アナウンサーとして”言葉”と向き合ってきたからこそ、誰よりも“言葉のチカラ”を知っている田中みな実さん。読む言葉、伝える言葉、綴る言葉——GINGER世代は、大人としての常識や思いやりを前提に言葉を選び、発信する責任がより強くなります。
「私たちの言葉には不自由さが付きもの」だと感じているというみな実さん。だからこそ今心がけているという、彼女ならではの“言葉”との付き合い方について、伺いました。
自分の思いを伝える言葉
局アナのころは“誰かが用意してくれた言葉を正しい言葉で伝える”のが仕事でした。自分の考えをマスに向けて発信することの難しさを知ったのは、フリーランスになってから。
たとえば“ピンク”という色。あなたが思い浮かべるのはパステルピンク? コーラルピンク? ショッキングピンク? ひと口にピンクと言っても、捉え方はさまざまだから言葉って難しい。「わかってくれない」と憤るのではなく「どうしたら理解をしてもらえるのか」、わかってもらうことをあきらめないのは、とても大切なことだと思うんです。
言葉に責任を持つこと
自分の言葉が人ひとりの人生を変えるかもしれない。“発信”することの責任について、このところ一層考えるようになりました。インタビュー原稿はどんなものでも自分でチェックをして、少しでも“らしくない”表現があれば書き換えます。ライターさんには申し訳ない気持ちでいっぱい・・・。それでもやっぱり自身が発する言葉には責任を持ちたい。
感情はメモ程度に
SNSは自身の考えを世の中に発信できる凄まじいツールだと思う。いつでもどこでも感情が昂ったときに発信できてしまう恐ろしさもあるけれど。
エッセイを書くときに、度々感じるのですが、感情の赴くままにダ―――っと書いたものって、翌朝見直すと本当に酷くて(笑)。だから感情はメモ程度に留めておくことにします。スマホのメモ機能でも、走り書きでも。筆ペンを使って美しい文字で書きだすのもおススメ。書くうちに冷静になって、取るに足らないことだと思えるから。
新しい言葉を知る、使う
「みな実さんって凄いですよね。評価に値すると思いますよ!」と年下ちゃんに言われてびっくりしたことがありました(笑)。日本語は難しい。相手を褒めたつもりでも、言い方ひとつで上から目線に聞こえてしまうことも。「おつかれさま」「ごくろうさま」の使い分けができる人だって、どのくらいいるかしら。
難しい言い回しや大人っぽい表現を日常の会話に織り交ぜるのはなかなか勇気のいることだけど、間違ってもいい、恥をかいたっていい。失敗を繰り返して語彙は増えてゆくものだと思うから。言葉が豊富で会話をしていて楽しい人ってとっても素敵じゃない? ———みな実さんのように言葉のプロフェッショナルでさえも緊張感を持ち、自らの言葉を大切に綴っています。その真摯な姿勢は、大人の女性として見習いたいところです。