この2月、3日間にわたり六本木アカデミーヒルズてに開催された「Femtech Fes!(フェムテックフェス)」。盛況を極めたイベントの内容と、会期中に行われたGINGER×高橋愛さんのトークステージの模様をご紹介!
あたりまえを疑い、未来を見つめ直す旅
FemaleとTechnologyをかけ合わせた造語である「Femtech」は、2015年ごろに欧米で生まれ、ここ数年でようやく日本でも一定の認知を獲得。でもこの言葉の先に広がっていくべき世界は、まだ発展途上といえます。
今を生きる女性のQOLを向上させ、次の世代により良い形で引き継いでいくためにも、さらなる活性化が望まれるフェムテック市場。“生活者一人ひとりが抱える満たされていないニーズ”をすくい上げて、“企業のモノづくりやより良いルールづくり”に繋げていくことーー4回目の実地開催を実現した「Femtech Fes!」は、そんなミッションを掲げていました。
女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決するために、多くの企業が商品開発、サービス向上を目指している“今”。会場内のブースでは、最新の商品、開発中のテクノロジーが披露され、来場者はタッチ&トライしながら新しい知識を得ることができ、各個人が気付きや思いを発信する場も用意されていました。
参加企業、ゲストの相互にとって、フェムテックの課題と未来を考える良き機会となった本イベト。「これまで”あたりまえ”だと思って見過ごしていた様々な事柄を見つめ直し、一歩を踏み出すきっかけに」というイベントテーマは、すべての参加者にしっかりと届いていたと確信できるほどの盛り上がりでした。
GINGERが参加したトークセッション、ゲストは高橋愛さん
イベント開催中は、会場内のステージにてフェムテックに対して多角的にアプローチするトークセッションが行われ、GINGERも参加。俳優・モデルとして活躍する高橋愛さんをゲストに迎え、「言葉にできないモヤモヤと今こそ向き合ってみよう」をテーマにセッションを行いました。
まずは「言葉にできないモヤモヤ」の1つとして、生理前や生理中の悩みをピックアップ。GINGER読者のアンケート調査でも、回答者の約70%が生理が原因で「落ち込む・イライラする」という悩みがトップに上がる結果が出ていて、PMSやPMDDに悩んでいる女性がとても多いことがわかっています。
高橋さんから「かつては私もついイライラして、その原因に気付かず、親にぶつけてしまったことも。今は理由を理解しているので、パートナーにも『生理』であることを伝えたりします」と体験談が。生理にまつわる心の不調で、人間関係に支障をきたした経験がある人も多く(同アンケートでは40%以上が『ある』と回答)、周囲の理解をどう得たらいいのかーーは大きな課題。
「情報として周囲に伝えやすい世の中になるといいですよね。『今、生理中です』というバッジを付けるとか」というアイデアが高橋さんから出て、会場に集まった皆さんも思わず同意してうなづくシーンも。
初経年齢が早まり、合計特殊出生率(1人の女性が一生のあいだに産む子どもの数)の低下、さらに閉経時期も遅くなっている現代、女性の生涯における生理回数は450回と、かつての5倍に及ぶという統計も出ています。1ヵ月のなかでのモヤモヤ時期は生理前後まで含めると2週間、決して短くはありません。「どうやって生理期間を少しでもハッピーに過ごすか」を考え、積極的に向かい合いモヤモヤを解決していくかは、心身のためにも、貴重な時間を有意義に過ごすためにも、とても重要なテーマです。
渡邊編集長からの「もっと早くに知っておきたかった、という情報は?」という問いに、「もっと以前から、自分の体のバイオリズムを知ることができたら対処法もわかって良かったのにと思いますし、食でPMSの対策ができる部分もあるかと思うので、そのあたりの知識も欲しかったですね」(高橋さん)と振り返りました。
昨今は、自身の体のバイオリズムを管理できるアプリなどツールも充実し、時期や量などを把握することで生理対策の選択肢も増加。最新テックから多くの情報を得て活用することが可能になり、さらなる新技術の開発も進んでいます。今回のイベントのように、その先端を見聞きすることで、私たちを取り巻く環境の変化を知っておくことはとても有効なのです。
日によって布ナプキンを使うこともあるという高橋さんから「布ナプキンを洗う際に、自分の後始末を自分ですることで、“こんなに頑張ってくれているんだな、私の体”…という気付きもある」という、自分の体を労わる時間をもつことの大切さもシェアされました。
そしてモヤモヤの原因としてもう1つ挙げられたのが、近い未来に待ち受けているであろう「更年期」に対する漠然とした不安。「怖い」といった印象を持つGINGER世代も多いようです。
「まず、『更年期』というネーミングに対してネガティブな印象を持っている方が多いと聞きます。新たな呼び名を考えてみることで、自分の固定観念と向き合うきっかけになるのではと、会場内の体験エリアではネーミングを考えてボードに貼っていただくコーナーを設けています」という中川さんの言葉に、高橋さんが反応。
「“レベルアップ”はどうですか? ゲームでよく使われる言葉ですが、良い意味で上に進んだ感じがしていいのでは!」と提案が。「私、レベル上がった!」と言うと、確かにポジティブ! トークセッション後には、高橋さん自らボードに「レベルUP!!」と書いた付箋を貼ってくれました。
渡邊編集長からは「かかりつけの婦人科をもつなど、プロフェッショナルなアドバイザーが身近にいると心強くて安心」、中川さんからは「不安や悩みを口にすることで、それを解決する商品が生まれてくるかもしれないので、どんどん口にすることも必要」、そして高橋さんからは「怖いと思うことも、きちんと向き合い、知っておくことで怖くなくなるはず」など、モヤモヤを払拭する解決策も。
伝えること、会話していくことが必要!
トークセッション後は、イベント会場の雰囲気を楽しんだ高橋さん。開催した3日間で過去最多の5,000名以上が来場したフェスの感想を伺うとーー。
「フェムテックって、わかっているようでわからない部分もまだまだありますよね。だから、こうしてたくさんの人が集まって、男性の参加者も多い様子を見て、“みんな、わかろうとしているんだな”ということを知ることができたし、そんなイベントに参加することができて嬉しくなりました。
やはり生理の話は相手を選ぶし、気軽に会話にできないテーマですから、こういう場があるのはとても大切だと思います。女性のモヤモヤについては、女性だけでなく男性も知っておいたほうが良いですから。
まだまだ社会にはジェンダーギャップがありますが、女性と男性のギャップをなくすということは、性差を無視するということではないですよね。身体的には女性がもっているものと男性がもっているものは異なるわけで、ホルモンバランスも違う…そこを前提として、互いを理解するうえで、ギャップをつくるのはやめましょうということなんだなと思っています。そのために、伝えること、会話していくことが必要!
そして正確に思いを伝え合うためにも、男女に関係なく“自分を知る”ことがとても大事なんだなと感じました。自分を知ることで見直すこともできるし、人に伝えて理解してもらうこともできるんですよね」
ーー言葉にできないモヤモヤを言葉にする、してみる。そのためにも、自分自身の良き理解者になる。私たちに必要なフェムテックを生み出すのも、私たちの言葉なのだということを教えてくれたフェムテックフェス。自分の体と心の動きを見つめて、ぜひ次の行動に繋げていきましょう。