ヘア&メイクアップアーティスト小田切ヒロさんが、名作のヒロインをオマージュしたメイクルックを披露する不定期連載「MAKE YOU HEROINE」。今回のゲストは、女優の剛力彩芽さん。
剛力彩芽さんが、画家・中原淳一氏が『それいゆ』に描いた女性になりきり!
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ニット、帽子、イヤリング/すべてスタイリスト私物
ここ数年、“個性探し”が加熱していると思うの。
みんなが個性を追い求めた結果、「個性って何ですか?」って、本当の個性を見失いがちになっている。
ファッションやメイクなどで懸命に個性を表現しようとして、他人がやっていないこと、ちょっと尖ったことをやればそれが個性みたいになっているけれど、“本当の個性”はそうじゃないの。
同じ骨格を持っているふたりがいたとしても、自分にしかない何かがあるかどうか――そこに気が付くことができれば、個性に変わる。
GINGER世代なら、自分にしかないものを客観的に捉えることのできる余裕をそろそろ持ってもいいとき。
『それいゆ』に描かれた女性たちは、存在するだけで、その佇まいにもしっかり個性が宿っている。
それは、可愛らしさを引き算しないから。
最近のキュートさは、ちょっと柔らかく見せる、抜け感を見せるという可愛らしさの引き算が流行っているの。
でも、引き算しないでファッションやメイクに“自分らしさを足し算”すれば、それは存在感になり、佇まいになり、個性になる。
メイクとは自己表現。
だから、誰でもない唯一無二な、あなただけの個性をメイクで表現してほしい。
――小田切ヒロ
髪をショートにしたころから、中原淳一さんが描く女性に似ていると言われることが多くなりました。
特に雑誌『それいゆ』の表紙の女の子に似ているね!と。
中原さんの描き出す女性は、エレガントなだけでなく、すごく強さがあって、私はその“強さ”に惹かれます。
戦後すぐの、夢を忘れがちな時代に、美しくあることの幸せを教えてくれた『それいゆ』。
絵から伝わってくる、堂々としたかっこ良さ、独特の潔さがすごく好きなんです。
キュートなのだけれども、佇まいから漂ってくる内面の凛とした強さ。
媚びないその美しさがあるから、半世紀以上の時代を超えて、今でもみんなに愛されるキャラクターに。
また、今見ても違和感なくむしろモダンに見えるファッションとメイク――タイムレスな自己表現を『それいゆ』から感じとることができます。
――剛力彩芽
唇の輪郭に丸みを持たせ、赤いリップで可愛らしさを表現
“可愛い”の表現は、流行などにも左右されるから、時代とともに変わってくるもの。中原淳一さんの描く女性は、凛として強いのにとてもキュートな印象。
その可愛らしさがどこから来ているのかというと…“丸み”。赤いリップなのに、唇の輪郭をきっちり入れずに、口角をあえて外して描いて、唇に丸みを持たせ、角を作らないの。ヴィヴィッドな赤リップに丸みを作ることで、柔らかさと女性らしさを表現している。
最近はリップラインで愛らしさを表現することがなくなってきているから、こういう形の可愛らしさもあることをみんなに伝えたかったの。
NARS エアーマット リップカラー 0047
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ソフトでエアリーな心地よさ。空気のように軽いつけ心地で、しなやかなマットカラーが持続。NARS エアーマット リップカラー 0047 ¥3,850/ナーズ ジャパン
「口角を少し抜いて、唇に丸みを持たせるとキュートな印象に」(小田切さん)
その他の使用アイテム
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〈左から〉マットな唇にはマットな肌をコーディネート。光を纏ったようなマットな肌になれるリキッドファンデーション。タンフリュイドエクラ マット SPF20・PA+++ 35ml ¥14, 300/クレ・ド・ポー ボーテ ジェルベースの濃厚インクでリキッドのような描き心地。目尻の下1/3ぐらいに、3ミリ程度の下まつ毛を描き足すことで、こなれた印象へ。マイクロライナーインク #01 ¥3,850/SHISEIDO 5ミリ芯というこだわりの太さで、リップのあとから“見せないライン”で隠れた輪郭を描くこともできる。アンプリチュード コンスピキュアス リップライナー 10 ¥4,180/Amplitude
【Make-up Point】赤と黒を使いこなせた人がヒロインになれる
「真っ赤なリップ。キャットラインに入れた漆黒のアイライナー…ヒロインとされる人たちのメイクは、黒と赤が鍵。この2色は絶対に間違いのない、究極のコンビネーション。今回は黒のアイライナーで、下まつ毛にもスッスッと“描きまつ毛”を。こんなふうに黒の力をひとひねりしてみると、一気に垢抜けた印象に」(小田切さん)
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ドレス¥71,500/セルフポートレイト(イザ) ヘッドバンド¥42,900/アーデム(メゾン・ディセット) イヤリング¥3,740/Matilda rose シューズ¥117,700/ピエール アルディ(ピエール アルディ 東京)
ヒロの決め台詞!
「自分らしさを際立たせることなく個性は生まれない。あなたらしさを足し算して!」
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〈左〉1946年、中原淳一が創刊した女性誌『それいゆ』。昭和初期、少女雑誌『少女の友』の人気画家として一世を風靡した中原淳一が、戦後1年目の1946年、独自の雑誌『それいゆ』を創刊。日本のイラストレーション、ファッション、ヘアメイク、ドールアート、インテリアなど幅広い分野で時代をリードし、さまざまな分野において現代に繋がる先駆的な雑誌に。(c)JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA 〈右〉戦前から自分の店を持ってファンとのコミュニケーションを大切にしていた中原淳一の志を受け継ぎ、2004年グッズを販売する直営店をオープン。扉を開けると、淳一ワールドがそこに!
中原淳一ショップ「それいゆ」
東京都港区南麻布5-1-27
TEL:03・5791・2373
https://www.junichi-nakahara.com
剛力彩芽(ごうりきあやめ)
1992年8月27日生まれ、神奈川県出身。2002年、芸能界デビュー。’08年から’13年まで、雑誌『Seventeen』の専属モデルを務める。ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」(フジテレビ系)で女優デビューを果たし、以来、ドラマや映画、舞台、CMなどで幅広く活躍中。主演を務める、東海テレビ 新春エリアドラマ「家族の写真」が2022年1月2日(日)14時から放送予定(東海テレビローカル)。
小田切ヒロ(おだぎりひろ)
圧倒的なセンス、高い技術力、さらに引き込まれる話術で魅了する人気ヘア&メイクアップアーティスト。YouTubeやオンラインサロンでは視聴者やファンに寄り添い、真摯に向き合い悩みを解決。
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