NY在住のエディターライター山田ヒロミさんが、気になるトピックスをレポート。今回はSoHoにオープンした、注目デザイナーの新ショップをご紹介します。
NY発デザイナーのマラ・ホフマン初の路面店
コロナ禍にショップの閉店、退店が相次ぎ、閑散としていたマンハッタン屈指のショッピングエリアSoHo。ホリデーシーズンと共に、だんだんと活気が戻ってきました。ポップアップやフラッグシップストアのオープンで賑わっているSoHoから、11月29日にオープンした注目のショップをご紹介していきます!
SoHoの東側に位置するラファイエットストリートに、NY発のデザイナー マラ・ホフマンが、自身初となる路面店をオープン!
白を基調に、自然光がさんさんと差し込む明るい店内。天井も高く開放感もたっぷり。アースカラーのインテリアでまとめられ、落ち着いた雰囲気を醸し出します。グリーンの鉢植えが置かれた気持ちよさそうな空間で、リラックスした気分でお買い物を楽しめそうです。
早くから環境問題にも取り組んでいたブランド
マラ・ホフマンといえば、NYのパーソンズ・スクール・オブ・デザインを卒業した後、2000年に自身のレーベルを設立。
エキゾチックなジオメトリックプリントが特徴で、ユニークなカッティングのドレスや水着は、セレブの愛用ブランドとして人気に。ドラマ「Sex and the City」のスタイリストとして知られるパトリシア・フィールドのイチオシブランドとしても注目されていました。
時を経て、デザイナーのマラの服作りは、女性の生き方そのもの(例えば妊娠や出産、育児)へとフォーカス。デザインコンセプトも、日常では出番の少ない華やかなパーティードレスから、着心地が良くて、日常着として長く着られる飽きのこないデザインの服へとシフト。
今ではよく耳にする「サステナブル」への取り組みも早いうちから始めていました。毛玉になりやすいリサイクルコットンも、なめらかな触り心地で長持ちすると主張して積極的に取り入れています。さらに、オーガニックコットンの需要が年々高まっていることもあり、ゆくゆくは、リサイクルコットンはすべてオーガニックを使用することが目標なのだとか。
人々の生活様式が変化する中、マラ本人も、NYのアップステイト(NY州の北部)と、マンハッタンの新しいショップをホームベースに行き来する二拠点生活をスタート。そんなライフスタイルから発想を得て、タウンウェアに、温度差のある場所でも活躍しそうな機能をプラス。2021AWコレクションのアイテムには、上の写真のような中綿入りトレンチコートも登場。ちなみに、こちらに使用されているシンサレート(高機能中綿素材)もリサイクルなのだそう。
クリエイターたちの交流の場
日々、サステナブルな物作りに取り組んでいくうち、常に新たな課題があることに気づいたというマラ。より高いレベルの社会的責任としてSDGsを意識しながら、達成すべき目標を設定し、その実現に向けて活動を続けているのだそう。
そして、SoHoの新ショップは「トランザクション(取引、経済活動、交流)」をコンセプトに、さまざまな活動や、人々をつなぐ拠点になればという思いも込められています。
マラ自らがデザイン構想を立て、ランドスケープデザイン事務所「ミンゴ・デザイン」に仕事を依頼。サステナブルな造園デザイナーとして有名なカリ・エルウェルとのコラボレーションによって、店内はグリーンに囲まれた自然な景観に上がっています。
かねてからショールームをアート団体などの展示会に貸し出していた経緯もあり、この場所もメーカーやクリエイターたちに貸し出して使うことができるようにアレンジ。家具や洋服のラックも撤去や移動がしやすいものになっています。
アーティストたちのアーカイブ作品をキュレート
そして、ギャラリーさながらに店内に置かれたアートは、Studio Archive Projectと提携。キュレーターのリシャ・バリによって選ばれたアーティストのアーカイブからローテーションで展示され購入もできます。
将来的には、過去のコレクションの余り生地をリサイクルして、新たな作品を作り、ショップ限定で発売するという計画もあるそう。訪れる人みんなと空間をシェアし、何かを作り上げていきたいというマラの愛があふれるショップにぜひ立ち寄ってみてください。ファッションとアートを堪能できるだけではなく、目標に向かって進んでいくパワーももらえるはず!
Mara Hoffman
183 Lafayette Street ,NY 10013
marahoffman.com