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「カポックはコットンの8分の1の軽さと、湿気を吸って発熱する高い機能性を持ち合わせています。最初に作ったエアーライトジャケットは、たった500gほどの軽さで薄くて暖かく、今でも継続して人気を集めています」
こういった真摯な姿勢が多方面から評価され、前述の二階堂ふみさんはじめ、今年はロンハーマンとコラボレーション、植物由来100%のダウンコートも展開中です。
「デザインを入り口に選んでもらうのがやはり理想です。今目指しているのは、“ネクストサイクルパイオニア”。新しい消費を生み出す、次世代のサステナブルを模索しています」
ブランドとしては、寝具やブランケットなどのホームコレクション拡充のほか、原綿や加工技術を進化させる開発にも力を入れていくそう。
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「環境負荷の低いマテリアルカンパニーとしても価値を高めていきたいです。協業も進行中で、仲間作りを進め業界に革命を起こしていけたら」と今後についても語ってくれた深井さん。
さらに広がるサステナブルな取り組み。今もこれからも、カポックノットのアクションに注目したい。