さまざまな健康効果が期待され、注目を集めている高カカオチョコレート。摂取することで得られる具体的なメリットや、効果的な食べ方について管理栄養士の猪坂みなみさんに伺った。
高カカオチョコレートはダイエットの味方!
健康的な体づくりのためには、バランスのとれた食事と適度な運動…。そんなことはわかっていても、ときには好きなものを好きなだけ食べたい!と思う人も多いはず。
そんな人におすすすめしたい習慣が、「食事前に高カカオチョコレートを1かけ」食べること。カカオは脂肪の蓄積を抑えたり、食欲そのものを抑える働きがあり、太りにくく健康的な体に導いてくれる食べ物。そのカカオを手軽に摂取できる高カカオチョコレートは、ダイエットの救世主。
猪坂さんによると、カカオ摂取によるメリットは大きく分けて4つ。期待できる効果を早速チェック。
メリット1. 脂肪の蓄積を抑制
カカオポリフェノールには、血糖値の急上昇を抑え、急激な脂肪の蓄積を抑える効果が。
「食事の際、血糖値が急激に上がると脂肪蓄積をすすめるホルモンであるインスリンが過剰に分泌されてしまいます。カカオポリフェノールは血糖値の上昇を緩やかにする働きがあるといわれ、インスリンの分泌を抑えるのに役立ちます。最近の研究では、ポリフェノール自体に脂肪の吸収を抑える働きがあるのでは?ともいわれていて、その効果も期待されています」
メリット2. 食欲抑止
テオブロミンと食物繊維の作用で食欲が抑えられる。
「カカオ豆に含まれるテオブロミンという成分が、脳内物質のセロトニンに働きかけて、食欲を抑えたり、リラックスさせてくれます。また、カカオには食物繊維も豊富。食事の前に食物繊維を摂ることで、糖質や脂質などの急激な吸収を抑えられます。満腹感が長続きするので、余分な間食を防ぐことにも役立ちます」
メリット3. 便秘改善
外皮とカカオプロテインの作用でお腹すっきり!
「ダイエットというと食べる量を減らす人も多いですが、食べないと便秘になりやすいという問題も。カカオ豆の外皮には、腸内細菌そう(腸内フローラ)に生息する腸内菌のバランスを整える効果があります。そのほか、カカオプロテインという消化されにくいタンパク質も含まれています。カカオプロテインは大腸まで届いて便を増やしてくれるので、お通じの回数を増やしてくれるのです」
メリット4. 抗酸化作用で美肌に
カカオポリフェノールには、美肌に嬉しい抗酸化作用も!
「皮膚は紫外線でダメージをうけると、バリア機能が低下してしまいます。そして刺激により皮膚が厚くなり、シミができてしまうことも。ポリフェノールには抗酸化作用があるので、紫外線による炎症をおさえて、皮膚の新陳代謝を活発にしてくれます。そのため、皮膚の水分量が保たれたり、外部刺激から保護されやすい肌に導いてくれるのです」
高カカオチョコレートを選ぶなら「70~80%」!
では、どのようなチョコレートを選ぶのが効果的?
「メリットを最大限期待するなら、カカオのパーセンテージが高いほど効果的です。ただ、高すぎると食べにくさも出てくるので、個人的にはカカオ80%台のチョコレートがおすすめです。80%でも薬のようだとか、苦いと感じる人もいるので、まずは70%台のものから始めて、慣れてきたら80%にしていくといいですよ」
せっかくなら無理に食べるのではなく、楽しみながら続けたいもの。美味しいと感じるパーセンテージのものから始めてみて!
はじめよう!「食事前の高カカオチョコレート」習慣
最大限カカオの効果を得るためには、適正量や食べるタイミングを守ること。大事なポイントをチェック。
1日の適正量/食べるタイミング
1日5〜6枚以内を目安に、3時間おきに1かけ。食事前は15〜30分前に摂取を!
「1日における間食の目安は200kcalとされているので、市販の高カカオチョコレート6枚以内が理想です。ダイエット中なら、その半分くらいにするのが良いでしょう。また、ポリフェノールは2時間くらいで効果が最大になり、その後は次第に効果が薄まっていきます。そのため、7時・10時・12時・15時・18時・21時くらいの間隔で、1かけずつ小分けして食べるのがおすすめです。ポリフェノールによる脂肪蓄積抑止と、食物繊維による糖質・脂質の急激な吸収の抑制を期待するのであれば、食事の15〜30分前くらいに食べること。食欲を抑えるためだけの目的であれば、直前に食べても効果があります。目的に合わせて楽しんでください」
食べ方のポイント
ゆっくり溶かしながら食べること!
「カカオが原料のチョコレートは独特の香りやなめらかさがあり、幸福感・満足感が出やすい食べ物。ゆっくり溶かしながら食べることで香りが充満して鼻にぬけ、長く感じることができるので、より満足感が高まります。人は満足すればするほど食欲が抑えられ、食べ過ぎを防止しやすくなるで、1枚を大切に食べましょう」
ちなみに、70%程度の高カカオチョコレート5枚分のポリフェノール(約635mg)と、食物繊維(約3g)を別の食材で摂ろうとすると…。
ポリフェノール
・コーヒー 2.3杯分(1杯140cc換算)
・オクラ 64本
食物繊維
・ごぼう 小1/2本
・オクラ 10本
野菜の中ではポリフェノールが多い方のオクラでも、同等の量を摂るには1日に64本も摂取が必要。ポリフェノールと食物繊維の両方を豊富に含む食材の中で、日常的に摂取しやすいものはとても少なく、カカオはその数少ない食材のひとつ。調理の手間をかけずそのメリットを手に入れられる高カカオチョコレートは、健康的な体づくりの味方といえる。とはいえ脂質が多いという点には注意が必要。食べ過ぎには気を付けて。
コーヒーは気軽にポリフェノールを摂取できる飲み物なので、高カカオチョコレートと一緒に飲んで、ポリフェノールをさらに上乗せするのも効果的だとか。高カカオチョコレートを習慣的に摂取して、健康的な体づくりを!
監修者/猪坂みなみ(いのさかみなみ)
管理栄養士・ダイエットコーチ。顧客をLINEで365日サポートする伴走型のダイエットプログラムを主宰している。成功に導いた顧客は20~50代男女と幅広く、累計300人を超える。ストイックな我慢が必要な辛いダイエットではなく、楽しく無理なく、精神面も健康的に痩せる方法を推奨している。
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