世界中から厳選した家具や照明、インテリアアイテム、その他、オリジナルのアイテムも多く取り揃える「ザ・コンランショップ」の生みの親であるデザイナーのサー・テレンス・コンラン。その人物像に迫る、日本で初めての展覧会「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」が、東京駅直結の東京ステーションギャラリーで2025年1月5日(日)まで開催中です。
デザインブームの火付け役、300点以上の作品・資料で振り返る
自分自身のとっておきのインテリア用に、友人への特別なギフトに、ザ・コンランショップを利用したことがあるという人も多いのでは?
シンプルで機能的でありながら美しいデザインのプロダクトが揃うザ・コンランショップは、西新宿の日本初出店から今年で30年を迎えています。最近では、麻布台ヒルズ内に日本では7つ目のショップをオープンし、日本初のレストラン併設ということで注目を集めています。
その創始者であるサー・テレンス・コンランは、イギリスの生活文化に大きな変化をもたらし、デザインブームの火付け役にもなった人物です。
展覧会では、彼が幼少期や学生時代に制作したドローイングや、パターン・デザインした食器やテキスタイルなどの初期プロダクト、家具デザインのための模型、レストランのメニューなどから、発想の源でもあった愛用品、著書、写真、映像など300点以上の作品や資料が並びます。
コンランのインスピレーションの源‟愛用品”の一部を初公開
こちらは、展示室に大きなパネルで紹介されている、コンランが晩年を過ごしたバークシャー州キントベリーに建つ赤レンガの邸宅「バートン・コート」の仕事部屋の写真です。
そこには、クラシックとモダン、精巧と素朴、大胆さと繊細さ、自然と人工といった性質の対比物の愛用品が置かれていて、インスピレーションの源となっていました。そのいくつかは実際に展示室に並んでいて、コンラン没後初公開となっています。
デザインが暮らしを豊かにすること、いつでもこれが私にとって一番大事なことだった。
『マイ・ライフ・イン・デザイン』
The way that design can enhance our lives has always been of the highest importance to me.
著書でこう語っていたテレンス・コンラン。
コンランが暮らしのなかで大事にしていたものを実際に目にすることで、彼がデザインをどう捉えていたのか、頭のなかを覗き見るようでワクワクする展示となっています。
コンランが残した言葉と周縁の人々が話す言葉に注目
展示室では作品や資料に加えて、コンランが残した言葉が実際にパネルとなって各所で紹介をされています。
例えば、下記のような一文も。
「絶対になくてはならないというわけではないけれど、私の人生の質を高めてくれるものなんだ。心がときめいて、気持ちを高めてくれるものだからね。」
これらは、コンランを知るヒントになっているので、お見逃しなく。
また、コンランと関わりが深かった人々へのインタビュー映像が多数紹介されていて、そのコメントからも彼の人となりを知ることができるので、映像もゆっくりと鑑賞しながら楽しむのがおすすめです。
東京ステーションギャラリーならではの展示を楽しんで
本展覧会は、会場となっている東京ステーションギャラリーの空間を活かし、2階と3階で異なる世界観で展開されています。
展覧会がスタートする白壁の3階では、まるで店舗や住宅の一部を切り取ったかのような空間が広がり、初期の家具やプロダクトが紹介されています。
2階は駅舎の構造を露わにしたレンガ壁の展示室となっており、そこに単管パイプを張り巡らせ、コンランが展開したショップやレストランのためのアイテム、さまざまな資料が並びます。
またフロアを移動する際に使う階段やそこに据えられたシャンデリアの意匠も素晴らしいので、展覧会とともに美術館自体の美しいデザインにもぜひ注目してみて。
作品・資料の一部をご紹介。