染色を中心に自然素材や廃材を使った作品制作を行う現代美術家の山本愛子さん。染色と旅を通じて得た、ささやかな気付きをつづる。【連載「植物と私が語るとき」】
ブルガリアの森で見つけた「ありのまま」
全13回のこのコラムも最終回です。
私は今、作品制作と展覧会のためにブルガリアの首都ソフィアに来ています。ソフィアは中心地にも緑が豊富。街路樹や公園、遠くには山がそびえ立ち、のどかな古き良きヨーロッパの町並みです。北海道と緯度が近く、気候が似ているようです。ちなみにイメージ通りヨーグルトがとっても美味しい!
先日は染料になる植物を探しに、市街地の森を歩いてきました。松ぼっくりやひっつき虫、レモンバームやバラなど、日本でも馴染みある植物が多くて親近感が。けれど、どれも微妙に形や色が違うのです。それを見て、人間も同じだな、と思いました。世界中に顔つきや肌の色が異なる人々がいる。けれど、目、鼻、口の数や位置はみんな同じで同じ作りをしている。同じの中に、違いがある。
きっと私たちは、無理に個性を探さなくも、ありのままで既に個性的。無理に同調しなくても、既におんなじ。美しさは、自分と他者をありのままに受け入れる心にある。私が知ってるものよりも細長い松ぼっくりを見ながら、そう思いました。
コラムは今回でひと区切り。私はこれからも植物を愛し、学び続けます。あなたもお元気で。このコラムを目にしていただきありがとうございます。またどこかでお逢いしましょう!