飲食店の利用で子ども食堂をもっと持続可能に。この夏「こどもごちめし」を本格始動するNPO法人Kids Future Passport代表理事、今井了介さんが描く未来とは。
画期的なプラットフォームで、子供たちみんなに美味しい食事を!
安室奈美恵さんの「Hero」やアーティストTEEの世界的大ヒット曲「ベイビー・アイラブユー」を手がけるなど、音楽プロデューサーとして著名な今井了介さん。そんな彼が、2019年に立ち上げたのが、デジタルチケットで食事をギフトする「ごちめし」というサービス。
「きっかけは2011年の東日本大震災です。音楽を通じて何かしたいと思っても、衣食住あってのエンタメ、という状況を目の当たりにして。生きるのに最も欠かせない“食”で社会に貢献したいという強い気持ちが芽生えました」
このデジタルシステム「ごちめし」が画期的だったのは、飲食店から手数料をとらない仕組みだったこと。
「“ありえない”と散々言われましたが、ギフトする人が負担するのが真っ当だと。ほかとの差別化という意味でも信念を貫きました」
その真価を問われたのが、サービスのリリース直後に襲ったコロナ禍という事態。
「想定外でしたが、こういうときのために作ったのだったと初心に戻り、発想を変えて始めたのが“さきめし”です」
先払いのシステムを利用し、応援したい飲食店の食事チケットを購入する飲食店支援サービスに転換したのだ。2020年3月9日にスタート、どこよりも早い取り組みだったこともあり注目を集め、一気に利用が広がった。
7月から全国で展開スタート!飲食店で利用できる「こどもごちめし」
同様のプラットフォームを用いて子ども食堂として活用するのが「こどもごちめし」。創業時からの構想がついに形になる。すでにさまざまな自治体がシステムを導入し、地元の飲食店を起点に子ども食堂を展開。茨城県境町では、自治体が運営する子ども食堂への寄付金がふるさと納税になるなど、全国初の取り組みも!
満を持して始めるこのサービスは、全国の飲食店が舞台。新たに立ち上げたNPOをハブに支援者や企業からの寄付を財源に運営していくそう。所得制限もなく、「中学生までの子供なら誰でも利用可」と聞くと、一見大盤振る舞いのようにも捉われかねない。
「制限しすぎると最も必要とする方々が利用しづらくなり、結局は届かないんです。より支援が必要な家庭には、食事の回数を増やすなど対応予定です」と今井さんの言葉は明解だ。
時代が求めるものを提供し続けてきたヒットメーカーの挑戦は、“子供たちに1食でも多く届ける”こと。わくわくして行動した先には、もっと人に優しい社会が創出されそうだ。
こどもごちめし
https://kids-future-passport.org/
今井了介(いまいりょうすけ)
作曲家・プロデューサー、Gigi株式会社代表、NPO法人Kids Future Passport代表理事。2018年にGigiを起業、「ごちめし」「さきめし」、社食サービス「びずめし」、「こどもごちめし」を展開。
https://www.gigi.tokyo/