「&サステナ!!」なるサステナビリティ推進の新たな活動を開始した三菱UFJ信託銀行。そのアクションが注目されるなか、国連WFP(世界食糧計画)オフィシャルサポーターとして活躍した、モデルの知花くららさんをゲストに迎え、現在の取り組みと今後の課題についてのトークセッションが行われた。働くGINGER世代にも気になるテーマが盛りだくさん、その内容をレポート!
「誰もが自分らしく働ける」職場環境のために

サステナビリティという言葉を何度も見聞きし、重要なテーマであることは知っていても、実際に自身とダイレクトに結びつけて考えづらいテーマ。“持続可能な未来の実現”には、一人ひとりのさらなる意識改革も大切だけれど、社会の仕組みを変えていく力を持つ企業の的確な取り組みが重要だ。
「人をつなぐ。未来をつなぐ。」を新たなコーポレートメッセージに掲げる三菱UFJ信託銀行は、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進にも積極的。ダイバーシティは多様性、さまざまな人財が職場に存在していること。エクイティは公平性。そしてインクルージョンは働く人の個性や能力などを認め合いながら、それぞれが活躍できる状態のこと。いずれも持続可能な企業であるために、そして持続可能な社会の形成に必要不可欠だ。
現在、同社が推進している内容は主に下記の3つで、私たちの気になるテーマが並ぶ。
三菱UFJ信託銀行のDEI推進3つの柱
- ジェンダーギャップの解消: 女性のキャリアアップ支援を中心に、歴史的背景やアンコンシャスバイアスによる経験値の差を解消し、誰もが平等にキャリアを築けるよう支援する。
- 両立支援: 育児や介護など、様々な事情を抱える社員が仕事とプライベートを両立できるよう支援する。
- 職場風土の改革: 誰もが自分らしく働ける職場環境を目指し、上司や周囲のサポートを促進し、心理的安全性を高める。
同社人事部ダイバーシティ推進室の氣賀澤さんと、サステナビリティ・アンバサダーに就任した知花くららさんのトークセッションを取材して、働く私たちに必要なことの答えが見えてきた。

仕事の悩み1:キャリアアップは難しい!?
「キャリアアップを考えると、仕事中心の生活を選択することになるのかと思うと躊躇する」「同じ能力でも、男性のほうがキャリアアップしやすいというのが現状ではないか」など、GINGER読者からも自分のライフスタイルを変えないと達成できないこと、あるいは性差による待遇格差に対する不安や不満の声が聞こえてくる。
知花さんからの「キャリアアップというと、何かを犠牲にする必要があるような気がして、それに耐えるための強さを持っていなきゃいけないというイメージがあります」というコメントに対して、氣賀澤さんからはキャリアアップに関する研修を行うことで「自分らしくていいんだ」「キャリアアップへのハードルが下がった」という声が寄せられているという社員からの反応が紹介された。
同社では多くの人が持っているキャリアアップに対する誤解を解消するために〈多様なロールモデルを示し、柔軟な働き方を支援することで、誰もが自分らしくキャリアを築けること〉を伝えているのだそう。キャリアアップという言葉は“ポジションが昇格する”という意味合いのみで捉えられがちだが、“自分らしくキャリアを築いていくこと”でもある。確かに、自分らしく、自分のペースでキャリアを積むことができたら、ストレスや不安は少なくなるはず。キャリアアップは個人の価値観に左右されるため、「画一的な支援ではなく、一人ひとりに寄り添った支援の必要性が課題」となっているそう。
仕事の悩み2:周りの目が気になってしまう
出産、育児、介護など、家庭の事情で仕事との両立が大変な社員のために、支援制度を整えている企業も多い。三菱UFJ信託銀行でも、フレックス制度や時間単位年休、時差勤務など、多様な働き方を支援する制度を導入済みだ。
しかし制度は整っていても、社員側にとっては「実際にその制度を利用することのハードルが高い」というのが本音。GINGER読者からも「育児で時短勤務中ですが『お先に失礼します』と、早めに抜けることに引け目を感じる」「忙しい部署なので、妊娠したので産休を…と言いづらかった」などリアルな報告がある。
「働き方改革で制度が整っていても、周りの目が気になるという声は多いです。子供のことで早退する時に、『大変だね、お子さん大丈夫?』という一言があるだけで、お母さんたちは救われると思います」という知花さんのコメントに、制度の整備だけでなく“周りの目”を変えていくことの重要性を感じる。
制度があっても、周囲の目が気になり利用をためらう社員や、制度を利用することに引け目を感じる社員に対しては、「上司や周囲のメンバーがサポートをしますし、サポートしてくれた社員には上司から『ちゃんと見ているよ』という声かけをすることで、心理的安全性を高めています。日頃からコミュニケーションを取り、お互いの状況を理解しておくことで、サポートしやすい環境を作ることが大切です」と三菱UFJ信託銀行の解決策が紹介された。お互い様という精神を育むことで、誰もが働きやすい職場環境を目指しているのだそう。

