“人喰い”の真相に最も近づいたところで幕を閉じた『ガンニバル』シーズン1。熱狂的なファンが爆増した本作のシーズン2――すなわち完結編が3月19日(水)より、ディズニープラス スターで独占配信がスタート。閉鎖的な村に隠された秘密、目覚めてしまった狂気の矛先…すべてが繋がったとき、観る人の倫理観を揺さぶる衝撃がはしる。本作を象徴するおふたり、柳楽優弥さんと笠松将さんにインタビュー!
釘付けになるアクションとスリルの数々

――日本中を震撼させた『ガンニバル』がシーズン2をもってついに完結します。柳楽さんが演じた阿川大悟と笠松さんが演じた後藤恵介の関係性にも変化があったように思います。
柳楽 そうですね。シーズン1は対立の構図でした。シーズン1の大悟は、供花村を疑っていましたし恵介に不信感があったということを“破壊”だとすると、シーズン2のテーマは“再生”。図らずも恵介の気持ちを察するシーンも多くて、ふたりが次第に歩み寄るのが面白いなと思いました。
笠松 僕も、ふたりが同じ方向を見て歩き出すところがすごく好きです。柳楽さんのお話を聞いていて、恵介にとってはなんだろうと考えたときに、“葛藤”と“覚悟”だったと思うんです。後藤家の当主としての責任と罪の意識、その狭間での葛藤が露骨に浮き上がってきます。まさにあのシーンは恵介が覚悟を決めた瞬間だったのかなと思いますね。
――今シーズンでは、さらに激化するアクション&銃撃戦に目が離せません!
柳楽 僕は“あの人(正体不明の大男)”とのアクションシーンが多かったんですが、シーズン1の積み重ねでできました。“あの人”は今作の象徴なので、とにかく合わせることを意識して回数を重ねましたよ。
笠松 お芝居が上手い人とアクションが上手な人ってそれぞれいらっしゃるんですけど、アクションにお芝居を乗せられる人ってめちゃくちゃ少ないと思います。柳楽さんはお芝居の延長線上にアクションがある気がしていて、作品のレベルを高いものに設定してくれました。僕たちは必死にそのラインを目指しました。
柳楽 片山監督も魅せるアクションというよりかは、ド派手だけどストーリーのあるアクションが好きだったから、そのバランスも僕たちの気分とフィットすることが多かったよね。
笠松 そうですね。だからこだわりもスゴくて。「これ何カット繋ぎ合わせるんだ?!」って思うくらい、回数を重ねて。そういう意味で言うと、僕は片山監督と柳楽さんの執念や狂気を感じましたよ。『ガンニバル』が放つ狂気はこのふたりです。
柳楽 いやいや! 笠松くんもだから!(笑)
笠松 いや〜。クリエイティブに向き合って、何かを壊しに行くような勢いを感じました。おふたりを見て「やばいやばい」って焦りましたね。
片山監督×柳楽×笠松が生み出すシナジー

――シーズン1も含めておよそ1年にも及ぶ本作の撮影。片山監督とのタッグはいかがでしたか?
柳楽 作品としてはフィクションの世界なんだけど、片山さんは面白くするために必要なリアリティを探る方でした。だから、僕は信用してただその場にいることができました。あと、僕らから「こっちの方が面白いですよね」って気軽に言える環境を作ってくださったのが大きかったと思います。僕らからの提案を聞いてくれるくらい柔軟な方で「それいいですね!」って言ってくださることが多かったです。
笠松 そうですね。僕らの提案をご自身の演出を通してアウトプットしてくださいました。僕は片山さんの演出によって、脚本の読み方が180度変わる経験をしました。役を飛び越えて柳楽さんが僕自身に語りかけてくれたように感じたシーンがあって、お芝居をしているというよりは自然に溢れでた感情でカメラの前に立つことができました。そのきっかけを作ってくれた片山さんには感謝していますし、演技の面白さを改めて感じました。
柳楽 あと、キャラクターの作り込みがスゴい。「こういうときにこう考えてる人いるだろう」という思いのもと、エキストラの方にも演出するんです。
笠松 そうそう。エキストラの方に付きっきりで演出しているから「監督! 僕らは?」って。
柳楽 それによってエキストラの方たちのモチベーションが上がりますし、「みんなでいいものを作ろうよ」って雰囲気になる。こういうふうに作用するんだと勉強になりました。
モノづくりへの情熱を感じる現場

――シリアスでバイオレンスなシーンも多かった本作。撮影の裏側を教えてください。
柳楽 新潟ロケで山奥のトンネルのシーンの撮影期間が長かったから、みんなで食事に行ったんです。あそこ、すごく活気があったよね?(笑)
笠松 アツかったですよね。でもその原因、多分僕たちですよ(笑)。僕たちのアツさに店員さんも呼応して「はい、ビール!!」みたいな。2次会はカラオケに行って、みんなで歌いました。柳楽さんと僕のふたりで歌ったときは、みんなが「わ〜」って囲んで盛り上げてくれたりして、めっちゃエモかった。帰りは雪道を40分ほどかけて歩いたんですが、その道中も「明日のシーンのここさ…」とか「台本のここどう思う?」って話してました。
柳楽 したね! めっちゃ青かったね!
笠松 こんな現場珍しいですよ! しかも雪道に慣れてないから、みんな滑ってたし(笑)。
――2024年11月には、本シーズンを引っ提げて「ディズニー・コンテンツ・ショーケース APAC 2024」へおふたりでご登壇されています。海外の熱気はいかがでしたか?
柳楽 国内外問わず、この作品をホラーと捉えられてる方がいたとしたらそれは違うんだと心配していたんですが、みなさんこの話の核の部分を面白がってくれて、すごく嬉しかったですね。
笠松 シンガポールに行かせていただいたんですけど、いちばんに感じたのはミッキーマウスのスター性です。冗談だと思いますよね? 本当に人気なんです。アジア各国から集まった有名俳優たちが順番に並んでミッキーマウスと写真を撮るんですよ。「俺もミッキーマウスみたいな存在になりたい」って思いました(笑)。
柳楽 俺も!(笑)
まだまだ続くインタビューの【後編】は近日公開!
『ガンニバル』シーズン2

出演/柳楽優弥
笠松 将、吉岡里帆、高杉真宙、北 香那、杉田雷麟、山下リオ、田中俊介、志水心音、吉原光夫
原作/『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
監督/片山慎三、佐野隆英、大庭功睦
脚本/大江崇允
※ディズニープラス「スター」で独占配信中!
disneyplus.disney.co.jp/program/gannibal
柳楽優弥(やぎらゆうや)
1990年3月26日生まれ、東京都出身。映画『誰も知らない』(04)で自身初のオーディションを受けた際、是枝裕和監督に才能を見出され、主役に抜擢。同作で日本人初となる第57回カンヌ国際映画祭・最優秀男優賞を獲得する。近年の出演作として、映画『さかなのこ』(22)、『ゆとりですがなにか インターナショナル』(23)、『夏目アラタの結婚』(24)、ドラマ「ライオンの隠れ家」(24)などがある。
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笠松将(かさまつしょう)
1992年11月4日生まれ、愛知県出身。2020年『花と雨』で長編映画初主演を果たし、近作ではドラマ『君と世界が終わる日に(Hulu)』、配信作品『全裸監督2(Netflix)』、主演映画『リング・ワンダリング』、日米合作『TOKYO VICE(HBO max)』などに出演。また、ベルリン国際映画祭招待作品『The Narrow Road of the Deep North(Prime Video Australia)』が今春配信決定。
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