小さなバーガーショップを舞台に、謎が謎を呼ぶ男女8人の青春群像ミステリーが開幕。緻密な伏線や巧みな会話劇を得意とする此元和津也さんが手がけるドラマプレミア23「シナントロープ」は、秋の夜長を充実させてくれる新ドラマ。主人公の都成を演じる水上恒司さん、ヒロインを演じる山田杏奈さんによるクロストークをお届け!
実力派キャストが会話劇で華々しく競演!

――出演が決まったときのお気持ちは?
水上恒司さん(以下敬称略) 僕らが小さいときに観ていたドラマ、いわゆる全盛期と呼ばれていたときまで遡っても、オファーをいただいた時点で最終話まで出来上がってることってほぼなかったと思うんです。でもこの作品は、数年前から企画として存在していて、その時点でどういう結末にするかっていうのはもう決まっていたそうです。僕はここ数年、映画に携わることが多いので、映画的な作り方をできるっていうのは、僕のスタイルとしてやりやすいなと思いました。これは、僕の個人的な意見ですが、ここまで脚本がブラッシュアップされているなかで、面白くなかったら俳優部のせいだなと思いますよ!
山田杏奈さん(以下敬称略) 私は、此元(和津也)さんの作品がすごく好きなので、脚本を初めていただいたときは夢中になって読み進めました。この物語のひとつの役を演じられるのがシンプルに楽しみでしたし、水上さんをはじめとする同世代の役者たちで作品を作っていける楽しみはすごく感じています。
水上 つまり、俳優部のせいですね?
山田 それは、水上さんの意見です(笑)。
水上 事前に脚本が出来上がっていることのメリットといえば、逆算して作っていけることですよね。このシーンでどういうふうに振る舞うのか、次のシーンではどれくらいのテンション感か、考えながら作っていける感覚があります。これは、民放ドラマでは本当に珍しいこと。最後まで出来上がっているからこそ、自分たちで考えることが試されているなと思いますし、こういった作品が世に出ていくっていうことがとても嬉しいですね。
山田 そうですね。全体の情報を提示していただいていることで、私も役を探していくことができるので、すごく幸せなことだと思います。
――ストーリーにはいくつもの仕掛けがあるんですよね。
水上 たとえば、シーン1の最後のセリフとシーン2のセリフの頭がかかっているんですよ。同じ記号、同じ文字なんですが、意味が違うというおしゃれさがあって。だからこそ、見落としがないかという緊張感もあるんですね。このシーンって前のあのシーンにかかっているんじゃないかと、演じている僕たちでさえ慎重になるくらいいろんな伏線が張り巡らされているんですよね。
山田 それぞれのキャラクターがあって、それぞれの人生があって、それがのちのストーリーに関わってきます。それくらいしっかり作り込まれた台本なので、そこからズレないようにしなければいけない反面、このシーンに説得力を持たせるにはどう振る舞っていたらいいだろうと、考えながら作っています。

――会話劇に挑戦してみていかがですか?
水上 ドラマや映画など映像としての会話劇の面白さと、現実世界の会話で起こる笑いの面白さって違う気がしていて。つい先日、「ブギウギ」でご一緒して以来、可愛がっていただいているメッセンジャーの黒田(有)さんとお会いしたんですが、黒田さんってずっと面白いんですよね。そのリアリティを持たせるためにはどうしたらいいんだろうと考えているんですが、相手のセリフを受けた“間”なんですかね…。
山田 でもシンプルにセリフが多くて楽しくないですか?
水上 楽しい!!
山田 じっと待っているようなシーンより喋ることが多いと楽しいですよね! セリフが固まっているからこそ、そのなかで自由にやれる面白さみたいなのはすごく感じています。始まりと終わりは決まっているけれど、その道のりは誰が演じているかによって変わることが、撮影していて面白いなと思っています。
――ちなみに、バーガーショップ「シナントロープ」で働く8人のうち、好きなキャラクターを挙げるなら?
水上 僕は、自分の役の都成(剣之介)が好きですね。言わなくていいことをずっとブツブツ言って、周りに拾われないので、やっていて悲しくなるときはあるんですけど(笑)。絶賛撮影中のいま(※8月取材時)、徐々に自分のなかで都成が仕上げられてきている感覚があるんです。決してカッコよくないし、カッコつけようと思ってもカッコつかないところが僕と似ているんですが、そこも含めて好きだなと思います。
山田 私は、ハシビロコウ(志沢匠)です。台本だけでも個性があって面白いキャラクターですし、それをマモちゃん(萩原護さん)がやることによって、また何層も深みが増しているというか。現場にいると自然と目で追ってしまうので、「さすがマモちゃん!」と思っています。

