アイドル・タレントとして20年以上活躍し、近年では社会貢献にも取り組んでいる村上信五さん。多岐にわたる領域で活躍する村上さんの初の著書『半分論』(幻冬舎)が4月14日(月)より発売! 村上さん自身が感じた葛藤や挫折から生み出した思考術が、現代に生きるすべてのひとの“考え方のヒント”になるはず。
“悩む”のではなくて柔軟に“考え続ける”

「悩まなくていいことを悩まなくなる人が増えてくれたらいいなと思います」
村上信五さんが書く『半分論』には、そんな想いが詰め込まれている。本著で綴られる思考術が完成に至った背景には、村上さん自身の経験が渦を巻いている。
「10代、20代の頃はめちゃくちゃ悩んでいました。葛藤だらけです。『これがベストや』と思ったものにトライしても大体上手くいかなかった。だから『こんなに頑張ってんのになんやねん』『あいつが悪い』って環境や人のせいにしていました。それがあの頃の僕なりの心の清算だったのかもしれません。でも悩みってネガティブな要素が強くでてしまうから、悩むのではなくて考えることにしてみたんです。『Aがあかんのやったら、Bでいってみよう。Bがあかんかった。ほんならCをやってみよ』と、考えることを諦めなければ、上手くいかなくても気持ちが楽になった。40歳を超えたタイミングで人生を振り返ってみたら、そうした考え方が今に繋がっているような気がしたんです。積もり積もって形になった考え方を整えたものが“半分論”になります」
村上さん独自の思考術の形成には、長きにわたってパーソナリティを務めたラジオの経験も反映されている。
「10〜40代まで、いろんな肩書・職種の方のお悩み相談を聞いてきたんですが、みなさん悩んでいることがほとんど同じなんです。人間関係の悩み、恋愛の悩み、仕事の悩み、大きく分けると“人のせいにする”ことと“自分を責める”ことの2つ。エネルギーを持っているんだから、考え方のポイントをズラせば、先を見据えられるし、もっとできることが増えると思ったんです。ただでさえ、スタンダードがどんどん変わっていく現代。昔は『自分はこうだ』と頑固に持っていることが美徳とされてきたけれど、悩みや変化に立ち向かうためにも、“思考の柔軟性”を持っていたらいいですよね」
恋愛、仕事、生活…どんなシーンでも応用できるという、村上さんが生み出した“半分論”とはどんなものか。
「だいたいの答えは2択にできますよね。例えば、僕が大阪から東京に出てくるときは『行くか行かないか』。でも、行くと決めたら、『どのタイミングで行く?』『ひとりで行く?』とどんどん決め事が増えていき、そのたびに選択肢ができる。僕はその選択肢の間にこそ、自分なりの答えがあるんじゃないかと思うんです。『東京に行って失敗したらどうしよう』と思ったときに、親や友人の身近な人にアドバイスを求めるとします。その時点で、心の内では『行く』と決めているけれど、自分がした選択の責任から楽になろうと半分にしているんです。相談することで『もし失敗して帰ってきたら助けてな』って言える気楽さも心に留めておけるじゃないですか。つまり、物事は白黒だけではなく、グレーゾーンがあることを知ることが大事だということです」
筆をとるきっかけから執筆背景まで

