アメリカ在住の料理研究家・フードコンサルタントのブライデン陽子さんによる連載。世界中を旅するなかで得た自由な発想で、最新のフードトピックスや、スタイリッシュで美味しいレシピをご紹介します。
2021年も間もなく終わろうとしています。今年も食に関するいろいろな記事を書いてきましたが、最後はアメリカのメディアも注目する、大手自然派スーパー「ホールフーズマーケット」の2022年食品トレンド予測を紹介し、これからの食について少し考えてみたいと思います。
予測内容を見ていて最も強く感じたことは、人々の健康や環境への意識の高まりが、トレンドを大きく左右しているなということです。これは逆にいうと、食が健康や環境問題と深く関わりあっているということでもあります。当たり前にしている、日々の「食べる」を見直すことで、自分の健康を維持し、社会に貢献することができるのです。これを機に食習慣を振り返り、2022年も美味しく健康にかつ自然を守っていけたらいいですね。
2022年食品トレンド予測で“食べる”を見直す!
1. 超都市型農業
屋上菜園や屋内での水耕栽培など、大都市の限られたスペースで農作物を育てる農業のことです。将来の食糧危機の解消やカーボンフットプリントの最小化にも貢献する新たな超都市型農業は、今後ますます注目されていくと思われます。
2. 柚子
欧米諸国で少しずつ知名度が上がっている柚子。一流シェフからは既に注目を浴びていますが、2022年は柚子入り商品のラインナップがより拡大され、柚子ブームが一層高まりそうです。
3. 減量主義
肉や魚の摂取を完全にやめられないけど、健康や環境保護のためにも、なるべく少なくしたいと言う考えです。また肉や魚を食べるときは、環境に配慮されて生産されたものを食べるようにすることが大切です。
4. ハイビスカス
ビタミンCを豊富に含むハイビスカスティーは、古代からお茶として親しまれていますが、近年新たに、飲料はもちろんスプレッドやヨーグルトなどの新しいフレーバーとして人気が高まっています。
5. 洗練されたノンアルコールスピリッツ
コロナ禍では自宅でのアルコールの消費が急増した一方で、健康志向のミレニアル世代とZ世代はノンアルコールやアルコール度が低いお酒を好んだため、この種のドリンクの売り上げが記録的な成長を遂げました。ノンアルコールのテキーラやジンからカクテルまで、ハーブや果物など自然に味付けされた洗練されたものが多く、今後も伸びていくカテゴリーだと予測されています。
6. 環境を改善する穀物
自然環境を改善する農法で栽培された穀物が注目されており、商品はまだ少ないですがパンやシリアル、ビールの原料にと少しずつ使用されています。
7. ひまわりの種
ナッツに比べ軽視されてきたひまわりの種ですが、ナッツ同様豊富な栄養価を含むだけでなくアレルギーが出にくいため、グルテンフリーや乳製品不使用の原料として注目されています。
8. モリンガ
「奇跡の木」として知られるモリンガは、古くからインドやアフリカで、野菜やお茶、薬草として使われてきました。近年はスーパーフードとして世界的に知れ渡り、特にアメリカでは抹茶の代替品として、スムージーや焼き菓子はもちろん、アイスクリームやエネジーバー、ピラフの素など幅広い食品に使われています。
9. 機能性炭酸飲料
プレバイオティクスやプロバイオティクスなどの機能性持ち、ナチュラルなフレーバーをつけた、ヘルシーな炭酸飲料の商品が増え、今後も需要が高まっていくと思われます。
10. ターメリックが離陸
カレー粉のイメージが大きいターメリックですが、古くからその健康効果で知られており、近年ゴールデンミルクやサプリとして、一部から注目を集めました。そして最近はシリアルやアイスクリーム、ドレッシングなど日常的な食品にも配合されるようになり、より多くの消費者から注目を集めています。
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