とっさに出るひと言には、その人の人となりがにじみ出るもの。 あなたという人の印象を大きく左右する可能性を秘めた 「言葉選び」のセンスについて、考えてみませんか? 今回は、GINGERの連載でもユニークかつ鋭い感性で、日常の言葉を分析している壇蜜さんに、言葉のセ ンスについて伺いました。すると次々と飛び出す名言の数々。壇蜜ワールドをご堪能あれ!
名言①「センスとは、心の弦を上手に爪弾くこと」
そもそも「センス」とは何か。そんな問いへの、壇蜜さんならではの解釈がこちら。
「センスのいい人に会うと、脳のなかにある1本の弦がピンと弾けて、心地よ
い音が鳴るイメージ。しかしギーギーと、まったくいい音がしない人もいる。
センスとは、相手の心の弦を上手に爪弾けるかどうかだなあと思います」
名言②「センスがない=あなたのことが嫌い」
「まったくもう、センスないな~」と言われたら? その人との人間関係は見直すべき、と壇蜜さん。
「『嫌い』より『センスない』のほうが辛らつ。歩み寄りの余地もなさそうに感じられませんか? 好きな人、尊敬している人には、センスがないなんて絶対に言わないですから。この場合はあきらめるのも手かも」
名言③「言葉選びに長けた人ほど、人間関係が複雑になってしまうかも」
「言葉選び」についていえば、センスがある人ほど考えすぎて大変な思いをすることも。とはいえ、その丁寧な人付き合いが、いずれ自分を助けてくれるはず。
「はっきりとものを言う人に比べて、言葉選びが慎重な人は、時間をかけて人と付き合っていくので人間関係が複雑になる傾向が。そのぶん緊急事態には、差し伸べられる手が多く、周りに助けてもらえるはずです」
名言④「ぬるま湯のような文章を目指しています」
自身のブログで日常を綴り、ならではの感性を披露している壇蜜さん。そこで表現したいことは・・・ぬるま湯!?
「ブログでは『記憶には残らないけど嫌な感じもしない文章』を目指していま
す。番宣するわけでも、何かを批判するわけでもなく、ただのぬるま湯。
日常に疲れたとき、ああ、あの湯に浸かりたいと思い出してもらえたら」
名言⑤「漢字の部首は、中間管理職的な存在。人間味があって可愛い」
壇蜜さんの言葉のセンスを支えているのは、考察の習慣。文章をひとつの単語、ひとつの文字まで分解するところからスタートするそう。
「みんなをまとめるリーダー的存在なのに、下っ端がいないと意味をなさないなんて・・・中間管理職のようで人間味があると思いません? 漢字の観察からスタートし、俳句、短歌・・・と字数を増やしながら、言葉を味わって」
いかがでしたか? 壇蜜さんならではの視点や言葉の選びには、つい引き込まれてしまいますよね。もっとこの居心地に浸っていたい・・・という人は、壇蜜さんの新刊エッセイ『壇蜜ダイアリー』をどうぞ。
『壇蜜ダイアリー』(壇蜜 著/文藝春秋)
壇蜜さんが自身の日常を、ならではの視点で切り取る。想像の斜め上を行く
感性と、知的でユーモラス、機知に富んだ筆致を存分に味わえる。自身が撮
影した写真も収録。