仕事の悩み3:育児と仕事を両立させるのが大変
育休を取得する男性も増えているとはいえ、育児の負担はまだまだ圧倒的に女性側にかかっているのが現状。氣賀澤さんは 「育児を一人で抱え込まず、パートナーと協力し、家事・育児の分担をすることが大切です」と前置きし、育児と仕事を両立するための具体的な制度として、家事代行サービス費用補助を導入している」ことを紹介。「育児や介護だけでなく、全社員が利用できる制度」ということなので、いざというときに頼りになりそうだ。
知花さんは妊娠中に大学に入学し建築を学ぶなど、仕事も家庭も大切にしながら、自身のアップデートも積極的に取り組んできたパワフルウーマン。でも、多忙な日々のなかで、自身のパフォーマンスが下がっていると感じたときは「無理な計画を見直し、子供と過ごす時間を大切にするなど、メリハリのある生活を心がけている」のだそう。 「仕事や勉強で忙しくても、子供との時間を大切にするために、自分でギアを入れ替える感覚を学びました」と当時を振り返った。
大学の建築学科に在籍中には、子供との時間がなかなか確保できず悩んだこともあったそう。そんなとき「夫の励ましや、日々の丁寧なコミュニケーションを通じて、家族のサポートの大切さを改めて実感しました。夫から『いつか子供たちに、ママはこういう風に頑張ったんだよと話せたらいいんじゃないか』と言われ、救われました」という素敵なエピソードも。
一人で抱え込まないこと、そのためにも周囲のサポートを利用すること、そしてパートナーとのコミュニケーションが大事であることを覚えておきたい。
知花さんからメッセージ「恐れずに挑戦を」

沖縄の慶留間島の祖父の生家を受け継いだことをきっかけに、「沖縄の自然に合った建築を後世に残したい」という想いから建築の道を志したという知花さん。モデルやコメンテーターという仕事とまったく異なる分野への挑戦は「新しい扉を開けるようなワクワク感があります」と目を輝かして語り、「違うと思ったら閉めてもいいという気持ちで、気軽に挑戦しています」と柔らかく微笑む。
国連の活動を通じて、ジェンダーギャップが顕著な国々を訪れた経験を持つ知花さんは、それでも「日本はまだ恵まれた環境にある」と感じているそう。「世界には、選択肢すら与えられない女性がたくさんいます。日本はまだ恵まれた環境ですが、選択肢を探そうとしない人も多いです」と体験から気付かされた思いを共有。日本は女性がキャリアアップすることへのハードルは高く、固定観念やアンコンシャスバイアスによる影響が少なくないけれど、まず「自分自身がどのような選択肢を持っているのかを知ることが、ジェンダーギャップ解消の第一歩になる」と続け、「そのためにも、選択肢のある豊かさを知り、情報を掴み、活用することが大切」と悩める女性たちにエールを送る。
ちなみに、三菱UFJ信託銀行は「社員が自らキャリアを選択できるよう、研修やメンター制度を充実させています」と氣賀澤さんが現在の取り組みについて触れ、「特に女性に対しては、新たな領域に挑戦することへの自信を高め、育児とキャリアの両立を支援することで、エンパワーメントを図っています」と、女性にキャリアアップを後押しする体制であることが紹介された。
仕事もプライベートも自分らしく充実させたい。そのために必要なことは、人それぞれに条件も目指すキャリアも異なり、一概にはいえないかもしれない。それでも、自身のキャリアプランに合う働きやすい場所を選ぶこと、職場の制度を積極的に活用すること、周囲の人々と連携し互いの働きやすさを尊重すること、そして自身の成長のために挑戦できる環境を整えることなど、自らのアクションで選べること、変えられることを知っておきたい。三菱UFJ信託銀行のようなDEI推進が多くの企業で成されたら、より良く過ごしやすいサステナブルな世界が広がっていくはずだ。
Profile
知花くらら(ちばなくらら)
1982年、沖縄県那覇市出身。多数の女性ファッション誌でモデルを務めたほか、コメンテーター・俳優・歌人として幅広く活躍し、数多くのTV・ラジオ・CMなどへ出演。上智大学を卒業した2006年にはミス・ユニバース世界大会でグランプリに輝く。2007年から約15年間、国連WFP(世界食糧計画)で活動し、オフィシャルサポーターや日本親善大使として世界各地を訪問。プライベートでは、第1子妊娠中の2019年に京都芸術大学通信教育学部建築デザインコース入学。2022年2級建築士試験に合格。2児の母。
&サステナ!!
2025年4月3日から開始する、三菱UFJ信託銀行が取り組むサステナビリティ推進活動。社外の新たな視点を取り入れながら目の前の社会課題解決の糸口を考えていくほか、大学生と一緒に企業の取り組みを学び、未来に向けたアクションを考える探求学習など、さまざまな企画を予定している。
Instagram @mutb_official