――同世代の方が集まる現場ですが、皆さんと対峙してみて刺激を受けた方はいますか?
水上 僕は、マモちゃんが3回、杏奈ちゃんとモッチー(望月歩さん)が2回目の共演となるんです。共演経験がある方とまた違う役でご一緒するというのは、安心感もありつつ「いいところを見せたい」という欲もありつつ。誰かひとりに絞ることはできないけれど、杏奈ちゃんと久しぶりにご一緒して、本当によく考えている役者さんだと思いました。そんな姿を見て、自分も奮い立たせないとというような刺激を受けました。
山田 ありがとうございます。誰かひとりに決めるのは難しいですが…。
水上 (小声で)こういうときは主演にしたほうがいいかも!
山田 主演の水上さんです(笑)! 撮影に入る前にリハーサルをしたとき、「水上さんのお芝居がベースでこのドラマは動いていく」と確信したんです。役としてはもちろん、会話劇におけるテンポってすごく重要ですよね。いい意味で乗っかっていけば、大丈夫だなと思いましたし、ドンと構えていてくださる安心感があります。
――撮影中はどのように過ごされていますか?
水上 坂東(龍汰)さんがずっと騒がしいです(笑)。雰囲気はすごくいい感じですよ!
山田 すごくいいですよね。各々がマイペースに過ごしている時間もあれば、誰かが作品に関することを投げかけたら、みんなでその話をして考える時間もあって。すごくちょうどいいバランスで動いている現場です。
――坂東さんの存在感は大きいですか?
水上 個人的に、坂東さんとの出会いは財産になると思っています。あの方の世界観がすごく面白いですよ。
山田 坂東さんはムードメーカーですね。昔から何度も共演しているんですが、どの現場でも彼がいるとすごく場が明るくなって、とてもできた人間だなと思って尊敬しています。

――最後に、会話劇にちなんで、おしゃべりするのは好きですか?
水上 好きです! でも、僕は僕の話を聞いてもらうのが好きです。
山田 私は聞く方が好きかな。シーンとしてるよりかは、誰かが喋っている空間が心地良いです。この現場でも、水上さんと坂東さんが話していることを「うんうん」って聞いていますよ。
水上 確かに! 坂東さんって誰とでも分け隔てなくしゃべれるんですよ。その点、僕はコミュニケーションを取ることが下手。僕が話したいときは自分の欲を満たしたいときだから、他者のことはあんまり考えていないんですよ。それでも、コミュニケーションをとるときは、相手がほしい言葉や聞いてほしいことを意識して考えています。
山田 確かに、私もコミュニケーションをとるときは、相手が喋りたそうなことを聞くし、私自身それが好きですね。
水上 杏奈ちゃんは聞き上手だよね。僕の話は聞いてない気がするけど…。
山田 聞いてますよ! こんな感じで、シナントロープの現場は、みんなでおしゃべりしています(笑)!
ドラマプレミア23「シナントロープ」

出演/水上恒司、山田杏奈
坂東龍汰、影山優佳、望月歩、鳴海唯、萩原護、高橋侃
遠藤雄弥、アフロ、森田想 / 染谷将太
原作・脚本/此元和津也
毎週月曜 夜11時06分〜11時55分 テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送にて放送中。
また、各話放送終了後から動画配信サービス「Prime Video」にて見放題独占配信。全国どこからでも 「TVer」ではリアルタイム配信も。さらに、広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(テレ東 HP、TVer、Lemino)にて見逃し配信。
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水上恒司(みずかみこうし)
1999年5月12日生まれ、福岡県出身。2018年、ドラマ「中学聖日記」で俳優デビュー。映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で第47回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。12月に主演映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』が公開予定。
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山田杏奈(やまだあんな)
2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。少女漫画雑誌「ちゃお」主催の「ちゃおガール2011☆オーディション」でグランプリを受賞し、芸能界入り。『小さな恋のうた』(19)で第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞し、24年には映画『正体』で第48回日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を、また、同作および『ゴールデンカムイ』で新人俳優賞を受賞。10月24日にW主演映画『恋に至る病』が公開予定。
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