出演作ごとに違った顔を見せては観客を驚かせてきたウォン・ジナさん。10月3日(金)より日本で公開される映画『シークレット・メロディ』では、初主演かつ初のラブストーリーのヒロインを演じている。あの『言えない秘密』を原案とした、現代的かつ新解釈で新鮮な命を吹き込んだ珠玉の純愛ストーリーは、あなたの心を穏やかに包んでくれるはず。
「初々しい気持ちを思い出させてくれた」

――2007年に台湾で大ブームを巻き起こしたジェイ・チョウによる青春映画の金字塔『言えない秘密』を原案とした、映画『シークレット・メロディ』。出演が決まったときの率直な感想は?
アジアで非常に人気の高い作品で、当然のことながら私もファンでした。だから、私がヒロインを演じられると知って、ワクワクするような期待が大きかったですし、その一方では責任も感じていました。でも、実際に完成した映像を観たら、多くの方に気に入っていただけて、「この作品が好きだ」と言ってくださる方がたくさんいて気持ちが軽くなりました。
――韓国では今年の1月に公開されています。ジナさんのもとにどんなリアクションが届きましたか?
この作品を観てくださった観客の方は、『言えない秘密』とはまた違った楽しみや面白みがあったという風に感じてくださったようなんですね。最近はとても刺激の強い映画が多いなか、心が穏やかになるような作品だと言ってくださいました。
――そのなかでも特に印象に残っているコメントがあったら教えてください。
「彼氏がこの映画観て泣いた」というコメントが多かったんですね。「どうしてだろう」と考えてみたんですが、理由がひとつ思い当たります。韓国では“男性は初恋の人を忘れられない”というふうによく言うんですが、きっとそのせいですね。私はとても面白かったんですが、彼女からしたら少し複雑ですよね(笑)。

――今回演じたのは、ユジュンと恋に堕ちる女性・ジョンア。ユジュンへの恋心を大切に育みながらも、どうしても言えない「ある事情」を抱えた複雑な役どころでした。
原案のキャラクターは、ひとりで黙々と苦しんでいるような姿が描かれていたので、観ていて辛くなってしまうこともありました。その点、ジョンアは明るく主体的な人物で、好意的な気持ちを持ちました。瞬間を楽しむという描写もあって、すごく良いなと思いました。
――どこか陰りを帯びたような雰囲気を漂わせながらも、透明感あふれる役柄を演じるうえで大事にしていたことはなんですか?
この作品はファンタジー的な要素が強いですよね。科学的に見たら「辻褄が合わない」とか「ありえない」とか思われがちなんですが、そこに目を向けるのではなく、あくまでも登場人物たちの感情を追ってほしいと思っていたんです。だから、内面の気持ちを表現することに集中しました。また、ジョンアは秘密を抱えているキャラクターなんですが、その秘密を否定的に描きたくないと思っていました。秘密があるから暗いわけではなくて、できるだけその部分は淡白に表現することを意識していました。
そしてキャラクターのことを理解するために、監督とたくさんの話し合いを重ねました。たとえば「日常生活をどのように過ごしているんだろう」「お母さんとどんな話をしているんだろう」と、映画では描かれないけれど、バックグランドについて深く考えました。それが演技ににじみ出るというふうに信じていましたし、ジョンアにリアリティを持たせることができると思いました。
――撮影中はどのように過ごしていましたか?
同じシーンが多かったのが、ド・ギョンスさんとシン・イェウンさんだったんですが、3人とも同世代なんです。だからとても良い雰囲気のなかで撮影ができました。一緒にご飯を食べたり、撮影終わりに食事に行ったことも。そんな小さな楽しみを味わいながら撮影をしていたので、撮影中も積極的に意見交換ができたと思います。本当に終始楽しい撮影でした。
――ユジュンを演じたド・ギョンスさんとはどのようなお話をされて、恋人の雰囲気を作り上げていきましたか?
私たちは、実際の年齢と劇中の年齢に開きがあったんですね。だからお互いに記憶を辿っていくような会話をよくしていました。「私たちが20歳だったら、こんなことを言わないんじゃないか」と話し合っていましたし、そういうときは大体監督が側にいて、セリフを急遽変えたこともありました。あるときは、現場の若いスタッフに「こんな言葉を使うのは変じゃないですか?」と聞いたこともあります(笑)。監督を含めてみんなで息を合わせて作っていったので、それも楽しかったです。

――本作が、初主演かつ初の王道ストーリーのヒロインというところで、今後のジナさんにどんな影響を与えるのでしょうか?
誰しもラブストーリー映画にハマることがあると思うんですが、私も例に漏れず、ラブストーリーがとても大好きなんですね。物語のなかで恋愛の経験ができるというのもステキなところだと思っています。この撮影は、忘れかけていた初々しい気持ちを思い出させてくれるような経験になりました。撮影をしながら、「もしかしたら実際に私が経験したことじゃないのか」「私の記憶を描いているんだろうか」と、錯覚するくらい楽しく良い思い出になりました。将来、この映画を見返して、初々しく純粋だったことを思い出そうと思います(笑)。
――作中では、CDショップへ出かけたりおうちデートをしたり、甘酸っぱいシーンも満載です。ジナさんの理想のデートは?
私は特別な場所に行かずとも、お互いの存在が大切だと感じられるデートが好きです。なぜかというと、特別なところに行くと、後から思い返したときに、その場所やイベントばかりが記憶に残ってしまうからです。それよりも、お互いの存在に目を向けて、日常の些細な楽しみを見つけるほうが好きですね。
――可憐な佇まいでまるで実在しているような等身大の大学生を演じたジナさん。なんと実年齢は34歳ですごく驚いたのですが、その美貌の秘密はなんですか?
それは私のことをキレイにコーディネートしてくれるスタッフの皆さんがいたので、そう見えたんじゃないかなというふうに思います。でも、俳優という仕事は、その仕事の性格上、普段からケアをしなければいけないのかもしれませんね。気をつけていることといえば、仕事以外ではメイクはしないこと、そして日焼け止めクリームをたっぷり塗ること。あとはウエイトトレーニングです。重力によって、お肌がたるんできたり、シワができてしまいますので、ハリを保つために筋力を蓄えるような運動をしています。
【10月3日(金)公開!】映画『シークレット・メロディ』

出演/ド・ギョンス、ウォン・ジナ、シン・イェウン、ペ・ソンウ、カン・マルグム
原題/말할 수 없는 비밀
原案/ジェイ・チョウ
監督/ソ・ユミン
脚本/ソ・ユミン、ユ・スンヒ、シン・ウンギョン
配給/クロックワークス
klockworx-asia.com/secretmelody
ウォン・ジナ
1991年3月29日、韓国・天安市出身。ドラマ「ただ愛する仲」「ライフ」(18)「僕を溶かしてくれ」(19)「先輩、その口紅塗らないで」「地獄が呼んでいる」(21)「ユニコーン」(22)などでは等身大のラブストーリーから追い詰められたシングルマザーまで幅広い役を演じきり定評を得る。近年はパク・ヘス主演の演劇「ファウスト」(23)でヒロインのグレートヒェン役をつとめその可憐な姿で存在感を見せた。最新作は近日配信のドラマ「ウィンドウ・ショッピング」(Netflix)。
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