俳優、タレントとして活躍しながら様々な資格を取り、それを仕事にも生かしている南圭介さん。2023年に習得した世界遺産検定マイスターは、知識だけでなく、自分の考えをしっかりと表現する力が求められるため、難易度が高いそう。そんな彼が世界各国の魅力をご紹介する【南の旅】。16回目は前回もご紹介した「小笠原」の続きをお伝えします。
綺麗な海だけじゃない!世界遺産の森はなくしてはいけない場所

先月に引き続き今月も世界自然遺産・小笠原諸島の魅力をたっぷりとお届けします! 小笠原諸島は綺麗な海はもちろんの事、世界遺産の森もとても魅力的です。
今回、父島と母島にあるそれぞれの森を散策し、それぞれの森の豊かさを肌で感じ、貴重な動植物を実際に見る事が出来ました。船で行き来をする父島と母島は50kmしか離れていないのに、木々の生育が乾性低木林(父島)と湿性高木林(母島)と異なっていて、森の雰囲気が全く違うんです。

父島の森の中を散策していると、目の前にはたくさんの固有種の植物たちが次々に現れます。

こちらは‟ムニンノボタン”。夏の盛り8月~9月に白い四弁の花が咲き、結実すると写真のような赤い実がつきます。葉は一年を通じて常緑で、その形は比較的先が尖った長楕円形。葉には若干短めの産毛があります。母島では近縁種の‟ハハジマノボタン”が自生していて、こちらは五弁の花を咲かせるそう。

そしてこれは‟ムニンアオガンピ”。茎先に筒型の黄色い花を4~8個つけ、父島、母島に分布するそう。こちらも7~9月が開花時期なので、今回はその可愛らしい花を見ることができませんでした。
この花名の最初についている「ムニン」。小笠原諸島が無人島で無人(むにん)の島と呼ばれていたことから、小笠原諸島には「ムニン」と名のつく植物が50種ほどあると言われているそうです。
父島の森を散策すると、豊かな自然の中に戦跡がたくさん残っていて、ガイドの方と一緒に巡る事が出来ます。
わずか100年以内の出来事なのに、どこか他人事に聞こえてしまう戦争の足跡を肌で感じながら、代々伝わる話を同時に聞く事で「戦争は絶対に繰り返してはいけないし、日本だけでなく世界中が平和であって欲しい」と改めて強く思いました。
と同時に、世界遺産のなかでのこの体感は、他では感じられないとても貴重なものとなりました。

続いては母島へ。父島から母島へは「ははじま丸」で2時間程で到着します。ここで訪れたかったのが、ガイド同行が必要な指定ルートである森林生態系保護地域「石門地区」の玄関口である堺ヶ岳の森。亜熱帯特有の木性シダとともに、父島に比べて木の高さが際立っています。

と同時に、母島にもたくさんの固有種が。こちらは‟ヒメカタマイマイ”。高標高地域に多く生息していて、林内の樹上にて生活しているそう。

こちらは‟オガサワラオカモノアラガイ”。外敵がいないのと、母島は高木が多く湿度も高い所が多いため殻の必要性がなくなり、殻の模様のように見える部分は内臓なのだそう。中身が透けて見えるこのフォルムから「水饅頭」と呼ばれているらしいです。
さてお待たせしました。ここで南圭介のマイスターQuiz!
Q.この写真で手に持っているものは何でしょう?
A. 西之島噴火による溶岩
B. 母島の石灰岩
C. ボニナイト(無人岩)
D. 鯨の骨

正解は…「D」の鯨の骨です。
小笠原にはかつて捕鯨の基地があり、鯨の骨を肥料として畑に撒いていたそうです。こちらの鯨の骨は母島の堺ヶ岳を登る途中で発見しました。もともとこの一帯が海だったのかなと思いきや、畑に撒く肥料として使われていたと聞いてびっくり。骨は結構ずっしりとした重みがありました。

そして堺ヶ岳を登りきった頂上の景色がこちら! 母島の堺ヶ岳(標高443.5m)からの景色です。森と海と空の澄みわたる美しさに目を奪われると同時に、人間の手が加わったもの、つまり人工物が一切目に入ってこない希少な景観を見ている事自体に、とても感動しました。これは人生で初めての経験だと思います。
小笠原諸島の雄大な自然に溶け込むことで、人間が全てではなく、草木を含む生命あるものは皆平等である事を再確認。
そして小笠原諸島でしか見る事が出来ない生物や植物を見る事で、固有種率の高さを実感。父島と母島で育つ近縁種のボタンも花弁の枚数が違っていました。これは種の分化であり進化の過程。これを目の当たりにできるのは世界自然遺産・小笠原諸島ならではの醍醐味だと思います。
と同時に、そんな小笠原諸島の尊い自然を守るには外来種を持ち込まない事がとても大切です。島に入る時、森に入る時、靴の底の汚れを取ることが義務づけられています。
小笠原諸島でたくさんの自然と触れ合えた事で、豊かな自然を守っていきたいという気持ちがより強くなりました。
海と森。小笠原諸島の自然を満喫した1週間。帰りは島の皆さんがお見送りに来てくださいました。船が出発してからも、沖合までたくさんの船がお見送りしてくれます。
こちらが噂に聞いていた小笠原名物の「お見送り」ですね! ずっとずっと手を振っていたくなります。自然の美しさと、人の心の美しさに癒やされた小笠原諸島の旅。この場所に来れた事に感謝です。また必ず来ます。
「南の旅」次の旅先を是非お楽しみに!
今回訪れた「小笠原諸島」は――
小笠原諸島は東京から南へ約1,000kmの太平洋上に点在する約30の島々の総称で、父島・母島などが含まれます。飛行場はなく、アクセスは船のみ。独自の生態系を持ち、多くの固有種が生息するため、2011年に世界自然遺産に登録されました。現在、民間人が住むのは父島と母島のみで、人口は約2,600人。
南圭介(みなみけいすけ)
1985年7月3日生まれ。東京都出身。幼少期にパキスタンで育ち、小学校3年~6年まではシンガポールで過ごす。2004年にデビュー後、テレビ、舞台を中心に俳優として活躍。検定習得も多数あり、漢字検定準1級、ウイスキー検定2級などを習得し、2023年には世界遺産検定マイスターを習得。世界遺産の良さを伝えるだけでなくSDGsの考え方と親和性を伝え、「知る・考える・実行する」ことで発信中。ABCテレビ『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系列全国ネット土曜8時〜9時30分)の海外リポーターとして不定期出演中。
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