「無意識にそうした考えを持って生きてきた」と振り返る村上さんが、この本を書くまでの経緯を語る。
「きっかけは『村上信五くんと経済クン』(文化放送)での、文芸評論家の三宅香帆さんとの対談です。なんとなく思ったことを書いてみた20数ページくらいのものがこの本の叩き台。幻冬舎さんと最初に打ち合わせをしたときに『いつからこんなことを考えていたの?』と聞かれて、逆算していったら子どもの頃には根っこの部分があったのかなと思っていて。でもこの考え方が確信になったのは、本格的に本を書き始めたこの数ヵ月ですよ」
企画が動き出したのは昨年12月。個人活動に加えて、2024年はグループの20年のアニバーサリーイヤー。合同ライヴや音楽フェスティバルの開催、アルバムのリリースに、アリーナ&ドームのライヴツアー公演など、その多忙さは想像に余りある。たった数ヵ月で、予定ページを大幅に超えて書き上げた村上さんの頭の中はというと。
「わっと喋ってまとめてもらうという方法もあるけれど、それだとニュアンスが変わってしまうから、絶対に全部自分の言葉で書こうと決めていました。ドーム公演の前にはある程度書いておきたかったので、朝起きて、サウンドチェックが終わってから、寝るまでの間、アリーナツアーの合間で少しずつ、集中しながら書いていました。テーマを洗い出した後は、ほとんど順書きです。わかりやすいテーマから整理しながら書いたんですが、その時点で予定より増えていたようで。まだ書けていないテーマがあと10個ほどあるので、『これが売れたら、続き書きますわ』と幻冬舎さんには言うておきました(笑)。20周年というグループの節目もさることながら、このタイミングで自分の頭のなかを整理して言語化させていただいて、ありがたい機会でした」
「産みの苦しみエピソードがあった方がよかったですか?」と笑いながら続けて。
「すごく迷ったことは、僕(書き手)の目線です。これを読んで『芸能人やからそう考えれんねん』と思う人もいるだろうと思ったんです。でも、僕はアイドルでありタレントでありサラリーマンでもある。そして、僕は大学には行っていない。そんな人間だからこその目線を入れようと思いました。場合によって、アイドルとして考えるし、サラリーマンとして考えるし、学業のない普通の成人男性として考える。いろんな経験をさせていただいたから、その側面を生かして書けば、手に取ってくださる方により伝わるのかなと。まさに『半分論』で言うグレーの部分ですよ。僕自身、グレーな働き方をしているから『何を目指してんねん』とか『タレント風情が片手間でやりやがって』って思われるかもしれないけれど、やってみなきゃ分からないし、やった本人にしか伝えられへんことがあると思っています」
理想と現実の間には無限の選択肢が

『半分論』ではもうひとつ、村上さんからのメッセージが届けられる。それは「自分自身で考えよう」ということ。ここに村上さんの頭の回転の速さ、コミュニケーション能力の高さ、そして愛され力のヒントをみる。
「ネット社会になってから、早く答えを見つけることこそが良しとされて、効率化が求められていますよね。それはエンタメでも感じるんです。音楽はイントロなしでサビから始まりますし、映画も1.5倍速で観るそうじゃないですか。それが良いか悪いかはさておいて、ご自身の生活に置き換えたときに、端的に答えを求めても自分のなかにあんまり残っていないと思うんです。でも、自分で考えてひねり出した答えやったら、きっと心に残るし納得もできる。そしたら、人に聞かれたときに自分の言葉で説明できるし、悩み相談にのってあげられる。考えるだけというのはタダですし、考えることのめんどくさささえ乗り越えてしまったら、考えることがめちゃくちゃ楽しくなるはずです」
“思考することによって増えた選択肢が人生を楽しくさせる”。多才な村上さんが生み出した思考術によって、手にとる人の未来が色づき、ひいては周囲の大切な人をもハッピーにする哲学書。いますぐに取り入れたい考え方がまとめられた『半分論』は必読。
「誰かの年収と比べて『私なんて』『僕なんか』、事件を起こした人と比べて『それよりはマシか』って、知らず知らずのうちに誰かと比べることで自分をポジショニングしている人が多いと思うんです。自信を持ちにくい世の中ですが、半分論を読んでいただけたら、自己肯定感を上手く認識できるようになっていただけるはずです。自分を肯定できる部分に対して、思考の選択肢が広がれば自ずと心は楽になります。そうすると、周りの人にも余裕を持って接せられるし、自然と感謝できるようになります。僕ね、メンバーに対してほんまにそうなってきたんですよ。今めちゃくちゃメンバーのことが好きですし、グループのことが大切。ドーム公演のときなんか全員に感謝しまくりですやんか。今まで恥ずかしいと思っていた感謝の言葉が自然と出てくるようになる心の置きどころを実感していただけると思うので、騙されたと思って騙されてほしいです」
村上信五『半分論』

村上信五さんの思考回路&新・人生論が綴られた一冊が、4月14日(月)より発売。購入や特典など、こちらから。
村上信五(むらかみしんご)
1982年1月26日生まれ、大阪府出身。SUPER EIGHTのメンバーで、2004年「浪花いろは節」でCDデビュー。趣味のサッカーを活かし、サッカー番組のキャスター、プレゼンターを務め、 2015年には月曜~日曜の全曜日にレギュラー番組を持つ。現在TV、ラジオなど多くの番組でMCとして活躍。また2023年4月からはノウタス株式会社の非常勤の事業開発担当に就任。ぶどうの育成、加工品展開、輸出など「パープルM」事業を推進。2024年6月から、NPO法人チャリティーサンタでシェアケーキの新プロジェクト「ケーキのWA」に参画。同年11月からは大阪観光局と日本各地の自治体がタッグを組んだ「日本の観光ショーケース」の編集長に就任。地方活性化に向け「三方よしになれるような観光のあり方」を目指し活動中。